鈴木邦昭とは
1964年・静岡県生まれ
四方を山に囲まれた人口1万人足らずという立地ながら、うつ病や統合失調症、DV(家庭内暴力)、モラハラ、不登校、発達障害などなど、全国から「心の問題」で悩む人たちが来店する駆け込み寺として尽力している。
東洋医学、脳科学、分子栄養学、心理学など、独自の視点からのアプローチで実績を上げている。
📙鈴木の著書
1992年、私は家業を継ぎ漢方相談をはじめた。
薬剤師になるずっと以前から対症療法に疑問を感じていた私だから、東洋医学や脳科学、分子栄養学などに本質的な解決を求めたのはとても自然なことだった。
四方を山に囲まれた小さな田舎町という土地柄、当時、来店されるのはお年寄りや農家の方々で、腰痛や膝痛、五十肩など、身体的な悩みを訴えるお客様がほとんどだった。
しかし、時代は少しずつだが変化していた。
こんな病気でも、漢方で悩みが解決できるのではないのか?
そう、心の問題を抱える方々が、少しずつだが訪れるようになった。
今でも、心の問題といえば心療内科や心理カウンセラーを訪れるのが一般的だ。しかし、私は当時からそういったアプローチに疑問を感じていた。また、私なりに違った考え方をもっていた。
ただ、当時は、ほとんどの人は脳科学という言葉はもちろん、分子栄養学も知らなかった。そのため、私が「脳の栄養状態」や「心と体調不良」について語っても、なかなか理解してもらえなかった。
「こんな病気が漢方で・・・」「薬剤師ごときが…」
付き添いで来店されたご家族から、そんな言葉を何度も浴びせられたものだった。
もちろん、失敗もあった。
また、私のアドバイスも守らずに、一方的にクレームを言われたこともあった。
それでも、私は実務家としてお客様に向き合った。
「人の体は人それぞれです。体質も違いますから、たとえ同じものを食べてもその結果は違ってきます。また、食事内容やジュースやお酒、お菓子などの嗜好品の摂り方も違いますし、その結果も体調や体質によって違ってきます。これは、問題解決までの時間も同じです。
奇跡はありません。あるのは軌跡だけです。」
大まかな対処や注意点については、小冊子を書いて配布した。また、毎月1回、手作りの情報誌『体と輪(は)?』で、その時々に気づいたことをお知らせした。
問題解決に必要だと思われること。ありとあらゆることを考え、できることはすべて実行した。そして、新しい試みによる試行錯誤も続いた。そのため、ときには医学や心理学を否定することすらあった。
こんな私を信じてくれたお客様のご紹介もあり、心の問題においてその実績を上げることができた。すると、「なぜ、私にこんな相談を…」私自身が当初、そう戸惑うような相談が次々と寄せられるようになった。
専門家が「治ることはない!」とか「解決策は縁を切ることだけ」と口をそろえるDV(家庭内暴力)やモラルハラスメント(精神的暴力)。
「心の問題」とされている不登校や子供の家庭内暴力、虐待、ギャンブル依存、アルコール依存、万引癖など。
先天的もしくは、幼児期に疾患や外傷の後遺症があるとされる発達障害。
今では、こういったありとあらゆる心の問題についての相談が全国からあたり前のように寄せられるようになった。
災害や事件、事故、自殺、不登校などなど、「心のケア」が声高に叫ばれる時代になった。
そのため、一般の方も「心理学」を口にするのが当たり前になった。
しかし、このことが大きな勘違いを根付かせているとわたしは感じている。
私たちは花を見て幹を見ない。
仮に、枝葉に目がいったとしても、幹までは目を向けない。
まして、根のことなど考えようともしない。
心の問題も同じだと思う。
彼らの問題ある言動という「花」にだけ目を向けて分析してしまった。
彼らが歩んできた食生活などの軌跡や、体調不良などなど、「幹」や「根」を見過ごしている。
人は十人十色だ。
だからこそ、「これだけですべてが解決」といった奇跡はない。
あるのは軌跡だけだ。
生意気だが、わたしの存在価値は、
そんな心の悩みを抱えている人たちの羅針盤となることだと思う。
残念ながら、ほとんどの人は心のケアに終始することになるだろう。
それでも、わたしは実務家としてお客様に向き合いたい。
無駄ではないかというほど多くの時間と手間をかけたとしても…。