「えごま油」や「亜麻仁油」の加熱調理は可!という専門家の話を鵜呑みにしてはいけません!

「蕁麻疹がでなくなりました!

専門家が言っているからと、鵜呑みにしてはいけないですね!」

世の中にはいろんな分野に専門家がいます。また、そんな専門家の中には本を出している方もいますが、本の内容には驚かされることが度々あります。

例えば、ベストセラーになった新谷弘美さんの著書「病気にならない生き方」では、牛乳の害について次のような記述がありました。

「生まれたばかりの子牛に牛乳を与えると。その子牛は4~5日で死んでしまう。だから、牛乳は有害である。」

「日本ではここ三十年くらいのあいだに、アトピーや花粉症の患者が驚くべきスピードで急増しました。(中略)その第一の原因は、(中略)学校給食の牛乳にあると考えています。」

「カルシウムをとるために飲んだ牛乳のカルシウムは、かえって体内のカルシウム量を減らしてしまう」

著者の新谷さんは医者ですが、上記のような指摘には根拠がありません。また、意味がないことを意味があるように見せかけています。

例えば、「子牛に牛乳を与えると死んでしまう」と書いていますが、そもそもこんな指摘することがマチガッテいます。

なぜなら、子牛のエサは牛の乳だからです。殺菌高温処理をした牛乳は子牛本来のエサではありません。タンパク質は熱を加えるとその性質が変わります。したがって、牛の乳と牛乳はまったく別物です。

その別物をエサとして食べて、もし子牛が死んだとしても何の意味があるのでしょうか?それを人間に当てはめることなど、まったくの無意味です。この著者は、そんなことにも気づいていません。

この本は100万部を超すベストセラーでしたから、この類の指摘を鵜呑みにしてしまった方は少なくないでしょう。困ったものです

また、先日私は奥山治美さんの「オリーブオイル・サラダ油は今すぐやめなさい!」という本を購入しました。というのも、この本を読んだお客様から後述するような相談をいただいたからです。

この本のP80には次のような記述があります。

ページタイトル

「えごま油、亜麻仁油は加熱調理にしっかり使えます。」

本文

健康にいいといっても、えごま・しそ油、亜麻仁油は酸化しやすいので加熱して使えないという誤解が広く、深く浸透しているようです。実際、商品のパッケージにも、「加熱しないでください」と書かれています。

その理由をメーカーに聞いてみると、加熱すると、「異臭が発生する」「せっかくのα‐リノレン酸が壊れてしまう」「油が酸化する」という回答でした。

正解をお伝えしましょう。

低温で圧搾(コールドプレス)したえごま・しそ油、亜麻仁油は、普通の揚げもの、炒め物より高い温度 -200℃程度までなら異臭が立つことはありません。また、加熱で《α‐リノレン酸》が壊れることはありません。

また、すべての油が加熱するにしたがい酸化しますが、調理加熱で酸化しても、からだに害を及ぼすことはありません。これについては、P82で詳述します。

そして、より安定した、酸化しづらい油を求めて、酸化防止剤としてビタミンE、Cを添加したえごま・しそ油が商品として売られるようになりました。抗酸化のビタミンを加えることで、他の植物油と同等の安定性を保っています。

私の家庭でも、本書の編集部員の家庭でも、ふだんの調理にえごま・しそ油、亜麻仁油を使っています。問題を感じたことはありません。安心して、調理油として使ってください。

この方は、他の著書でもえごま油を加熱調理で使っても大丈夫と紹介しています。また、この方の主張を取り入れ、水戸黄門の印籠のように使って「えごま油を加熱調理に使って大丈夫!」と謳っているメーカーがどんどん増えているようです。

例えば、以下の会社がそのひとつです。

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ジュンコオイル
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JUNKO OILの特徴

上記のページでは次のような商品説明がなされています。

 

加熱時に直目して、みなさまに安心安全な食用油を提案致します

 

ベジタブルJUNKOOILは自然のまま、圧搾抽出しているので大豆本来の栄養素が豊富に含まれています。現代人に不足がちなオメガ3やビタミンEなどこれらの栄養素がたっぷりです。特に育ち盛りで毎日が「唐揚げメニュー」と云うお子様にはおすすめです。

 

●加熱時に、弊社のベジタブルJUNKOOILは酸化しにくいのです。

天ぷら・揚げ物用に最適な油です!!

スポットライトを当てると死角ができる!

セブンイレブンは、コマーシャルで「食品添加物無添加!」を謳っています。これは事実なのですが、その裏では植物油脂がたっぷり使われています。また、マーガリンなどトランス脂肪酸もたっぷり使っているものがほとんどです。

このように、企業は自社製品のメリットを謳う一方で、死角の部分には触れません。

上記の本や企業も同じです。

確かに、脂溶性の抗酸化ビタミンを添加すれば、酸化には強い油になるでしょう。しかし、そこには語られていない重要な死角があります。

加熱によるトランス脂肪酸の生成!

えごま油の脂肪酸組成は次の通りです。

亜麻仁油の脂肪酸組成は次に通りです。

奥山さんは、サラダ油やリノール酸の弊害について指摘しています。それなのに、200℃の加熱調理にえごま油や亜麻仁油の使用は大丈夫と著書で指摘しています。

サラダ油は、加熱調理時に必ずトランス脂肪酸と過酸化脂質が生成します。そして、そんなサラダ油の主成分であるリノール酸には、二重結合が2つあります。一方で、亜麻仁油やえごま油の主成分であるα‐リノレン酸の二重結合は3つです。

すでに何度か指摘していますが、二重結合は以下のような構造式のため、一見とても頑丈そうです。しかし、本当はとても不安定な構造で、ひとつの分子中の二重結合が多ければ多いほど、なおのこと不安定になります。

したがって、リノール酸に比べてα‐リノレン酸は加熱により容易に反応します。そしてこの時、トランス脂肪酸が生成されます。

オメガ3は貯蔵されにくい!

食事からとった脂肪酸は、細胞膜のリン脂質で使われます。また、使いきれなかったものは脂肪組織に貯蔵されます。ところが、えごま油や亜麻仁油、DHAやEPAは融点が低いため、体温でカンタンに溶けてしまいます。そのため、安定して脂肪組織に貯蔵するには不向きです。

そのためか、これらオメガ3は、他の脂肪酸に先駆けて熱やエネルギーに変換されます。容易にエネルギー源として使われますから、オメガ3はコンスタントに摂り続けないと必ず不足することになります。

逆に、リノール酸から生成するアラキドン酸はリン脂質に選択的かつ優先的に取り込まれます。こういったことから、オメガ3をなお更コンスタントに摂ることが重要だとわかります。

そこでトランス脂肪酸ですが、リノール酸やα‐リノレン酸はシス型構造ですが、いちどトランス型に変換されてから代謝されています。

シス型 → トランス型 → 代謝

食事からトランスをとると?

食事からトランス脂肪酸をとれば、シス型からトランス型への変換が滞ることが想像できます。また、先のようにオメガ3はオメガ6より容易にエネルギー源として使われます。そして、このことから次のようなことが想像できることでしょう。

・α‐リノレン酸は二重結合が3つあるから、加熱によりトランス型に変換されやすい
・オメガ3は容易にエネルギー源として消費されてしまう
・トランス脂肪酸をとることで、オメガ6が代謝されずに残ることになる

つまり、オメガ6の弊害が表面化することになります。

まとめ

私はえごま油の加熱調理利用について、すでに次のような相談をいただいてきました。この事実は、上記の説明を裏付けるものだと考えています。

・加熱調理に使えるというえごま油を使うようになってしばらくすると、蕁麻疹が出るようになっていました。だから、蕁麻疹の原因は他のところにあると信じ、病院で薬をもらって飲んでいました。鈴木先生に指摘され、えごま油を加熱調理で使うのをやめたところ2週間程度で蕁麻疹が出る回数が明らかに減り、1ヶ月たったらまったく出なくなりました。

 

・鈴木先生に相談し、我ながら感情の起伏がなくなり穏やかになったと実感していました。そんな日々が続いていたのに、ある時からイライラが復活し生理痛もひどくなってきました。また、小学生の娘も表情が乏しくなり、やたらと落ち込みがひどくて学校を休みがちになりました。

 

そこであらためて鈴木先生に相談を申し込んだところ、あっさり「今までと同じサプリを飲んでいればいい!」と言われてしまいました。その一方で、「えごま油の加熱調理をやめて!」と言われました。「奥山先生が書かれた本で、加熱調理も大丈夫」と書いてあると伝えたのですが、とりあえず先生の言う通り加熱調理への使用を止めてみました。

 

すると、2週間もしたらイライラが軽くなり、娘の調子も明らかに改善しました。2ヶ月後には再び穏やかになり、娘も元のように明るくなって勉強も積極的にするようになりました。やっぱり加熱調理はダメですね。

 

他にも鼻炎や皮膚炎がひどくなったとか、学力がひどく落ちたといった相談もありました。

本に書かれていることは、すべてが正しいわけではありません。

また、専門家は言っていればいいだけで、私のような実務家と違って結果に責任はもちません。

えごま油や亜麻仁油は、やはり生食で利用されることをお勧めします。

なお、えごま油はこちらの記事えごま油の選び方!」を参考にご利用ください。