子どもを授かる前の女性に伝えたいこと!妊婦のオメガ3不足が胎児に与える影響とは?
妊娠中、妊婦は胎児に対し賢明にDHAの供給を続けています。なぜなら、胎児の神経発達にDHAが重要な役割を果たしているからです。
・妊娠期および産後抑うつとn-3系多価不飽和脂肪酸 浜崎 景 2019 年 28 巻 1 号 p. 16-
妊娠期間中は胎児へのドコサヘキサエン酸 (DHA)供給にも耐えうるように、ホルモンバランスの変化により、α – リノレン酸からDHA がスムーズに合成されるよう代謝経路を調整する。 また、妊娠中期頃から肝臓ではリン脂質に DHA が増える方向に代謝が変化していく 。
それでも十分なn-3 系多価不飽和脂肪酸が得られない場合は , 動物実験より母ラットは自分の脳を犠牲にしてでも n-3 系多価不飽和脂肪酸を胎児に供給していることがわかっている。
MRI の研究によると、実際 1 回の妊娠で健常な母親の大脳体積が出産までに約 4~ 7%も減少し、出産後にもとのサイズにもどるという報告もある。
妊婦は自らの脳を犠牲にしてでもDHAを胎児に供給しています。その結果が妊娠うつや産後うつでしょう。
では、妊婦がうつになる状況で、果たして胎児に十分なDHAやオメガ3脂肪酸を供給できているのでしょうか?
また、α-リノレン酸からDHAの転換率はオメガ6過剰で40~50%も低下します。
・n-3系多価不飽和脂肪酸の生理的有効性と栄養学的側面からみた安全性評価 斎藤 衛郎 2001 年 59 巻 1 号 p. 1-18
重水素でラベルしたα-リノレン酸を成人男性に投与し、48時間までに血漿総脂質のEPAとDHAの変換をみた試験では、低リノール酸食(リノール酸15g/日:飽和脂肪食)では、48時間までにEPAへの転換率は6%、DHAへは3.8%、高リノール酸食(リノール酸30g/日:多価不飽和脂肪食)では、それぞれ3~3.6%、1.9~2.3%であり、高リノール酸食により40~50%転換率が低下するとされている。
さらに、以下のように抑うつではn-6/n-3比が高値であることから、抑うつでは高リノール食(オメガ6過剰)であることは容易に想像できます。
・妊娠期および産後抑うつとn-3系多価不飽和脂肪酸 浜崎 景 2019 年 28 巻 1 号 p. 16-
2017 年に Lin ら 37)のメタ解析の結果によると、周産期抑うつでは対照者に比べて、有意に n-3 系多価不飽和脂肪酸や DHA が低下しており、また n-6/n-3 比が高値であった。
オメガ6過剰とオメガ3不足が胎児に与える影響とは?
DHAは神経系組織に不可欠な脂肪酸で、脳の発達・形成期である胎児への供給は母体に依存しています。また、前述のように抑うつではオメガ3不足とオメガ6過剰が確認されています。したがって、抑うつ妊婦の胎児はDHAやオメガ3系脂肪酸不足ということになります。
では、DHAやオメガ3系脂肪酸不足とオメガ6過剰が胎児の脳にどんな影響を与えるのか?確認していきましょう。
脳の発達とDHAの役割!
DHAには神経発生に大きく関わっています。
・特集 ここまで明らかになったω3脂肪酸 「脳の発生・発達におけるDHAの役割」 酒寄 信幸, 大隅 典子 2017 年 91 巻 9 号 p. 547-554
神経幹細胞は自己増殖能と多分化能を有する細胞であり,神経情報の伝達を担うニューロンや栄養の供給などを担うアストロサイトなどの細胞を産生することにより脳を構築する.(中略)
橋本らは,胎仔ラット大脳皮質から神経幹細胞を培養し,DHA を培養液中に添加することにより分化能に対する影響を解析した.この研究により,DHA が神経幹細胞からのニューロン分化を亢進することが明らかになった.
DHAは脳の情報伝達を担うニューロン(神経細胞)のネットワークを構築しています。また、脳の構築は、その発生の進行に伴い分化転換が起こります。
・特集 ここまで明らかになったω3脂肪酸 「脳の発生・発達におけるDHAの役割」 酒寄 信幸, 大隅 典子 2017 年 91 巻 9 号 p. 547-554
神経幹細胞は造血幹細胞などと異なり,分化する細胞種が発生段階に応じて決まっているという特徴を有する.大脳皮質原基の神経幹細胞は,発生の初期にはもっぱらニューロンを産生するが,発生の後期になるとグリア細胞の一種であるアストロサイトの産生が多くなる。
この脳のネットワーク構築にDHAが深く関わっています。
・特集 ここまで明らかになったω3脂肪酸 「脳の発生・発達におけるDHAの役割」 酒寄 信幸, 大隅 典子 2017 年 91 巻 9 号 p. 547-554
DHA の神経幹細胞に対する役割はニューロン分化制御だけでなく増殖制御にも及ぶことが示され,DHA は発生段階に応じて異なる機能を有することが明らかになった.
脳形成にオメガ3系脂肪酸の役割!
オメガ3とω6は代謝や輸送において互いに競合します。そのため、食事からオメガ3が不足すると、脳の脂肪酸組成にはオメガ3の減少と同時にオメガ6の増加が起こります。そのため、オメガ3とω6は摂取量だけでなく摂取比率も重要だと考えられています。
魚離れが進んだ今、食の低オメガ3/高オメガ6が脳に驚くべき変化を与えることがわかりました。
・特集 ここまで明らかになったω3脂肪酸 「脳の発生・発達におけるDHAの役割」 酒寄 信幸, 大隅 典子 2017 年 91 巻 9 号 p. 547-554
ブリティッシュコロンビア大学の故 Innis らによって2006 年に発表された研究により,ω-3 PUFA 低含有 /ω-6 PUFA高含有飼料(以降,低ω-3/高ω-6飼料とする)を投与された妊娠ラットの胎仔において,大脳皮質原基のニューロン層の厚さが低下することが報告され(中略)
ガスクロマトグラフィー法により,大脳皮質原基においてニューロンの産生が盛んな胎生 14 日目における胎仔脳の脂肪酸組成分析を行ったところ,低 ω-3/高ω-6 飼料を摂取した妊娠マウスの胎仔脳においてDHA が減少し,ARA は増加していることを見いだした.(中略)
続いて胎仔脳における組織解析を免疫染色法により行ったところ,低ω-3/ 高ω-6 飼料を摂取した妊娠マウスの仔では大脳皮質原基の厚さが減少していることが分かった(図 2A).
このとき,神経幹細胞層に変化は認められず,ニューロン層の厚さが選択的に減少していた.
そこで、DHAの減少とアラキドン酸の増加が、ニューロン層の厚さを減少させた理由が確かめられました。その結果が次の通りです。
・特集 ここまで明らかになったω3脂肪酸 「脳の発生・発達におけるDHAの役割」 酒寄 信幸, 大隅 典子 2017 年 91 巻 9 号 p. 547-554
低 ω-3/高ω-6 飼料を摂取した妊娠マウスの仔の神経幹細胞から分化するニューロン数が減少していた.これは上述した in vitro の研究と一致する知見である.しかし,神経幹細胞の細胞分裂数には変化が認められなかった.(中略)
分化するアストロサイト数は増加していた(図 2B).また,胎仔脳組織においてもアストロサイト数の増加が確認され,ニューロンの代わりにアストロサイトが産生されたことが分かった.
以上から,低ω-3/ 高ω-6 飼料摂取によって神経幹細胞の neurogenic-gliogenic 分化運命転換が早期に起こり,大脳皮質のニューロン数の減少につながったと考えられた.
まとめ
「神経幹細胞は、神経情報の伝達を担うニューロンや栄養の供給などを担うアストロサイトなどの細胞を産生することにより脳を構築する.」
この説明が正しいとするなら、低オメガ3/高オメガ6食の妊婦の胎児は次のような状態となります。
「神経情報の伝達を担うニューロンが十分な数が作れず、情報ネットワークが貧弱な脳となった」
発達障害の原因?
私は10年くらい前からそう疑ってきました。また、発達障害の子どもたちにも10日間チャレンジを進めそれなりの結果も得てきました。しかし、想像できると思いますが時間がかかります。
脳の大きさを考えてみましょう。
生まれたときの脳の大きさ。母乳で育っている時の大きさ。3歳くらいまでに脳はある程度の大きさまで成長します。
胎児・乳児期の脳へのDHA取り込みは速やかですが、成長すればするほど緩慢となります。また、ある程度成長すると、保育園や幼稚園から給食を食べてしまいます。さらに、低オメガ3/高オメガ6食の母親は食に対する意識がとても低い傾向が著明です。そのため、幼少期からじゃがりこやポテトチップス、カップ麺などを与えられているケースが少なくありません。
ある意味、発達障害の子どもたちは犠牲者です。
一日もはやく、そしてひとりでも多くの女性たちがこの事実を知り、食の大切さを認識してほしいと心から願っています。
以下の5つはチクワを食べた方はもちろん、不調のあるなしに関わらずすべての人にお勧めしております。
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16時間節食(1日の中で16時間以上食べない時間を確保する)は重要ですよ。
病気の臓器細胞は十分な節食時に病気の白血球に戻ります。また、その病気の白血球も赤血球に戻り、その後アポトーシスします。真剣に取り組むことを心からお勧めします。