ツナ缶以上にDHA&EPAが豊富な青魚(イワシ・サバ・サンマ)の缶詰。非常食用にもお勧めです。
「週に何回くらい魚を食べていますか?」
仕事柄、私はそんな質問をお客様にすることが多いのですが、ほとんどのヒトは「週に2~3回」と答えます。また、「1ヶ月に2~3回」という方も少なくありませんし、先日など「ここ数年、魚を食べたことがない!」という方もいらっしゃいました。
私は母の実家が焼津ということもあり、魚が大好きで週に10回は食べています。そして、そのほとんどがサバかアジを焼いて食べており、残りはサバ缶です。スパゲティの上にサバ缶にたっぷり大根おろしをかけて食べる。カンタンな料理ですが、とてもおいしくいただいています。
そんなサバやアジは一般に青魚とひとくくりで称されますが、マグロやカツオと比べてとてもDHAやEPAが多く含まれています。前回、ツナ缶についてご紹介しましたので、今回は青魚の缶詰について調べてみました。
とくに強調しておきたいのは、前回のツナ缶と今回の青魚缶詰は非常食として最適だと考えられるからです。まずは、その話からご紹介しましょう。
青魚の健康効果とは?
青魚はタンパク質やビタミン、ミネラル類が豊富ですし、「体に良い油」でありながら体内で合成できないため必須脂肪酸と呼ばれるオメガ3脂肪酸のDHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(イコサペンタエン酸)が豊富に含まれています。
EPAには中性脂肪や動脈硬化の原因となる悪玉コレステロールを減らす働きがあります。それが、心筋梗塞や脳梗塞などの予防につながります。また、血管と赤血球を柔軟に保つ血流改善効果もあります。
毛細血管は血管全体の99%以上を閉めますから、血流の改善で全身の細胞に栄養や酸素が届きやすくなることで新陳代謝が活発になります。それが、肌に潤いを与えますし、疲労回復にもつながります。また、DHAは脳に入ることのできる唯一のオメガ3です。DHAには、神経の情報伝達をスムーズにする効果があるため、記憶力向上や認知症予防が期待できます。
必須脂肪酸はバランスが重要!
DHAとEPAは必須脂肪酸でオメガ3に属しますが、必須脂肪酸にはもうひとつオメガ6があります。
・オメガ6脂肪酸:主に、リノール酸、アラキドン酸
このふたつは、お互いが相反する働きをしており、オメガ6が炎症を促したり血を固めたりする一方で、オメガ3は炎症を鎮め、血液サラサラ効果があります。この真逆の健康効果があるが故に、ふたつの脂肪酸の摂取比率が崩れるとさまざまな不調が現れます。例えば…
・肌荒れ、肌のカユミ、シミ、枝毛、髪のパサつきなど
・糖尿病、高脂血症、高血圧などの生活習慣病
・心筋梗塞や脳梗塞
・ガン
・うつ病や認知症
・不妊症(精子数の減少や子宮内膜症)
個人的には、すべての精神疾患や発達障害(多動や学習障害、アスペルガー)、起立性調節障害、モラハラ、家庭内暴力など、情緒的な問題すべてに関わっていると考えています。また、この前提に基づいたアプロ―チで、すでに多くの方々が普通の生活をとりもどされています。
さらに、メニエール病や足の浮腫み、体の浮腫みなども脂質バランスの乱れが大きな原因だと考えています。
オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸の摂取割合は、厚生労働省が4:1を推奨していますが、日本脂質学会は3:1を推奨しています。また、1:1を推奨する専門家も今では少なくありません。
参考までに、私のオメガ6:オメガ3は上図のように2.82:1で、日本脂質学会が推奨する3:1を超えています。そんな私は昔から魚好きで、健康のためではなく好きなので週に10回以上青魚を食べています。また、自社のDHA&EPAサプリメントもとっています。また、以下は私の妻です。3.10:1と、日本脂質学会が推奨する値とほぼ同じです。
当社のスタッフおよびその家族のオメガ6:オメガ3比は?
当社のスタッフは、私の考え方を元に食生活を改善しています。スーパーのお惣菜やレトルト食品を食べることはありません。また、私がお客様に聞く限り、一般家庭では魚食は週に2~3回程度(それ以下もとても多い)というケースがほとんどですが、当社のスタッフは週5程度は魚食です。
それに加えてスタッフは当社のDHA・EPAサプリメントを飲んでいます。が、ご主人はとっていません。その差は次の通りです。
スタッフAとご主人および長女
当社で働く前はめまいと立ち眩み、頭痛、肩こりがあった上でうつっぽかったAは、今ではそういったことが無縁の元気な女性です。そんな経験もあり、お菓子類を含めてトランス脂肪酸や植物油脂が入ったものは一切口にしません。また、焼津生まれの焼津育ちということもあり、魚食はほぼ毎日です。そんなAのオメガ6:オメガ3は3.10:1です。
以下はご主人ですが、DHA・EPAサプリメントを飲んでいません。比率は4.86:1です。
以下はAの長女の比率です。同じくサプリメントは飲んでいません。比率は4.95:1です。
サプリメントを飲んでいるAは3.10:1と日本脂質学会が推奨する値とほぼ同じである一方で、飲んでいないご家族のそれはそれぞれ4.86と4.95と厚労省の推奨する値にも至りませんでした。
繰り返しますが、Aは焼津生まれの焼津育ちでほぼ毎日魚を食べています。また、彼女は当社に勤めるまでうつっぽく、しかも体調不良をたくさん抱えていました。本人曰く、「30代前半ですでに更年期障害のような状態でした」というくらいでした。
そんなAは、当社でメンタル面と体調面を大きく改善しました。また、私の妻とともに「分子栄養学」や「ケトジェニック」など、年間を通して栄養学の勉強を続けています。そんな彼女の食生活を理屈上で超えるのは、おそらく100軒に1軒あるかないかでしょう。
しかし、そんな彼女の食生活でもご家族のオメガ6:オメガ3比は、決して褒められるものではありません。食生活の改善は必要ですが、このことからも限界があることが想像できます。
スタッフBとご主人
Bは当社で働く前から〝ダイエット″のために食生活を見直していました。が、それでも10年来の蕁麻疹に悩まされていて病院通いをしていた上に、足が浮腫んでいました。本人曰く、夕方になるとふくらはぎがヒラメのように大きくなっていたそうです。幸い、当社でサプリメントを飲むようになって以来、蕁麻疹も足の浮腫みも解消しました。
そんなスタッフBのオメガ6:オメガ3は4.01:1です。彼女は自らは植物油脂やトランス脂肪酸が入ったものは買いませんが、いただきもののお菓子は見て見ぬふりをして食べてしまいます。困ったものです。
Bの値がこんなですから、ご主人の値は想像できます。ご覧のように6.29:1です。
繰り返しますが、Bでも一般のご家庭よりずいぶんオメガ6や植物油脂、トランス脂肪酸を排除した食生活です。したがって、食生活に無頓着なご家庭ではBのご主人よりも脂質バランスが崩れているとお考えください。
スタッフC
スタッフCは、当社のお客様ならご存知のあのCです。面接時はうつ病で、しかも頭がフリーズしてしまうため、質問をしても返事の言葉が出るのに3~5秒くらいかかりました。しかも、質問とはかけ離れた返事しかできないような状態で、どんな会社で面接を受けても100%落とされていたでしょう。
本人曰く、1年以上昼夜逆転で家の中にひきこもり、起きているときはボーっとスマホをいじっていたそうです。私もCの面接時の返答に、さすがに断るつもりでした。が、彼女が面接時に「助けてください!」と口にしたため、「じゃ、治してやるよ!」と捨て台詞を吐いて雇ったことを覚えています。
そんなCのオメガ6:オメガ3は3.59:1でした。
まあまあの値ですが、でも、面接時にこの検査を受けていたらどれくらいの数値だったか知りたかった。おそらく、10:1は優に超えていたと思われます。
重要なのは、パン食や外食、ポテトチップス、お菓子類を毎日のように食べていたなら、この比率が20:1になることなど容易であるという事実です。また、食事は基本的にお弁当(スーパーやコンビニなどの)やサンドイッチならば、50:1程度になっても不思議なことではありません。
災害時における課題 – 自助努力で克服できること
2019年10月12日、台風19号が日本に大きな爪痕を残しました。そんなとき、この記事を書きはじめていたため、あらためて非常食について考える機会となりました。
また、2019年10月21日、日本経済新聞の夕刊の記事に次のようなことが書かれていました。
災害時の支援物資や購入できるものとは?
「スーパーもコンビニも、水やカップラーメンなど保存できる食べ物が棚にありません!」
19号が日本に接近した10月11日、仕事を終えて買いものに行ったスタッフから次々と同じ内容のLINEが届きました。そんなカップラーメンやインスタント焼きそばのオメガ6とオメガ3の比率は次の通りです。
カップラーメンがおおよそ22:1、インスタント焼きそばが13:1です。非常時はもちろんですが、週に2回程度こういったものを食べて鼻炎などのアレルギー症状が出ていないのなら、私からすればその方が不思議です。
災害時に優先されることは?
被災時の食料は、カロリーの確保が優先されます。そのため、コンビニなどの弁当やおにぎり、お菓子、飲み物などが届けられることがほとんどです。また、乾パンやビスケットなどは長期保存に適しているため、非常食にはさまざまな乾パンやビスケット類が推奨されています。参考までにパン類のオメガ6とオメガ3は以下の通りです。
上図のように乾パンに限らず、食パンやコッペパンなどパン類おけるオメガ6とオメガ3の比率はおおよそ18:1以上です。また、マーガリンやショートニング、ファットスプレッドなどのトランス脂肪酸や植物油脂が使われています。したがって、こういった食事が長期にわたると、前述したような様々な病気につながることになります。
そこで、私が非常食として備蓄し、かつ、ふだんの食事でも利用すべきとお勧めするのが青魚の缶詰です。
青魚の種類
青魚とは背が青い魚の総称で、アジやサバ、サンマ、イワシなどが良く知られています。他にも、ニシンやキビナゴ、鰆(さわら)、太刀魚(たちうお)、ブリ、ビウオなども青魚です。また、カツオやマグロなどの大型魚も含まれます。
そんなカツオやマグロなどを手軽に摂れるツナ缶について、その種類によりDHAやEPAが大きく違うとうことを以下の記事でご紹介しました。
私たちにお馴染みの青魚の缶詰にはサバ缶やサンマ缶、イワシ缶がありますが、これらにはいったいどれくらいのDHAやEPAが含まれているのか?またまた、 日本食品標準成分表2015年版(七訂)脂肪酸成分表編 脂肪酸成分表編 第2章 第1表で確認してみました。
サバ缶に含まれるDHAとEPAの量
サバ缶には水煮とみそ煮、味付けの3種類があります。どれもDHAやEPAが豊富に含まれています。下図のように、水煮缶と味付け缶のふたつは液汁を除いたもので測定していますが、当然、液汁にもDHAやEPAが溶けだしています。
この液汁もバカにしたものではなく、みそ汁や卵かけごはんに入れて食べると、イライラや落ち込みなど情緒面に効果が出てきます。そのため、私はメンタル面に問題があり、サプリメントなどの服用もしない、魚も好まない、といったお子さんについての相談では、サバ缶に限りませんがこの液汁を本人にわからないように食べさせるようお勧めしています。
同じサバ缶でも水煮と味噌煮、醤油缶など、味が変われば飽きずに食べることができます。また、メニューを考えるのが面倒な時など、サバ缶などを利用したレシピをいくつか用意しておくのがお勧めです。
サンマ缶に含まれるDHAとEPAの量
サンマ缶にもDHAとEPAが豊富です。味付け缶とかば焼き感がありますが、味付け缶などサバ缶よりDHAとEPAの量が多いくらいです。
残念なことは海水温の上昇で、サンマの不漁が続きそうなこと。また、今後、ますます値段が高騰しそうなことです。台湾や中国の人たちの魚食が進み、今後ますます魚を消費するようになっていきます。日本近海にサンマが来る前に根こそぎとられてしまう時代はもうすぐそこかもしれません。
イワシ缶に含まれるDHAとEPAの量
イワシ缶に含まれるDHAとEPAの量も優秀です。また、イワシ缶には種類が多いようでトマト漬缶など、私は今回調べていて初めて知りました。
ただ、ツナ缶の記事でもご紹介しましたが、油漬缶の油は大豆油がほとんどです。オメガ6系の脂肪酸を摂ることになりますので、油漬缶は摂らないようにしましょう。
青魚の健康効果!
青魚を摂ることで得られる健康効果の多くはEPA(エイコサペンタエン酸)の働きです。これは脂質のひとつで、α-リノレン酸やDHA(ドコサヘキサエン酸)とともにオメガ3脂肪酸に属します。また、オメガ3は細胞膜の材料として必須である一方で、体内で合成できないため必須脂肪酸と呼ばれています。
そんなDHAやEPAの主要な効果は以下の記事でまとめています。
なぜ、DHAやEPAを毎日摂らないといけないの?
私たちの体を構成する細胞は、今この瞬間にも生まれ変わっています。古くなった細胞は壊され、新しい細胞が作られます。そしてこのとき、壊された細胞のなかで使える材料は新しい細胞にも使われます。
では、どれくらいの細胞が壊されているのか?
「アポトーシスとは何か」(田沼靖一著・講談社現代新書)によると、毎日おおよそ4,000億個もの細胞が死んでいるといいます。また、それとほぼ同じ数の細胞が誕生し生体の恒常性が保たれていることは私が指摘するまでもありません。
4,000億個÷(24〔時間〕×60〔分〕×60〔秒〕)=4,629,629
なんと、1秒間に460万個以上の細胞が死に、新たな細胞が誕生していることになります。
細胞における破壊とリサイクル!
先のように、破壊された細胞の材料で使えるものは、新たに生まれる細胞の材料としてリサイクルされます。なかでも、重要な材料とはタンパク質と細胞膜原料としての脂肪酸です。
例えば、大人の男性では1日におおよそ200グラムものタンパク質を壊しています。また、その7~8割を再利用して新たなタンパク質を合成しています。
タンパク質が壊れるとアミノ酸に分解されます。このアミノ酸は体の主要な構成成分で、赤血球や遺伝子、免疫細胞、ホルモン、内臓や筋肉、骨、皮膚、紙の毛、爪、そして脳内の神経伝達物質の原料になります。
オメガ6過剰とオメガ3不足と脂質バランスが乱れている!
一昔前、植物油は体に良いと宣伝され、いつの間にか私たちは大量の植物油を摂るようになりました。そして、そんな植物油から摂れる主要成分は必須脂肪酸のリノール酸です。
リノール酸はオメガ6に分類される脂肪酸で、これは体内でアラキドン酸に変換されます。また、アラキドン酸からはロイコトリエンやトロンボキサン、プロスタグランジンなどの〝炎症を促す″脂質メディエーターが生成されます。
一方で、日本人の魚離れも顕著です。また、魚に含まれるEPAやDHAはオメガ3に分類される脂肪酸で、日本人はオメガ3の摂取源を魚に頼ってきました。では、いったいどれくらい魚を食べればオメガ3の必要量を満たすのかというと…
・青魚を1日2匹
・鯖缶やサンマ缶、イワシ缶など青魚缶を1日2つ
・カツオまたはビンナガマグロが主原料のツナ缶を1日4缶
・キハダマグロが主原料のツナ缶の場合は1日15缶
オメガ3はオメガ6と相対する働きをもち、炎症を鎮める働きをします。また、魚以外のオメガ3の供給源はえごま油や亜麻仁油、ナッツ類(とくにクルミ)、チアシードなどに限られており、よほど健康意識の高い方を除いた一般の方ではその名前すら聞いたことがないというヒトがほとんどでしょう。
オメガ6過剰は糖化を促進する!
オメガ6とオメガ3は、ともに細胞膜の重要な構成成分です。オメガ3が不足する一方でオメガ6が増えれば、細胞膜で使われるオメガ6が増えることになります。
また、オメガ6とオメガ3の働きは競合しますが、細胞膜への取り込みも競合します。しかも、オメガ6を優先的に取り込む酵素も存在します。したがって、オメガ3を十分に摂ることは重要ですが、オメガ6を減らすこともまた重要です。
しかし、残念ながらほとんどの人はオメガ6とオメガ3のバランスが大幅に乱れています。そして、オメガ6過剰は細胞レベルの糖化反応を促進することになります。
まとめ
1秒間に460万個もの細胞が壊れ、それとほぼ同数の細胞が新たに生まれている。そしてそこには脂肪酸とともにタンパク質(アミノ酸)が使われます。ならば、細胞の質は脂肪酸とタンパク質の質に左右されることは自然です。
オメガ6が多ければ炎症を促しますし、結果的に糖化も促進されます。また、糖化されたタンパク質は本来の機能を失うことになります。また、再利用ができなかったり、再利用できても細胞の質を悪くすることにつながります。
青魚は、そんなオメガ3とタンパク質が同時に摂取できる貴重な食材です。しかし、オメガ3を理想的に摂るには青魚を毎日2匹程度摂る必要があり、これは現実的ではありません。
・1秒間に460万個も細胞が入れ替わっている
・脂質やタンパク質は再利用されている
・オメガ3の1日の必要量は青魚なら2匹
こういったことから、私は毎日のオメガ3とタンパク質の摂取源としてサバ缶やサンマ缶、イワシ缶もお勧めしております。
頭痛やめまい&立ち眩み、鼻炎や喘息、皮膚炎などのアレルギーがある方、起立性調節障害、発達障害などの方。また、低気圧で体の不調が起きる方は、オメガ6とオメガ3の摂取比率が大きくオメガ6に偏っている可能性が大です。サバ缶やサンマ缶、イワシ缶、ツナ缶などを非常食として備蓄しながらふだんの食生活でお役立てください。