子どもを授かる前の女性に伝えたいこと!:周産期うつが生まれた子どもに与える影響!

コロナ禍、うつ病の発症者が大幅に増えているようです。また、妊娠期および産後に精神的な問題を抱えている女性も増えているようです。

なぜ、私がこの点を何度も指摘しているかというと、それは私の母の経験があるからです。

私は幼い頃から「母がキチガイ」だと思っていました。そして、その思いは私が大学に入るまでずっと続いていました。

一方、私も大学時代まで壊れていましたが、ある経験ことからまっとうな人間になりました。短期間のうちに壊れていた私が、まともな思考と行動ができるようになりました。

驚いた私は、同じことを母に試みました。すると…

母も、同じようにまともどころか、私が自慢できるほどの人格者となりました。

どんなことでそう思ったのかそのエピソードをご紹介しましょう。

(まともになった)母が、青信号で横断歩道を渡っていた時、信号無視をした車にはねられました。

幸い、骨折レベルのケガで命に別状はありませんでした。

私が病室にかけつけたタイミングで加害者の男性がやってきました。すると、母は声を荒げるどころか冷静にその男性に声をかけました。(私は、その男性を見てムカッときていました。反省)

「あなた奥さんと子どもは…?」

「妻と小学生のふたりの娘がいます。」

「あなたがわざと私をはねたわけではないことはわかっています。そんな顔をしてお父さんが家に帰ったら、私はお嬢さんたちや奥さんのことが心配になります。

私は大丈夫。お嬢さんや奥さんの為に、事故のことは忘れて笑顔で家に帰ってあげて!」

息子として心の中で「お~、この人から生まれてきて良かった…」と思いました。

どういうことかわかりますか?

母はキチガイだったのではなく、産後うつが20年以上続いていただけの話だったのです。そして、母がそうだったのですから、妊娠期や産後にうつ(自覚している人も無自覚の人も)になった女性の多くは、その後も精神的に病んだ状態で生きている可能性が高い。私は、この事実を伝えたいのです。

コロナ禍におけるメンタルヘルスの実態と科学的根拠に基づく対策の必要性 國井 泰人 2021 年 26 巻 11 号 p. 11_40-11_46

(前略)2021年5月12日に公表された、経済協力開発機構(OECD)のメンタルヘルスに関する国際調査の結果5では、うつ病症状を有する日本人の割合は、コロナ禍前の7.9%(2013年調査)に対し、2020年では17.3%と2.2倍に増加していた。(以下略)

うつ病症状を有する人が2020年で2.2倍ということですから、3年続いているコロナ禍さらに増えている可能性が高いと思われます。。

日本のCOVID-19禍における周産期うつの実態とその関連要因 堀口 範奈, 中澤 港, 他 2022 年 42 巻 p. 509-517

(前略)回答者の年齢は,10 代 4 名(0.17%),20 代 668 名(28.5%),30 代 1,491 名(63.7%),40 代 179 名(7.6%)であり,初妊産婦 1,503 名(64.2%),経妊産婦 839 名(35.8%)であった.(中略)

周産期うつ高リスク者は,妊娠期 108 名(14.6%),産後 1 年未満 351 名(21.9%)であった。(中略)時期別の周産期うつ高リスク者割合は,妊娠期は中期 17.6%,初期 16.2%,後期13.6%の順となった.児の月齢別では 1 か月未満25.5%,7 か月以降 23.7%,4 か月以降に 7 か月未満22.3%,1 か月以降 4 か月未満 19.1%であった(図 1).

また抑うつを自覚している人は 298 名(12.9%)であり,自覚をしていない人のうちで周産期うつ高リスク者の割合は妊娠期 14.3%,産後 21.6%であった

(以下略)

うつを自覚している人が12.9%で、自覚をしていない人が妊娠期14.3%、産後21.6%ということは、妊娠期は12.9+14.3=27.2%、産後12.9+21.6=34.5%ということなのでしょうか?

また、調査の方法を変えると、約半数の妊産婦がメンタルヘルスに問題を抱えているという結果が示されています。

妊娠後期・産後におけるn-3系多価不飽和脂肪酸摂取量とメンタルヘルスとの関連 坪内 美穂子, 徳留 裕子,他 2019 年 13 巻 4 号 p. 321-331

メンタルヘルスに問題のある妊産婦の割合は、EPDS に基づくうつ状態にある者は 10~20%、HQ12 および MCS に基づく精神的健康状態に問題のある者は、30~50%であり、メンタルヘルスに問題を感じている者が少なからず多いことが示唆された。

そして、そんなお母さんから生まれた子どもに次のようなリスクがあることも知ってください。

COVID-19パンデミックによって増加する周産期うつ病に対する栄養学的戦略 久保 佳範 , 押田 恭一 2021 年 10 巻 1 号 p. 26-45

1. 周産期うつ病と DOHaD

疫学研究のメタアナリシスやシステマティックレビューより出生前の精神的ストレスやうつ病は、早産のリスクと関連していることが知られている。

妊娠中の精神的ストレスは、妊娠女性の喫煙率の上昇、飲酒、食習慣の悪化を伴い、それらに加えて母体のグルココルチコイドやカテコールアミンなどのストレスホルモンの上昇や反応性の亢進、胎盤機能不全による虚血や胎児への栄養素の移行が制限されることにより、早産を引き起こすと考えられている 。

加えて妊娠女性のうつ病が免疫系を障害し、早産に関連する細菌性膣症を引き起こす可能性も示唆されている。また、周産期にうつ病に罹患していた母親から生まれた児は、小児期に注意欠陥多動性障害認知および言語発達の遅延問題行動および情緒障害リスクが高まることが報告されている

一方で出産後には、産後うつ病によって育児の質が低下し、乳児が母親からストレスを受けることなどが指摘されている

Developmental origins of health and disease(DOHaD)の概念においては、胎児期の曝露要因は多岐にわたり解釈が複雑ではあるが、グルココルチコイドの胎児循環が増加すると、胎児の頭部の成長の抑制、視床下部-脳下垂体-副腎皮質軸の発達およびストレス反応に関連する神経内分泌系のエピゲノムの変化(遺伝子の塩基配列そのものは変化せず、遺伝子発現量を変化させる)により胎児の発育に様々な影響を及ぼすことが示唆されている。

したがって、次世代の精神疾患のリスクに影響する可能性のある周産期うつ病の予防や治療は、DOHaD 理論における重要な課題の一つである。

2. 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって引き起こされたメンタルヘルスへの影響

COVID-19 パンデミックに対して、各国でロックダウン政策の実施や生活活動の制限・自粛が行われている。これらの政策は人々に自由な活動の抑制をはじめとした心理的苦痛をもたらし、精神状態の悪化や、うつ病の有病率を増加させることが報告されている 。

日本において一般人を対象とした COVID-19 パンデミック時におけるうつ病の推定有病率の調査で
は、緊急事態宣言による外出自粛要請時(2020年 5 月)は17.9%、感染第2 波(2020年7月)の時点では 18.4% であり、COVID-19 パンデミック発生前の日本におけるうつ病の有病率 2~8%と比較して著しく高く、2011 年に発生した東日本大震災の際に福島県住民のうつ病有病率である 12~14%をも超える状況である

さらに、女性は男性よりも COVID-19 パンデミック発生時にストレスの影響を受けやすく、うつ病に罹患しやすいとする報告がある。この性差は生物学的、心理的、社会的要因等の相互作用の結果であると考えられている。

周産期における COVID-19 パンデミック時の妊娠中や産後の女性を調査した研究やレビューでは、COVID-19 パンデミック前と比べて、不安やうつ病の発生率が有意に高いことが示された。

COVID-19 パンデミックに関して、日本人妊娠女性を対象とした報告では、うつ病の有病率(エジンバラ産後うつ病自己評価票 (Edinburgh Postnatal Depression Scale: EPDS)、カットオフ値≥ 13)の割合は、17.0%(妊娠初期 20.0%、妊娠中期 17.9%、妊娠後期 15.2%)であった

厳密に比較することは難しいが、1994 年 1 月から 2017 年 12 月までの日本人の周産期うつ病の有病率(主に EPDS カットオフ値≥ 9)を報告したメタアナリシスでのうつ病の有病率は、妊娠中期 14.0%、妊娠後期 16.3%であり(EPDS カットオフ値≥ 13 よりも高く見積もられる)、COVID-19 パンデミックにより周産期うつ病が増加している可能性が高い

3. 周産期うつ病に対する戦略と栄養学的知見

うつ病への介入には、薬物療法、心理療法、運動療法、および代替療法などがある。妊娠中の選択的セロトニン再取り込み阻害薬の使用は、催奇形性リスクがあると報告されており、その他の抗うつ薬についても、児への副作用のリスクに関するエビデンスは一貫していない 。

また、抗うつ薬による治療は胎児に間接的に影響を及ぼすのではないかという印象から、妊娠女性が抗うつ薬の使用を躊躇する傾向にあり、抗うつ薬に代わる方策が必要とされ、非薬物療法の検討が求められている。

妊娠中の精神症状に対する治療効果を調査したメタアナリシスでは、認知行動療法または対人療法は周産期うつ病に対して効果があり、運動療法や鍼治療も中程度の効果があることが報告されている。

しかし、心理療法的介入は、経済的および時間的負担が障壁になり、特にCOVID-19 パンデミックの状況下では、母親学級が中止され周産期における有用な支援を得る機会が減少していることが報告されている。

また、外出を制限される状況下では身体活動量の低下があり、運動療法を行うには室内での実施など工夫が必要である。一方で、周産期うつ病の新しい対策として、栄養学的介入が必要であることが示唆される。

妊娠中の胎児の成長や産後の授乳に伴う栄養要求の増加により母体が低栄養状態、周産期特有の変化としての炎症、酸化ストレスの増加、葉酸などのエピジェネティック修飾に影響を与える栄養素と、更には腸内細菌叢の状態は、うつ病のリスクに関連していると考えられている。

一方で、COVID-19 パンデミックは人々の食生活行動の変容も引き起こしている。COVID19 パンデミック前と比べて、パンや穀類の摂取量の増加、脂質の摂取量の上昇、間食(菓子やスナック類)の増加などが報告されている

この現象は、現実及び将来への否定的な感情により、高エネルギー食品(高炭水化物、高脂肪、甘いもの)の過剰摂取を引き起こす感情的な過食(Emotional eating: EE)によるものと考えられている。

妊娠女性においても COVID-19 パンデミックによって、EE が発生しており、EE スコアが高いほど穀物や油脂類の摂取増加および魚介類の摂取減少と関連していることが示された。COVID-19 パンデミック時の日本人周産期の女性の食生活に関する調査報告はないが、不健康な食生活に変化している可能性が高い。

すなわち、栄養状態を適切に維持することは、COVID-19 パンデミック下における周産期うつ病の予防に対する実行可能な戦略と捉える事ができる。そこで本稿では、COVID-19 パンデミックに関連して、周産期うつ病に対する栄養学的戦略の検討を行った。

n-3 系多価不飽和脂肪酸

末梢と中枢神経の両方の炎症が、うつ病の原因であり、また、症状の発生に関与していると考えられている。

うつ病患者では、健常者と比較して脳脊髄液中のインターロイキン-6(IL-6)のレベルが上昇している。また、健常な妊娠女性において、炎症マーカーである C反応性蛋白のレベルは、妊娠初期 から分娩時まで、非妊娠時より高値を示す。

妊娠期は同種異系の受精卵そして胎児を母体が許容する為に、免疫寛容がなされる必要がある。免疫寛容は、トリプトファンを異化する酵素であるイ実際に、IDO 阻害剤を動物に投与すると胎児流産率が高くなる。

IDOは、インターフェロンγ、腫瘍壊死因子-α、IL-1、IL-6、プロスタグランジン E2 (PGE2)等の炎症メディエーターにより誘導されることが知られている。うつ病患者では、IDO 経路が活性化されており、血中トリプトファン濃度が健常者と比較して有意に低値を示しているという報告がある。

免疫寛容成立の為にトリプトファンを出発物質とするキヌレニン経路が活性化され、その結果として、3‐ヒドロキシキヌレニンやキノリン酸が生成し、うつ病が発症するとの仮説がある。また、代謝関連物質のキサンツレン酸は妊娠悪阻の原因物質であることも興味深い。

特に栄養が関与する炎症メディエーターには、欧米化した食事に多く含まれる n-6 系多価不飽和脂肪酸(n-6 polyunsaturated fatty acid: n-6PUFA)のアラキドン酸から合成される PGE2や、腸内細菌叢の異常によって引き起こされるリポ多糖の上昇などが候補として考えられている。

n-3 系多価不飽和脂肪酸( n3 polyunsaturated fatty acid: n-3 PUFA) は n-6PUFA と生理作用が拮抗しており、抗炎症作用をはじめとして、神経伝達物質、ペプチド、ホルモンに関連した様々な生理機能および認知機能に影響を与えている。

魚介類の摂取量とうつ病の発症率は、負の相関関係があり、かつて魚を比較的多く摂取していた日本人のうつ病の罹患率が少ないことが示されている。n-3PUFA のうちドコサヘキサエン酸(Docosahexaenoic acid: DHA)は、神経細胞膜の流動性に影響を与え、神経伝達物質の伝達制御に関与している

一方、エイコサペンタエン酸(Eicosapentaenoic acid: EPA)は、DHA と比較して脳内に僅かしか存在しないので、血液脳関門をほとんど通過せず末梢神経を介して脳に作用すると考えられていた。しかし、最近の研究では、EPAは血液脳関門を通過して脳内に入ると速やかに代謝されることが確認されている。

脳全体では、DHA濃度はEPAの約250倍であるが、ミクログリア細胞では EPA はDHA の少なくとも 2 倍存在している。EPAが末梢の炎症反応を抑制することで、中枢神経の炎症を抑制するという報告もある。

血中脂肪酸と周産期うつ病との関連を調べた研究では、血中 EPA、DHA、総 n-3 PUFA 割合(%)
が高いと、うつ症状のオッズ比は低く血中総n-6 PUFA /n-3 PUFA 比が高いほど、うつ症状の発生率が高くなることが報告されている

妊娠女性の脂肪酸摂取を調べた研究では、n-6PUFA /n-3 PUFA 摂取比率が高い程、うつ症状の発生率が高くなることが報告されている。また、妊娠中に魚介類からの n-3 PUFA 摂取量が少ないことが、うつ症状と関連しているという報告がある

これまでに報告されたうつ病の周産期の女性を対象として、n-3 PUFA を投与した 3 報のランダム化比較試験( Randomized controlledtrial: RCT)のうち、2.2 g/日の EPA と 1.2g/日の DHA を摂取した試験群においてプラセボ群に対してうつ症状を改善し治療的効果を示した。

効果が示されなかった 2 つの RCT では、EPA より DHA を高含量含むサプリメントが投与された 。メタアナリシスでは、総脂肪酸に占める EPA 割合が 50%以上のサプリメントはうつ状態の改善に有効であるが、DHA 割合が 50%以上では効果が無かった

その後、同著者がメタアナリシスを再解析し、EPA 割合が 60%以上では効果があるDHAの割合が多いサプリメントでは効果が低下するとした

EPA の方が DHA よりうつ症状を改善する効果が高い事に対しては幾つかの機序が想定される。EPA と DHA はアラキドン酸と競合することにより、アラキドン酸由来の炎症惹起性メディエーターの生合成が減少することにより抗炎症特性が現れる。この作用は、DHA より EPA の方が強いと考えられる。

また、n-3PUFA で EPA と DHA の中間代謝物である n-3系のドコサペンタエン酸(n-3 docosapentaenoicacid: n-3 DPA)の摂取は、抗炎症作用、抗血小板凝集作用、血漿脂質の改善など健康に有益な効果をもたらす可能性があることが報告されている。

EPA や DHA は炎症収束機能を持ったメディエーターである Specialized Pro-resolvingLipid Mediator (SPM)に変換される。

最近、DPA から合成される SPM として、n-3DPA 由来プロテクチン D1(PD1n-3 DPA)が見つかった。 PD1n-3 DPA は、神経炎症を軽減することが知られている。食品中で n-3 DPAを高含量含むものは少ないので、n-3 PUFA の代謝系を考えると、DHA よりもその前駆体の EPAを高比率含むサプリメントを摂取する方が良いと思われる。

米国精神医学会では、すべての成人を対象として週に 2 回以上魚を食べること、気分障害、衝動制御障害、精神疾患の患者に 1 日 1 g 以上の EPA、または EPA と DHA を組み合わせて摂取することを推奨している

また、国際栄養精神医学会( International Society forNutritional Psychiatry Research)は、うつ病治療における n-3 PUFA 摂取のガイドラインを策定しており、補助的治療法として EPA 単体または EPA と DHA の組み合わせ(EPA を 1~2 g /日、EPA/DHA 比は>2)を 8 週間以上継続して摂取することを推奨している

以上のことから EPA は、うつ病の治療に有望な栄養素の一つと考えられる。

葉酸

葉酸はワンカーボン代謝経路(図 3)の葉酸サイクルにおいて、核酸合成に利用される他、ホモシステインからメチオニンを合成し、メチオニンの代謝物のS-アデノシルメチオニンは、DNA やヒストンのメチル化(エピジェネティック修飾)、モノアミン系神経伝達物質(セロトニン、ドーパミン、ノルエピネフリン)の生体内合成に関与している。

葉酸が不足すると、モノアミン系神経伝達物質の合成量が低下することから、うつ症状のリスクが高まると考えられている。

また、血中ホモシステイン濃度とうつ症状の重症度との間に正の相関が示されることから、葉酸不足によって引き起こされるホモシステイン濃度の上昇もうつ病に影響していると考えられている。

さらに遺伝学的研究では、葉酸代謝および血中ホモシステイン濃度に影響を与えるメチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素(Methylenetetrahydrofolate reductase: MTHFR)の MTHFRC677T 遺伝子多型のうち TT型は CC型に対してうつ病と診断される確率が1.36倍高いことがメタアナリシスで示されている。

一般人を対象に葉酸とうつ病との関連を調査したメタアナリシスでは、うつ病患者は、健常者に比べて、葉酸の血清濃度と食事からの葉酸摂取量が低いことが示されている。妊娠女性を対象とした研究では妊娠中の血中葉酸濃度が周産期うつ病と負の関連を示した報告と、関連がみられなかった報告がある。

また、食事からの葉酸摂取量が周産期うつ病と負の関連を示した報告と関連がみられなかった報告がある。

サプリメントなどに添加されている葉酸(プテロイルモノグルタミン酸)の効果を調べた研究では、妊娠中に 6 ヶ月以上葉酸サプリメントを摂った妊娠女性は、6 ヶ月未満と比較して、産後うつ病の有病率が低いことが報告されている

MTHFRC677Tの TT型の妊娠女性に限り、妊娠中のサプリメント葉酸摂取が産後うつスコアを減少させた報告がある。葉酸の摂取が周産期うつ病に対して関連を示した報告があり、質の高い研究報告が今後期待される。

ビタミン D

ビタミンD受容体はヒトの中枢神経に広く分布しており、ビタミン D 欠乏は、うつ症状に関与する神経伝達物質であるセロトニンの減少 、うつ症状の発症の原因となる神経細胞の Ca 2+の異常な上昇(Ca 2+シグナル伝達経路の調節不全)を引き起こすと考えられている。

また、ビタミンDは、神経免疫調節と神経可塑性への関与、うつ病の原因となる炎症メディエーターを減少させる

ビタミンDは食品から摂取する以外に、皮膚に蓄積した7-デヒロドコレステロースへの紫外線 B 波(Ultraviolet B: UVB)曝露によっても生体内合成されるので、被験者の環境条件を均一にすることが困難であることから、栄養学的評価が難しい栄養素であり、生体内のビタミン D 状態の評価には血中の 25-ヒドロキシビタミン D[25(OH)D]濃度が用いられる。

システマティックレビューでは、25(OH)D欠乏状態と、周産期のうつ病に関連があることが示されており、妊娠中のビタミン D 欠乏症と産後うつ病を調査したメタアナリシスでは、血清 25(OH)D 値が 20 ng/mL 未満の場合は、20ng/mL 以上の場合に比べて産後うつ病のリスクが 2.67 倍高いことが示された。

COVID-19パンデミック前の日本人妊娠女性の血清25(OH)D濃度を測定した研究では、代表値が 10~20ng/mL(60~90%の女性が 20 ng/mL未満)と、既に我が国では深刻なビタミンD欠乏状態であることが報告されている。

COVID-19 パンデミック下では外出を制限されることによって身体活動量の低下や屋内に留まる時間の延長が報告されており、ビタミン D 合成に必要な UVB 曝露時間が減少し、さらなるビタミン D 欠乏が予測される。妊娠女性の血清25(OH)D 濃度とビタミン D 摂取の関連を調査した研究では、食事でビタミン D を 2 µg/日摂取すると、血清 25(OH)D 濃度が 1 ng/mL上昇することが示されている。

例えば 25(OH)D 濃度を 10 ng/mL から 20 ng/mLに上昇させる場合には 20 µg/day のビタミン D の摂取が必要であるが、国民健康・栄養調査の妊娠女性のビタミン D 平均摂取量が 4.0(中央値 3.2)µg/day であることを考えるとサプリメントの使用も考慮していく必要がある。

妊娠女性に対して高容量ビタミンD摂取の安全性を評価した試験では、妊娠 12 週から 16 週の女性に対し出産時まで100 µg/day までのビタミンD3を摂取させたところ、有害事象は示されなかったことから、100 µg/day までのビタミン Dサプリメントの使用は安全と考えられている。

一般人を対象とした RCT のメタアナリシスでは、抗うつ薬の効果と比較して、ビタミン Dの補給(20 µg/day 以上)は同等の効果があることが示されている。妊娠後期の女性を対象とした RCT では、投与群(ビタミン D3 50µg/day)はプラセボ群と比較して周産期うつ病罹患率が低かった。

多くの研究でビタミンD欠乏が周産期うつ病の発症と関連していることが報告されているが、因果関係を証明する為にはさらなる RCT が必要である。ビタミンDと周産期うつ病の研究は、近年急速に増えており、今後の新たな知見の蓄積が期待される。

ミネラル

鉄は、ドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリンなどのうつ病の発症に関連する神経伝達物質の合成に関係している。低い血中の鉄(フェリチン、ヘモグロビン)濃度が周産期うつ病発症に関連が示された報告と、関連がみられなかったという報告がある。

更に、妊娠中に貧血を有する場合、産後うつ病のリスクが高いことが示されている。システマティックレビューでは、産後うつ病に対する鉄補給の有効性が示されている。亜鉛は神経細胞のセロトニンの取り込みに影響を与える可能性があり、脳由来神経栄養因子のレベルを増加させる可能性がある。

妊娠中および産後の血清亜鉛濃度とうつ状態に負の関連性が報告されており、妊娠中の亜鉛摂取が十分でないとうつスコアが高いという報告もある。

カルシウムはセロトニン合成に関係するトリプトファン水酸化酵素を活性化し 、さらに、脳内のドーパミン合成はカルシウム/カルモジュリン依存性システムによって増強されると考えられている 。妊娠中のカルシウム摂取量がうつ病と負の関係を示したという報告がある。

ミネラルの摂取が、周産期うつ病に関連しているという報告が散見される。どの位の摂取量が効果を示すかという結論には至っていない為、更なる研究の蓄積が必要である。

腸内細菌叢・プロバイオティクス

腸内細菌叢(腸内フローラ)は、脳腸相関(脳と腸における、自律神経系、ホルモンやサイトカインなどを介する相互的な関連)を通じて、メンタルヘルスに関連する栄養素の代謝および神経伝達物質の情報伝達に関与している。

プロバイオティクスは適量を摂取したときに、宿主に健康上の有益な効果をもたらす生きた微生物と定義されている。うつ病に対するプロバイオティクスの効果については成人で行われた RCT のシステマティックレビューにおいて、有効性が示されている。

また、周産期の母親の腸内細菌叢の乱れが、うつ病または不安症状に関与することが報告されている。産後うつ病の効果を調べた RCTではプロバイオティクスを投与された群は、プラセボ群と比較して、産後うつ病と不安スコアが有意に低かった。一方で肥満の妊娠女性には効果を示さなかった。

腸内細菌叢やプロバイオティクスのメンタルヘルスについての研究は近年増加している。

4. COVID-19 パンデミックにおける周産期うつ病に対する栄養学的戦略

COVID-19 パンデミックにより、周産期うつ病の罹患率の増加が懸念され、周産期うつ病は次世代の健康に影響する可能性がある為、周産期うつ病に対して安全に予防・治療する戦略を検討する必要がある。

周産期うつ病に対する栄養学的知見についてレビューした結果、周産期うつ病の予防・治療における RCT が不足しており、因果関係が不透明なものが多く、EPA以外は明確な結論に至らなかった。

加えて COVID-19 パンデミックの影響による食習慣の変化に伴い、周産期うつ病発症に関連する栄養素の摂取量が不足し、周産期うつ病のリスクが上昇する可能性が考えられるが、COVID-19 パンデミック時の日本の周産期の女性の栄養素摂取量の実態は不明である。

特に周産期うつ病に関連するEPAやビタミンDの主な供給源である魚の摂取量が不足していることが懸念される

以上のことから、周産期の女性の食事アセスメントや関連するバイオマーカーの測定を行い、栄養状態の実態を把握した上で、周産期うつ病に関連を示す可能性のある栄養素の介入試験を行う必要がある。

そのエビデンスを基に的確な栄養学的支援を行うことが望ましい。オンラインセミナーによる知識の啓発や食糧支援などにより、周産期の女性の栄養状態を良好に保ち、周産期うつ病を予防することにより、健康で健やかな児の発育・発達を目指す必要があると思われる。

まとめ

ホンのわずかでも、奥さんやご主人、お子さんのメンタル面に問題があると思われるなら、家族みんなで10日間チャレンジを始めてください。

そして、今からやってくる食糧危機をチャンスとしてください。

安心・安全な食事を1か月続ければ、夫婦関係や親子関係、家族の関係は驚くほど大きく変わります。

不平不満が無くなり、家族は皆笑顔が溢れ、穏やかで前向きに行動できるようになります。

逆に、今後も食べ物ではないものを食べ続ければ…

もう、破滅へ向かって生きることになる。私は本気でそう思っています。

以下の5つはチクワを食べた方はもちろん、不調のあるなしに関わらずすべての人にお勧めしております。

1.10日間チャレンジ

2.減塩を止める – 塩(どの塩を買ったらいいかわからない方はラメールをお試しください)をとる

3.小麦断ち

4.16時間節食

重曹+クエン酸

チクワを食べた方は以下の記事は必読です。お役立てください。

年度末は眠っている家族や親戚。「体調+メンタル」不良を改善する大チャンスかも?
↑ページ内で問診票が無料ダウンロードできますのでお役立てください。

16時間節食(1日の中で16時間以上食べない時間を確保する)は重要ですよ。

病気の臓器細胞は十分な節食時に病気の白血球に戻ります。また、その病気の白血球も赤血球に戻り、その後アポトーシスします。真剣に取り組むことを心からお勧めします。

【拡散希望!】ワクチン打っても食事を改善すれば助かるかもしれません!すべては赤血球の質です

 

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Posted by sinsd