ウクライナの輸出量減少など、すでに発生している具体的な材料のほか、ウクライナの今年冬に作付けする小麦(2022年/2023年度の冬小麦)の生産減少や、ロシアの穀物禁輸対象国の拡大など、まだ発生していない材料(懸念)もあります。(実態はなくても「懸念」は強い価格変動要因になり得る)
「★」印をつけた材料は「ウクライナ危機」起因の材料です。ウクライナ危機が終わらない限り、なくならない可能性が高い材料です。その他、米国ではトウモロコシの作付け進捗(しんちょく)が平年に比べて遅れていることや、昨年度、小麦を大きな規模で輸出したインドが先日、輸出を停止することを宣言した、などの材料が挙げられます。
・食料輸出を制限する国続出 日本への影響の有無は? 2020年05月10日
こうした中で、食糧生産国の中で輸出を制限する動きが強まっている。世界最大の小麦輸出国であるロシアは 4月初め、自国または旧ソ連圏から域外に向けて輸出する小麦、ライ麦、大麦、トウモロコシについて、計700万トンの輸出割り当てを設ける規制を導入し、輸出ペースが速まったために早々に枠に到達し、4月26日、6月末までの穀物の輸出停止を発表した 。
コメ輸出国が多い東南アジアでは、世界3位のコメ輸出国であるベトナム が、国内分の確保のため3月下旬に新たな輸出を一時停止 (4月から再開)。カンボジアは4月から輸出規制 に乗り出し、ミャンマーも同様に 規制に踏み切った。インドに続く世界2位のコメ輸出国であるタイは干ばつ で収量減が予想され、輸出量の減少が懸念されるうえ、価格の国際指標にもなるタイ産のコメの値段 は年初の1トン当たり400ドルから4月には600ドル近くに急騰しており 、輸入国には脅威だ。このほか、ウクライナ、カザフスタン、キルギスなどが小麦を中心に、タイは鶏卵について、それぞれ輸出を規制し、日本の農水省のまとめでは、4月20日時点で輸出を規制する国は13カ国に上る。
・パーム油輸出停止、国内価格抑制に必要=インドネシア財務相 2022年4月25日
インドネシア政府は同日、パーム油とその原材料の輸出を28日から禁止すると発表した。
・漁獲不振でイクラ輸出制限も 2022/5/26
ロシア漁業庁のシェスタコフ長官は25日、今年のロシアでのサケ・マスの漁獲量が最近10年間の平均漁獲量を下回ると予想されているとし、イクラの輸出量が制限される可能性がある と述べた。
・インド、砂糖も輸出制限 小麦に続き 2022年5月25日
インド政府は24日、今年度の砂糖輸出量を1000万トンに制限すると発表した。国内供給の確保とインフレの抑制が狙い。同国は今月半ばに小麦の輸出停止を発表したばかり。インドは世界2位の砂糖生産国で、輸出もブラジルに次ぎ世界2位。
これを受け、化学肥料の価格(グリーンマーケッツが集計する北米の肥料価格指数)は、ウクライナ侵攻後に騰勢を強め、足元、昨年夏の2倍弱の水準に達しています。(指数の集計が始まった2002年1月以降の最高値水準)
ロシアとベラルーシからの化学肥料の供給減少は、化学肥料価格を上昇させて農産物の生産コストを押し上げています。また、肥料そのものの供給減少は、今後、世界的な単収低下の要因となり、「食糧危機」を強める可能性があります。
出所:The Observatory of Economic Complexityのデータをもとに筆者作成
・08年の再来?足元で加速「世界食料危機」の深刻度
(前略)
2008年に世界は深刻な食料危機を体験している。やはり穀物の価格が高騰して、食料を輸入に頼る、それも貧困国では食料が買えなくなり、餓死者も出て、各地で暴動が起きた。 国連の食糧問題の担当部署では、1億人が食料不足の危機にさらされているとして、この事態を『静かなる津波』と表現していた。
そのときの特徴は 、投機筋が流れ込んだこともあって小麦が値上がりした ことに加えて、それに連動するようにアジアではコメの価格も高騰した ことだ。当時、その事情を探りに私はタイを取材している。タイ国内でも主食のコメが高騰していた。
「概算で、小麦の取引相場が1トン当たり250ドルから600ドルに上がったのに対し、輸出米の取引価格は、わずかこの6カ月間で360ドルが、1000ドルにまでなろうとしている 」
タイ米輸出業協会の当時の会長は、そう説明したうえで、さらにこう解説していた。
「原因は、小麦価格の高騰と、インドにあります 」
当時のインドは、生産量で中国に、輸出でタイに次ぐ、世界第2位のコメ大国だった。ところが、そのインドが前年の8月にコメの輸出を全面禁止に踏み切ってしまった のだ。
ここにインドの独特の食文化が絡んでいた。この国の主食はコメと麦の2つを両有するからだ。コメはもとより、小麦はナンに焼いて食べる。インドがコメの輸出禁止に踏み切ったのは、小麦の値上がりによる国内のインフレーションを懸念したことによる。
経済成長の著しいインドでは、当時の年間のインフレ率が15~16%とみられていた。
「小麦価格上昇によって、いっしょに米価が高騰し、インフレを悪化させないために、国内米価の維持のために輸出をストップさせた 」
このインドに追従するように当時、世界第3位のコメの生産、輸出国であったベトナムも輸出を止めてしまった。 表向きの理由はコメの不作見通しだったが、
「ベトナムもインフレ率が年間19%とされています。輸出需要の増大で国内米価の高騰を抑えようというのが禁止の理由」
あわてたのが、主食のコメを輸入に頼っている国々だった。それで、世界に流通するコメの需要が高まり、米価が一気に高騰したというのが現地での見立てだった。
そのインドが今月13日に、こんどは小麦の輸出を停止した。小麦の生産が世界第2位のインドでは3月に観測史上最高の暑さを記録し、農作物の生育が打撃を被った。 国内供給を優先させ、やはり国内価格の上昇を抑える目的だ。
また、アメリカをはじめとする各国のインフレも深刻さを増す。メキシコでは4月のインフレ率が7.68%となり食料品の価格が高騰した。ドイツでも今年中にインフレ率が7%近くまで上昇すると予測。国際通貨基金(IMF)は4月に2022年の世界のインフレ率が前年比7.4%とする見通しを示している。前年10月時点で3.8%としていた見通しを大幅に上方修正している。それだけ世界のインフレ懸念が高まる。
・日本は自給できるコメがあるから大丈夫?
日本は小麦が高騰したとしても、ほぼ100%自給できるコメがある。 すでにパンやパスタの値上がりに、即席米飯(パック米飯)の市場が拡大し、米粉パンへの関心も高まっている。
岸田文雄首相は4月26日の記者会見で小麦の売り渡し価格について「9月まで急騰する前の水準に据え置く」としたうえで「国産のコメや米粉、国産小麦への切り替えを支援する」とも述べた。
だから大丈夫、かといえばそう簡単な話でもない。肥料の価格が上昇している からだ。ここにもロシアのウクライナ侵攻が暗い影を落とす。世界銀行が算出する2010年を100とする肥料価格の指数が今年3月に237.6と、前年同月の2.3倍に急騰し、ここでも2008年以来の高値を記録している。
窒素、リン、カリ(カリウム)は肥料の3要素と呼ばれるが、このうちカリはロシアとベラルーシが世界の生産シェアの35%を占める(2020年)。ウクライナ侵攻による経済制裁で両国から西側諸国への輸出が減った。日本もロシア産の塩化カリウムの輸入を停止した。このため、塩化カリウムは3月に1トン562ドルと前年の2.8倍まで上がり急騰している。
肥料の供給が滞れば、それだけ収穫量も減る。収穫量が減れば、供給も落ち込み、価格も上がる。しかも高騰する肥料のコストを上乗せすれば、さらに価格が上がる。
アメリカ農務省が3月末に発表した農家の作付け意向調査によると、肥料を相対的に多く使うトウモロコシの作付面積は4%減る見通しだと伝えられている。すでに供給懸念からトウモロコシの国際価格は10年ぶりの高値圏で推移している。
世界的に肥料の需要が増しているのは、南米でトウモロコシや大豆の増産が進む影響があるとされる。それも中国が養豚飼料として穀物輸入を増やしていることが背景にある。
その中国でも、尿素肥料の国内価格の上昇で輸出制限に踏み切った。これまたインドでは、肥料価格が上昇すると豆類や油糧種子の作付けが減る恐れがある 、とするアメリカの調査会社の指摘もある。
ウクライナの農産物輸出量と見通し
USDAは今月、需給見通しを公表しました。今月より、2022年/2023年度産の見通しが含まれるようになりました。以下は、ウクライナにおける主要農産物の輸出量とその見通しです。見通しの段階ではあるものの、トウモロコシと小麦、そして世界屈指の輸出シェアを誇るヒマワリ油の輸出量が大きく減少すると、されています。
図:ウクライナにおける主要農産物の輸出量 単位:千トン
USDAのデータによれば、ウクライナの輸出シェアは、トウモロコシが13.0%、小麦が8.3%、ヒマワリ油が46.7%です(2020年度)。
高シェアを誇るウクライナの輸出量が急減する見通しが示されたのは、ロシアによる黒海沿岸の主要港湾の閉鎖や、軍事侵攻で生産活動の一部に支障が出ているためです。(グテーレス国連事務総長の指摘でも言及されている)
その他、ロシアによる「囲い込み」拡大の懸念もあり、ウクライナ危機が終わらない限り、なくならない可能性が高い材料が複数あり、さまざまな方面から「食糧危機」が起きている と言えます。
「食糧危機」がもたらす4つの影響
以下は、筆者が考える「食糧危機」がもたらす4つの影響 です。「食品価格上昇(インフレ加速)」、「市民暴徒化懸念生む」「SDG’s機運停滞懸念生む」「穀物メジャー株など関連商品上昇」 という、影響が想定されます。
図:「食糧価格上昇」による4つの影響(筆者イメージ)
目下、FRB(米連邦準備制度理事会)は金融引き締めを強化しています。「インフレ(物価高)退治」が目的とされているものの、今のところ、利上げや量的引き締めなどの金融引き締め策の強化は、資金の巡りを悪化させたり、新興国からの資金引き上げ(米国への回帰)を加速させたりする、金融市場におけるマイナスの側面が目立っています。
足元、インフレが進めば進むほど、FRBはやっきになって金融引き締めを強化し、それがさらにマイナスの面を増幅させる、悪循環ができつつあります。つまり「食糧危機」は、FRBを介し、マイナスの面をもたらしているわけです。
また、思い起こせば、2010年初夏、ウクライナで大干ばつが発生したことをきっかけに、小麦価格が急騰し始め、トウモロコシと大豆がそれに追随しました。いわゆる「連想高」が起きました。
この時の「食糧危機」は、「アラブの春」(2011年~)のような政変の同時多発の主因となりました。コロナ禍、ウクライナ危機、米中対立など、混乱に枚挙に暇がない今、いつ現在の「食糧危機」が政変の同時多発を起こしてもおかしくはないでしょう。
さらに、「食糧危機」は、「SDG’s(国連が定めた時速可能な開発目標)」を停滞させる可能性があります。食糧価格高騰が起きると、食糧の一部を転用して作られるバイオ燃料の生産が停滞したり、高い食糧を買うことができず飢餓が進行する国が増えたりして、エネルギーや食糧供給の安全保障が脅かされるためです。
・アメリカは鉄道会社が肥料を運んでいなかった。その上、列車強盗急増で日本への輸出品も盗まれていた…?
鉄道会社の路線網。肥料を運んでいなかった。
アメリカの干ばつ
ウクライナ危機が長期化すれば食糧危機も長期化
以前の「金(ゴールド)に「100年越し」の長期上昇要因発生!? 」で述べたとおり、ロシアがウクライナに侵攻した動機に以下の2つが含まれているのであれば、ウクライナ危機は長期化する可能性があります。
・「脱炭素」を急速に進めて化石燃料を痛烈に批判し続けた西側に対し、インフレを長期化させて経済的なダメージを与え続けること
・資本主義を破壊するすべについて触れた、およそ100年前のロシア革命の指導者ウラジーミル・レーニンの言葉を体現すること
ウクライナ危機の長期化は、「食糧危機」が長期化することを意味します。この場合、先述の「食糧危機」がもたらす4つの影響の最後で述べた、「穀物メジャー株など関連商品上昇」も、長期化する可能性があると、筆者は考えています。(短期的な急騰ではなく、長期視点の上値切り上げ)(以下略)
とにかく、1年分以上 の食糧を確保しましょう。無農薬ササニシキ玄米 は2年分の備蓄 が必要ですね。味噌や醤油もさらに仕込んでおくのが賢明なようです。また、私はお客様に次のようにアナウンスしています。
「通販利用の購入は4月10日までに 済ませること。」
「キュウリやミニトマト、ナスなど野菜は時間稼ぎのためF1種の苗 でいいので栽培をはじめること。」
「苗以外は固定種の種 を購入し、すぐにプランター栽培をはじめること。」
「畑を借りるのは否定しないが、盗まれる ことを想定してペットボトル栽培 も検討する事。」
「盗まれないようベランダでのプランター栽培を推奨。」
「生育の早いラディッシュ は毎日家族分の種まきをすること。」
今回が食糧備蓄について最後のお知らせ とします。以下を参考に安心・安全な保存食を備蓄し、野菜のプランター栽培をはじめてください。
安心・安全な保存食
安心・安全な保存食とは、大きく次の4つがあります。
1.乾物:野菜や海藻類、魚介類などの食材を乾燥させて、水分をカラカラになるまで抜き、常温で数カ月以上の長期保存をできるようにした食品のこと
2.漬物:日本の伝統的な梅干しや白菜など野菜の漬物やキムチ、ジャムなどの食品
3.魚缶詰:サバやアジ、イワシなどの魚缶詰やツナ缶
4.穀類・豆類:玄米や雑穀、豆、スプラウトなど
1.乾物
乾物は水分を抜いているので微生物が繁殖せず、常温でも腐らずに保存できます。種類はとても多く、一般的には昆布、寒天、ひじき、干ししいたけ、切干し大根、高野豆腐など。他にも、豆類や麩(ふ)、麺類、のり、ワカメ、煮干し、桜エビなどがあります。
海苔
味付け海苔はダメです。また、韓国海苔も避けた方が無難です。前者は添加物まみれですし、後者はゴマ油が酸化しますので長期保存など危険です。
鰹節
削ってあるパック詰めでも悪くはないのでしょうが、自宅でその場で削った鰹節の味は別格でしょう。
だし昆布
これからは味噌が如何に大事なのか再認識されます。だし昆布も欠かせませんね。
とろろ昆布
個人的に大好きなのがこのとろろ昆布。お湯で戻すだけで食べれますのでお勧めです。
乾燥わかめ
味噌汁の具としてわかめも欠かすことはできません。
乾燥ひじき
好みは人により違いますが、私はひじきの煮物も大好きです。
乾燥もずく
私は海産物全般が好きなので、このもずくも欠かせません。
煮干し
煮干しも味噌汁のダシには欠かせませんね。
春雨
私はチャプチェが好きなので春雨も備蓄しています。
ごま
おひたしも大好きな私ですので、白ごま黒ゴマともに備蓄しています。
きな粉
私は甘いもの食べません。でも、甘いもの好きな方は、今後はきな粉が欠かせないものとなるのでは?
干しシイタケ
しいたけは超ーーーー大好きな食材です。干しシイタケも分厚いヤツは味が違いますよ。
切り干し大根
切り干し大根も好きです。と、ここまでピックアップしてみて、乾物は私が好きなものだらけだと今氣づきました。
高野豆腐
高野豆腐はほとんど食べた事ありません。が、保存食としては優秀なたんぱく源です。
ゲソ:スルメイカ
我が家の娘たち、とくに次女の子どもの頃はおやつ替わりにスルメイカ食べさせていました。お酒のおつまみにも。
漬物
漬物はできれば自家製を目指してください。私も味噌作りはじめましたし、梅干しは義母が作ってくれます。
ぬか床を用意すれば簡単かつ美味しい漬物を年中食べることができます。ので、ここでは昔ながらのしょっぱい梅干しだけご紹介しておきます。
干し柿
甘いもの好きな人のために干し柿だけはご紹介しておきます。
妻は、柿がないとダメな人なので…
魚缶詰
魚の缶詰です。後半にツナ缶をご紹介していますが、ツナ缶購入時は裏面を見極めて購入してください。
・サバ缶