子どもを授かる前の女性に伝えたいこと!:魚中のメチル水銀蓄積を抑制する成分とは?
妊娠をきっかけに、食生活で最も注意が必要なのが飲酒です。酒は、胎児の脳に大ダメージを与えることになります。
妊婦が食生活で次に注意を払うのが、多くの場合は魚介類の摂取でしょう。魚に含まれる水銀が、胎児に悪影響を及ぼす恐れがあるからです。
メチル水銀の胎児への危険性!
イタイイタイ病や四日市ぜんそくなどと四大公害病と言われる水俣病、第二水俣病(新潟水俣病)の原因物質がメチル水銀であることはご存じでしょう。
地球全体では、ゴミの焼却や石炭の燃焼などで、毎年2,000~3,000トンもの水銀が発生しているとされています。それが川や海で「プランクトンから小型魚、さらに大型魚」という食物連鎖で濃縮されるため、大型の肉食魚や歯クジラ等には注意が必要なほど蓄積するものと考えられています。
魚介類等に含まれるメチル水銀
多くのヒトにとり、メチル水銀の暴露源は魚介類です。また、メチル水銀は消化管より95~100%と高率で吸収されます。さらに、吸収された後のメチル水銀はタンパクやシステイン、グルタチオンのようなアミノ酸に結合すると考えられています。
問題は、これらが血液脳関門を通過し、中枢神経系に強い神経毒を示すこと。胎児の脳は血液―脳関門機能が未発達なため、より中枢神経が影響を受けやすいことから妊婦の魚摂取に注意喚起されています。
なお、血液中では90%以上のメチル水銀は赤血球中に存在します。また、メチル水銀は胆汁中に排泄されるので、便通の改善は重要です。
妊婦が注意すべき魚種!
厚労省が「水銀を含有する魚介類等の摂食に関する注意事項」で次のように発表しています。
これまで収集されたデータから、バンドウイルカについては、1回 60~80gとして2ヶ月に1回以下、ツチクジラ、コビレゴンドウ、マッコウクジラ及びサメ(筋肉)については、1回 60~80g として週に1回以下にすることが望ましい。
また、メカジキ、キンメダイについては、1回 60~80g として週に2回以下にすることが望ましい。
一方、世界各国の注意喚起はさらに踏み込んだ内容です。一部抜粋します。
米国:・週に2回魚介類を摂取する場合は、ビンナガマグロは6オンス(170g)とすべき
EU:1.大型の捕食性の魚は週に多くて1食(<100g)以下とすべき 2.大型の捕食性の魚を食べた場合には、その週はいかなる魚も食べるべきでない 3.さらに、マグロを週2回以上食べるべきでない
もしかしてこれも詐欺?
政府が告知してきたことの多くは詐欺だった。この事実が明らかになったのがコロナ禍でした。
高度成長期以降、政府の政策により日本人の食で顕著になったのは次の4つです。
・魚離れ:肉食とサラダ油の使用量増加
・コメ離れ:パンや麺類など小麦粉消費の増加
・緑茶離れ:ジュースやエナジードリンクなど嗜好性飲料消費の増加
・減塩:食塩(塩化ナトリウム:NaCl)の摂取増加
また、政府の方針通りに少子化政策も順調に推移しています。ならば、「妊婦が魚を食べないように!」というのも詐欺のように思えてしまいます。その理由は、以下の論文です。
・II-4. メチル水銀の蓄積・毒性と健康機能性成分 白井 展也 2013 年 79 巻 5 号 p. 896
(前略)魚油の脳機能改善効果については、効果的である報告があるものの、メチル水銀暴露の毒性に対して、魚油がほとんど影響しなかったとの報告もある。また、メチル水銀暴露に伴う脳と肝臓の水銀蓄積に、魚油を初めとした摂取脂質の違いはほとんど影響せず、糞からの水銀の排泄にもほとんど寄与していない報告もある。しかしながら、魚油の摂取が筋肉中の水銀蓄積を抑制した研究結果もある。(図1)
魚油以外
セレニウムはメチル水銀の毒性に対して拮抗することが推定されているが、フェロー諸島出生コホート研究では、セレニウムのメチル水銀に対する保護効果は明確に認められなかった。メチル水銀の毒性を緩和する成分については、セレニウム以外にも、いくつか報告されている。
近年、刺し身などの魚の生食では欠かせないワサビやダイコンなどに含まれるイソチオシアネート化合物が、メチル水銀の蓄積を抑制することが報告されている。また、日本食などに欠かせない、緑茶の摂取が筋肉中の総水銀蓄積を抑制することも確認した。(以下略)
刺し身といったらワサビ。また、ダイコンのツマです。さらに、緑茶まで水銀蓄積を抑制するなら…
魚食を避けると、妊婦や胎仔、出産後の女性、生まれた子どもにさまざまな弊害が生じます。ワサビとダイコン、緑茶が水銀蓄積を抑制するなら、「魚離れを推し進める政策の一環として、妊婦への魚摂取注意喚起では…」と疑ってしまいます。
・I-1. セレンによるメチル水銀の解毒機構 山下 由美子, 山下 倫明 2013 年 79 巻 5 号 p. 891
セレンのメチル水銀性軽減効果は、1972年にGan-therらによって報告された。缶詰のビンナガ肉に20ppmのメチル水銀を添加してウズラに投与したところ、ほとんどの個体が生残(せいざん)した。
また、Ralstonら(2008)は、ラットに対してメチル水銀とともに亜セレン酸を投与し、セレン体水銀のモル比が0.2以上の飼料において、メチル水銀による神経への毒性が消失することを明らかにした。
このように、セレンがメチル水銀の解毒に関与することは古くから知られているが、その作用機序は不明であり、未解明の課題であった。演者らは魚類からセレン化合物を単離し、これに強力な抗酸化能とメチル水銀の解毒作用があることを明らかにした。
セレン化合物セレノネインの発見
セレン含量が高いクロマグロ血液から、新規のセレン含有イミダゾール化合物を生成し、構造を決定したところ、エルゴネオネインのセレンアナログであったことから、セレノネインと命名した(図1)。
セレノネインは、in vivoおよびin vitoroにおいて強い抗酸化作用を示した。ラジカル消去活性は(中略)水溶性ビタミンE誘導体およびエルゴチオネインと比べて著しく高かった。また、セレノネインを培養細胞、赤血球およびブリ活魚に投与すると(中略)活性酸素種の生成を抑制することで、ヘムのメト化を抑制し、生体抗酸化作用を示した。
セレノネインの分析法と組織別含量
(中略)魚類および哺乳類でのセレノネインの蓄積と分布を調べた結果、セレノネインは赤血球に多く含まれ、血漿には含まれなかった。クロマグロの赤血球中には(中略)高レベルに含まれていた。
マグロ類、サバ類などの赤身魚の組織に多く含まれており、ニワトリ心臓、ブタ腎臓などの家畜内臓にも痕跡程度に検出された。魚類普通筋においてはマグロ類、カジキ類に多く、メカジキ2.8nmol/g、メバチ2.6nmol/g、クロマグロ2.4nmol/g、ビンナガ1.8nmol/gおよびキハダ1.6nmol/gであった。
魚食によるセレノネインの蓄積
鹿児島県離島での健康調査によって、ヒトの血液で、セレノネインが赤血球に検出され、魚食の頻度の高い場合にセレノネイン含量が高かったことから、魚介類中心の食事によって、セレノネインがOCTN1の発現量の多い赤血球に蓄積すると考えられた。(以下略)
まとめ
ワサビとダイコン、緑茶に水銀蓄積抑制作用がある。また、魚に含まれるセレンにメチル水銀解毒作用がある。さらに、魚食によりセレンは赤血球に蓄積する。
冒頭で説明しましたが、血中のメチル水銀は90%が赤血球中に存在します。ならば、セレンが蓄積していたら水銀解毒が用意なはずです。
やっぱり詐欺?の可能性が高そうですね。
妊娠がわかったら、少なくとも青魚はたっぷり食べたいものです。
以下の5つはチクワを食べた方はもちろん、不調のあるなしに関わらずすべての人にお勧めしております。
チクワを食べた方は以下の記事は必読です。お役立てください。
・年度末は眠っている家族や親戚。「体調+メンタル」不良を改善する大チャンスかも?
↑ページ内で問診票が無料ダウンロードできますのでお役立てください。
16時間節食(1日の中で16時間以上食べない時間を確保する)は重要ですよ。
病気の臓器細胞は十分な節食時に病気の白血球に戻ります。また、その病気の白血球も赤血球に戻り、その後アポトーシスします。真剣に取り組むことを心からお勧めします。