大豆は日本人のソールフード。なぜ、ナッツ類や種実類は食物アレルギーの原因になる?
大豆油やサラダ油など、植物油はアレルギー発症の原因となります。しかし、大豆や納豆、枝豆などは日本人の健康に寄与するソウルフード。
一方で落花生、クルミ、ナッツ類などほぼすべての種実類は食物アレルギー発症の原因となりますので、食べ過ぎに注意が必要です。
例えば、落花生の代表的な生産地、千葉県では落花生を「食べ過ぎてはいけない!」「1日の摂取目安は20〜30粒まで」は常識です。この常識、静岡県(藤枝市岡部町)出身の私が知ったのはおおよそ20年前、40歳を過ぎた頃のこと。おそらく、日本人でもほとんどのヒトは千葉県民には当たり前の常識を知らないのではないでしょうか?
なぜ、落花生を食べ過ぎてはいけないのか?
落花生に限らず、種実類(枝豆や落花生、クルミ、ナッツ類など)は食べ過ぎてはいけません。その理由は以下でおおよそ想像がつくことでしょう。

ご覧の通り、食物アレルギーの原因食物第三位は木の実類。また、落花生は第五位です。(2020年)
なぜ、種実類の食物アレルギーが多いのか?
木の実(ナッツ)類と落花生はどちらも種実類。合計すれば第二位の牛乳より食物アレルギーの発症が多くなります。
では、健康的なイメージが強い種実類がなぜ?食物アレルギー発症の原因物質となるのでしょうか?
理由は必須脂肪酸含有の割合にある!
種実類の多くはα-リノレン酸(オメガ3脂肪酸)と比較して、圧倒的にリノール酸(オメガ6脂肪酸)を大量に含むという特徴があります。例えば、アーモンドは以下の表でα-リノレン酸0.01g(100g中)に対し、リノール酸は12.11gと120倍も含みます。

他のナッツ類や落花生も同じようなもので、唯一クルミだけが5倍程度と低値になりますが、リノール酸含有量は100g中40gを超えています。そんなリノール酸やα-リノレン酸は体内で以下のような働きをします。
・オメガ6:炎症を促す、アレルギー促進、血を固める
・オメガ3:炎症を鎮める、アレルギー抑制、血液サラサラ
オメガ6が炎症を促したりアレルギーを促進(異物を追い出す)働きがある一方で、オメガ3は炎症を鎮めたりアレルギーを抑制するという真逆の生理活性作用を持ちます。また、前者は種実類にたっぷり含まれますが、後者はごくわずか。
千葉県民は「落花生は1日20~30粒までが常識」とご紹介しましたが、摂れば摂るほどオメガ6の炎症を促しアレルギーを促進するという働きだけが強くなることが食物アレルギー発症の原因となります。
食物アレルギー発症するヒトとしないヒト
落花生を30粒食べても食物アレルギーを発症するヒトとしないヒトがいます。その差は大きく次の三つです。
1.サラダ油(植物油)や植物油脂、トランス脂肪酸などリノール酸を他の食材からたっぷりとっている一方で、DHAやEPAが豊富な〝天然の″魚介類の摂取量が少ないヒト
2.添加物や農薬、薬など異物の摂取量が多い
3.食物繊維の摂取量が少ない
体内の脂肪酸組成は食べた食物中の脂肪酸組成と相関します。したがって、1に該当すれば、元々体内はリノール酸(オメガ6)過多となり、必然的に炎症やアレルギーが発症し易くなります。
また、2は体にとって異物ですから、リノール酸(オメガ6)の異物を排除する働きが発動するトリガーとなります。
さらに、3の食物繊維の摂取量が少なければ少ないほど制御性T細胞が減少します。制御性T細胞は過剰な免疫反応にブレーキをかけ、自己の体を攻撃しないように調節する働きを持ちます。故に、不足すると免疫にブレーキをかけることができなくなります。
以上3つのバランスが悪ければ悪いほど、種実類のアレルギーが起きやすくなります。
なお、3については以下のことを再確認してください。
大豆の食物アレルギー
再度さきほどのグラフを添付します。上のあたり大豆が原因でアレルギーを発症するヒトが1.3%いることが確認できます。大豆油は植物油として使われますし、サラダ油の主原料のひとつです。

この大豆も種実類ほどではありませんが、リノール酸がα-リノレン酸の6倍程度含みます。したがって、理屈上は種実類と同じように食物アレルギーを発症し易い食べ物となります。枝豆がちょうど旬の時期ですが、好きなら毎日のように小皿に山盛り食べるというヒトは少なくないでしょう。
また、日本人は大豆を納豆や豆腐、きな粉、味噌汁、豆乳といった形で毎日のように食べ続けている人がほとんどです。さらに、現代人のほとんどは「炒める」「揚げる」といった調理で植物油からも大量のリノール酸を摂取しています。
以上のことから、大豆アレルギーは〝脂肪酸組成″という側面からだけで考えると理屈上は種実類並みの食物アレルギー発症率となっても何も不思議なことではありません。
でも、現実は上図のように1.3%の発症率です。
枝豆を食べると何が起きるのか?
夏になると、毎日のように枝豆を小皿に山盛り食べているヒトは少なくないでしょう。
下図の通り、枝豆100g中にリノール酸は4.39g含まれます。

例えば枝豆20~30房はおおよそ50~80gですから、これだけでリノール酸を2.2~3.5gと一日必要な量の2~3割摂ることになります。
事実として、1日3食食べている〝すべてのヒト″はリノール酸(オメガ6)過剰摂取状態です。したがって…
繰り返しになりますが、そんなヒト達が枝豆を食べればオメガ6は〝超過剰″となりさまざまな疾患リスクが上昇します。
注意1日3食食べて豆乳にきな粉入れて飲んでいる方!
近視(特に強度近視)や起立性調節障害、各種アレルギー発症リスクが高まりますよ!
しかしそれでも、大豆(枝豆)が原因の食物アレルギーは1.3%と低値です。そしてその理由は、枝豆の摂取が制御性T細胞(大腸Treg)の増殖を促進するからです。
枝豆が過剰な免疫応答の制御、腸管粘膜の安定化に重要な役割を果たしている大腸Tregの増殖を促進することが明らかになった。
・枝豆の炎症性腸疾患抑制作用について 金子 桃華, 五十嵐 美南, 他 2024年 52 巻 51-59 より引用
制御性T細胞とは?制御性T細胞は免疫の過剰な反応を抑えるように働く、免疫のブレーキ役です。例えば、受精卵は卵子(自己)と精子(ご主人:非自己)ですから、母(母体)にとって異物です。その異物を免疫が排除するように働きますが、そこで活躍するのがブレーキ役の制御性T細胞です。
・不妊でお悩みの方へ!妊娠維持に重要な働きをする制御性T細胞(Treg)をご存じですか?
・炭水化物が腸内細菌叢に与える影響 – 白米や皮を剥いた根菜類などは炭水化物ではない!
※ 制御性T細胞が増えれば増えるほど、免疫の暴走を防ぐことができます。簡単に言えば、これが多ければ多いほどアレルギー症状の悪化も防げます。
では、なぜ枝豆を食べると制御性T細胞が増えるのでしょうか?その理由は枝豆に含まれる食物繊維が豊富だから。
大腸Tregの誘導にクロストリジウム属細菌が主に関与していることが明らかになっている。
ヒト由来のクロストリジウム属細菌によるTreg誘導メカニズムの一つとして、食物繊維の発酵によって産生される酢酸、プロピオン酸、酪酸などの短鎖脂肪酸の関与が報告されている。
このような報告から、食物繊維含量の多い枝豆の摂取が腸内細菌の短鎖脂肪酸の産生を亢進させ、大腸Tregの増殖を促進していることが考えられる。
・枝豆の炎症性腸疾患抑制作用について 金子 桃華, 五十嵐 美南, 他 2024年 52 巻 51-59 より引用
食物繊維をたくさん摂る → 腸内細菌が短鎖脂肪酸の産生を増やす → 制御性T細胞が増殖(大腸Treg)
以上のような流れが起きるわけですが、ここでひとつの疑問にぶち当たります。
ナッツ類など種実類も食物繊維が豊富!
枝豆に含まれる食物繊維は約4.6g/100g中です。一見豊富な量に思えますが、食物アレルギーの原因となるクルミやアーモンド、落花生などの方が遥かに食物繊維が豊富です。

理屈で言えば、枝豆よりナッツ類や種実類はより多くの制御性T細胞を産生できるはずです。が、現実には食物アレルギー発症者が遥かに多い。そこで再び必須脂肪酸含有量を確認しておきましょう。

リノール酸とα-リノレン酸の含有比率は枝豆が約6:1である一方で、クルミを除いたナッツ類や落花生は100:1を遥かに超えています。
これらのことから、食物繊維をたくさん摂ることは必要であるが、必須脂肪酸の摂取比率も重要であることが容易に想像できます。
まとめ
味噌や納豆、豆腐、豆乳、おから、きな粉、枝豆、大豆もやしなど長年、日本人が主食として食べ続けてきた大豆。私たち宿主と共生している腸内細菌も、大豆や玄米、海藻類に適応してくれたのでしょう。
なお、別記事でもご紹介しましたが、この冬、どう考えても食糧危機が来そうなので再度ご紹介します。
乾燥大豆を備蓄し、以下を自分たちで作って有事に備えよう!
私は乾燥大豆を10キロ備蓄し、5キロずつ補充して味噌、白味噌、納豆、豆腐、豆乳、おから、きな粉、大豆もやしを作っています。参考にしていただければ幸いです。
1.乾燥大豆を購入しましょう
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2.味噌
乾燥玄米麹を購入し味噌を10キロ以上仕込んでいます。なお、味噌づくりに必要な塩は、海の塩もしくは岩塩を使ってください。
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・簡単!味噌屋が教える失敗しない手作りみそ作り方(出典:マルカワみそ)
3.白味噌も自家製です
こちらはヨーグルトメーカーを使えば2日(大豆を1日水に浸す+ヨーグルトメーカー)で白味噌が出来上がります。
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材料は基本、味噌と同じです。ヨーグルトメーカーを使わなくても1週間で完成です。
4.納豆 ← 超お勧め
こちらはヨーグルトメーカーが必須です。材料は乾燥大豆と市販納豆。市販納豆は遺伝子組み換えではない国産の大豆を使ったものを選びましょう。
乾燥大豆200gを水に浸すと約460g〜600gとなります。市販納豆は1パック40~50gですから、仮に水を含んで最小の460gだとしても9パック分作ることができます。
乾燥大豆5キロ2980円ですから、200gで120円。これで9パック。つまり3パックで40円。市販納豆は3パックで100円くらいですから、物価高でも優等生となりますね。
5.豆腐・豆乳・おから
にがりが必要ですが、豆腐も豆乳を搾る時の熱ささえ我慢できれば問題なく作れます。
豆乳を使って豆腐を作った方は少なくないでしょう。
でも、乾燥大豆を使って豆腐を作れば…
・豆腐の作り方|大豆とにがりと豆腐箱で作る、できたて絶品豆腐
その過程で生じる豆乳やおからを再利用できます。
その他にも「おからレシピ」や「豆乳レシピ」など、検索していろんな食材を作っています。
中でもお勧めなのが豆乳で作ったチーズです。
6.大豆もやし
夏なら1日2~3回の水替えで約1週間で大豆もやしは完成です。でも、冬は温度不足で作れません。
冬でも室内を十分に暖かくしてる北海道なら容易に大豆もやしは作れるでしょう。
なお、乾燥大豆50g程度で市販と同程度のもやし(約200g)ができます。市販もやし40円くらいでしょうか?乾燥大豆50gは約30円ですから、手間を考えるとお得とまではいえないですね。
でも、この冬は重油高騰でもやしも高騰するでしょう。また、重油不足でもやしを作る会社自体が消滅する可能性もあります。さらに、ディーゼル燃料の高騰で物流が停止し、お店の棚に並ばなくなる可能性も想定されます。
まさかの時のために想定だけはしておきましょう。
7.きな粉
きな粉は乾燥大豆を炒ってからミルで粉砕すれば完成です。
今後、皆さんが大好きなスイーツなどが〝ほぼ″消滅する可能性が大ですね。
我は小豆と玄米麹で発酵あんこを作っていますが、今後はこの類が貴重な甘味となることでしょう。また、この発酵あんこにきな粉をかければ違った甘味として楽しめますよ。




