「減塩」は発がんを促進する…? メイラード反応由来変異発がん物質の生成に対する食塩の抑制効果!

「減塩」は発がんを促進する!

そう聞いても、減塩を続けますか?

メイラード反応由来変異発がん物質の生成に対する食塩の抑制効果:増田修一,島村裕子(静岡県立大学食品栄養科学部);助成番号1948

1.緒言

我々が摂取している食品中には様々な化学物質が存在し、ヒトに対する発がんへの関与が指摘されており、その発がん寄与率の35%を占めている。

これら変異・発がん物質の中には、植物性自然毒として知られるカビ毒以外に、食品の調理・加工・製造時における加熱等の要因により、非意図的に生成するものがある。これら変異・発がん物質の中でもアクリルアミド(acrylamide;AA)は、ジャガイモ、モヤシ等の食材を高温条件下で調理する際に生成し、ヒトの発がんへの関与が指摘されている

その他、変異発がん物質として知られているヘテロサイクリックアミン類(heterocyclic amine;HCAs)は、食肉や魚肉を加熱調理した際に生成する。これら変異・発がん物質は、アミノカルボニル反応(メイラード反応)により生成する。メイラード反応は、主に還元糖とアミノ酸(またはタンパク質)を高温条件下で反応させた際に誘導され、食品加工時におけるフレーバー生成等に用いられるが、食品の安全性の面で特に重要視する必要がある。(以下略)

メイラード反応

メイラード反応について、食品におけるメイラード反応:臼井照幸(女子栄養大学栄養学部保険栄養学科);日本食生活学会誌 第26巻 第1号 7‐10(2015)から引用します。

・還元糖とアミノ酸・タンパク質の間で起こる成分間反応

・食品のおいしさに深くかかわる反応である

例)パンや肉の焼き色や香り – トースターで食パンを焼くとこんがりきつね色

味噌や醤油などの熟成に伴い、色が濃くなり、独特の香りが生成する

メイラード反応由来変異発がん物質の生成に対する食塩の抑制効果:増田修一,島村裕子(静岡県立大学食品栄養科学部);助成番号1948

上記論文は、このメイラード反応を塩類が制御する効果を検討しています。メイラード反応により生成するアクリルアミド(AA)、ヘテロサイクリックアミン類(HCAs)、5‐ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)等の変異・発がん物質が生成するが、塩類がその生成に対して抑制効果があることを確認しています。

4.考察

(前略)メイラード反応により、(中略)変異・発がん物質が生成することから、メイラード反応を制御することが求められている。また、日常的に摂取している食品には調味料として塩類が使用されており、(中略)本研究では、塩類を用いてメイラード反応を制御することを目的として、メイラード反応により生成する変異・発がん物質の生成に対する塩類の抑制効果を検討した。(中略)

AA(アクリルアミド)の生成に対する各塩類の効果を評価したところ、いずれの塩類も濃度依存的に抑制効果を示し、特に二価の塩類であるMgCl₂(塩化マグネシウム)およびCaCl₂(塩化カルシウム)が強い抑制効果を示した

また、HMF(5‐ヒドロキシメチルフルフラール)の生成に対しては、KCL(塩化カリウム)およびNaCl(塩化ナトリウム)はほとんど影響しなかったが、MgCl₂およびCaCl₂は、濃度依存的な増加効果を示した。(中略)

ハッシュドポテトにNaClを添加して加熱したところ、AAの生成は優位に抑制されたが、HMFの生成は影響されなかった。(中略)

塩類の種類を選択し、加熱温度などを調整することにより、食品加工におけるメイラード反応の制御に繋がることが期待される。

苦汁(にがり)にはMgCl₂(塩化マグネシウム)やCaCl₂(塩化カルシウム)が含まれます。

一方で、精製塩は塩化ナトリウム(Nacl)で、塩化ナトリウムで塩水(3.4%=海水の塩分濃度:海域によってばらつきがあり3.1~3.8%)を作ってもアサリは砂を吐き出しません。また、開口(貝を開く)こともありません。

また、粗塩も種類によってアサリの開口率に大きな差があります。私はこの差が「塩」の選択基準と考えていることは何度もご紹介させていただきました。「塩」=精製塩+苦汁です。

以上のことから、「塩」の選択はとても重要だとわかります。

重要なのは、適切な「塩」を料理に用いることで、このメイラード反応による有害物質の生成を抑えることができること。したがって、以下のような大手メーカーの味噌と醤油は微妙です。

繰り返す必要はないと思いますが、この「食塩」という表示はNaClである可能性が大。ならば、味噌や醤油の発酵過程で起きるメイラード反応により、AAなどの有害物質が生成している可能性があるわけです。また、「減塩」に洗脳され、家庭の味噌作りでも塩分を控えめに作っている方もいらっしゃるようです。さらに、味噌作りの塩はイメージで選んだものを使っている人がほとんどなのが現状でしょう。

「低体温」や「冷え性」の原因は「減塩」にあった! – 女性の皆さん、それでも減塩続けますか…?で、苦汁の摂取は額や首部の体表温を上昇させることご紹介しました。

また、以下のように食塩は食物アレルギーの抑制効果もあります。

・食塩による植物アレルギーの抗原活性抑制効果:豊崎俊幸(香蘭女子短期大学 家政科);助成番号0158

(前略)ここ数年で得られた知見として、鶏卵中のアレルゲン(主にオボムコイド)がグルテンとの相互作用によって、抗原活性の抑制あるいは消失を可能にするきわめて興味ある知見を得た。また抗原性の消失を決定する重要な成分として食塩含量の有無が大きく影響を与えている事実を新たに確認したが詳細については研究されていない。(中略)

Dough(生地)あるいはその焼成(しょうせい)パンから抽出した祖タンパク質のアレルギー活性を測定した結果、NaCl添加Doughあるいはその焼成パンにおいて、NaClのアレルギー活性の抑制効果を認めた

いっぽう、NaCl無添加の場合、Doughおよびのの焼成パンのいずれにもアレルギー活性の抑制効果は確認できなかった。

NaClのアレルギー活性の抑制効果はDough発酵時間の延長とともに抑制効果は顕著に現れた。(中略)

今回の実験でNaClは明らかにアレルギー活性を抑制させる作用のあることがわかった。(後略)

まとめ

減塩は尿トラブルや低体温、冷え性、食物アレルギー、メイラード反応の抑制など、さまざまな弊害を生じる大きな原因となることがお分かりいただけたことと思います。それでも、減塩続けますか…?

なお、どの塩を選んだらいいのか?分からない人は当社のラメールをお試しください。

 

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Posted by sinsd