【重要】オリーブオイルも要注意!細胞は脂質(油)で区画化されている

約38億年前、海底火山の噴出孔付近において、最初の生命が誕生したといわれています。ここで重要なポイントは次のふたつです。

・生命はで誕生した 

・外界から区画された 

互いに気が合わず反発し合って仲が悪いこと。異質でとけ合わないものは「水と油」とたとえられるように、水は水、油は油同士で集まろうとする性質があるため水と油は混ざりません。

生命は、脂質(油)で外界と区画化することで誕生しました。また、その内側(体内)に海(海水)を取り込みました。進化の過程で単細胞生物は多細胞生物に、水中で暮らしてた生物は陸上に上がりましたが…

・体内に海水をため込む – 水と塩

・細胞は細胞膜で覆われている

これは動物や人間に共通することです。

重要なのは、生命(細胞)は膜により区画化されなければ成り立たない一方で、外界と完全に遮断されると生きていけないという事実です。

生命は外部から酸素や栄養を取り込み、それをエネルギー生産やタンパク質の合成に利用しています。また、この代謝活動で生じた廃棄物(ゴミ)は外(体外)に捨てなければいけません。

以上のようなことから、細胞生物学者:永田和宏先生は著書「生命の内と外」(新潮選書)で次のように述べています。

つまり、生命は外部に対して「閉じつつ、開いて」いなければならないのである。事実細胞膜は、文字通り水む漏らさぬ完全性(インテグリティ)を保ちながら、必要時応じて、水やアミノ酸、グルコースやさまざまなイオンを旺盛に細胞内部に取り込むことができる。また、逆に、インスリンなどの血中タンパク質を細胞外部に分泌し、不要なタンパク質のゴミやイオンも細胞外に放出する。「閉じて」いなければ生命は維持できないが、「閉じて」ばかりいては、同じく生命活動は維持できない。

このことから、私たちがもっとも重視すべきものが見えてきます。

生命は外界と区画化されなければ成り立たない。また、生命は体内に海水を取り込んでいた。つまり、私たちがもっとも重視すべきは「油(脂質)」と「塩」だったのです

細胞膜の質とは?

私たちが食べたものは小腸で消化され、ビタミンやミネラル、タンパク質などは毛細血管から体内に吸収されます。一方で、油(脂質)は小腸からリンパ管を通じて吸収されます。

その理由も説明は要りませんよね。

血管内は血液が流れています。そこに油が入ると、自然と油が集まってしまい毛細血管を詰まらせることになります。そのため、他の栄養素とは違い、油は別ルートで吸収されます。

吸収された油は、今この瞬間にも生まれ変わっている細胞の細胞膜や生体膜(ミトコンドリアなど細胞の中にある機関の膜)で使われます。つまり…

「脂質」は「油っこい食べ物」だ。とか、「健康に悪い物」というイメージの方もいらっしゃるかもしれませんが、なくてはならない重要な栄養素です。なかでも、オメガ6とオメガ3脂肪酸は細胞膜の材料というだけでなく、体内で重要な働きをしています。

脂肪酸の種類

脂質(油)には大きく飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の二種類があります。また、不飽和脂肪酸は一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸に分けられます。さらに、多価不飽和脂肪酸はオメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸に分けられます。

実は、もうひとつ付け加えておかなければいけない脂肪酸があります。それはトランス脂肪酸です。

飽和脂肪酸

飽和脂肪酸はエネルギーとして使われやすく、体内で合成できる脂肪酸です。肉や乳製品(牛乳やバターなど)、卵黄、チョコレートなどに多く含まれるため、一般に過剰摂取になりやすい脂肪酸です。

ただし、摂取する飽和脂肪酸が多ければ体内で合成される量は減少します。逆に、摂取量が少なければ体内で合成される飽和脂肪酸の量は増えます。このように、極端な過剰摂取でなければ摂取量はあまり気にする必要はありません。

不飽和脂肪酸

不飽和脂肪酸は炭素鎖に2重結合をもつ脂肪酸で、常温で液体です。この2重結合は構造式を見ると一見頑丈そうですが、とても不安定な構造です。また、ひとつの分子中に2重結合の数が多ければ多いほど不安定になります。

◆ 一価不飽和脂肪酸

一価不飽和脂肪酸はオメガ9脂肪酸とも呼ばれ、炭素鎖2重結合をひとつもつ構造です。この一価不飽和脂肪酸も体内で合成できます

オリーブオイルやタラ肝油、イワシ油などに多く含まれます。

◆ 多価不飽和脂肪酸

多価不飽和脂肪酸は、炭素鎖2重結合をふたつ以上もつ構造です。以下のように、二重結合の位置によりオメガ6とオメガ3に分けられますが、いずれも体内で合成できないため食事から摂る必要があります。

トランス脂肪酸

トランス脂肪酸には自然界に存在するものと、植物油を高温に熱する過程などで生成されるもののふたつがあります。

前者は健康を害することがない一方で、植物油を高温に熱することで生成したトランス脂肪酸には健康を害する可能性が多方面より指摘されています。事実、米ニューヨーク州では、トランス脂肪酸を禁止したことで平均寿命が男性で13歳、女性は8歳も延びました。

トランス脂肪酸はマーガリン、ショートニング、植物油脂などに含まれます。また、調理時のサラダ油の過熱でも生成します。

脂肪酸の融点からわかること!

飽和脂肪酸は常温で固体。不飽和脂肪酸は液体です。このように、炭素鎖2重結合がある脂肪酸の融点が低くなります。

C18:1とは、炭素が18個並んでいて二重結合が1つある構造を意味します。したがって、飽和脂肪酸はC数字:0と表示されますが、2重結合がないことを意味します。

また、上図より一価不飽和脂肪酸であるオレイン酸の融点は13.4℃ですが、2重結合が複数の多価不飽和脂肪酸の融点は0℃以下とマイナスになります。2重結合が4つあるアラキドン酸はマイナス49.5℃で、家庭の冷凍庫でも固まる心配はありません。

育つ環境で脂肪酸組成は変わる!

脂肪酸が細胞の膜に入る。この事実と上記の融点から植物の脂肪酸組成で次のことが容易に想像できます。

暖かい地方で育つ植物に飽和脂肪酸が多い – ココナッツ:産地フィリピン・マレーシア・インドネシア

寒い地方で育つ植物にα‐リノレン酸が多い – 亜麻仁:産地カザフスタン・ロシア

これは動物も同じです。

・陸上動物は飽和脂肪酸が多い

・青魚(体温は水温)にオメガ3が多い

・アザラシはDHA・EPAが多い

ここでひとつ注意があります。

DHAやEPAが豊富なのが青魚ですが、含まれる脂肪酸はオメガ3系だけではありません。例えば、サバ(マサバ)100g(100g中の脂質は16.8g)中にはおおよそ次のような脂肪酸が含まれます。

・飽和脂肪酸:4.57g 

・一価不飽和脂肪酸:5.03g

オメガ3脂肪酸:2.12g

・オメガ6脂肪酸:0.43g

このように、青魚といったらDHAやEPAなどオメガ3脂肪酸が豊富なのですが、飽和脂肪酸や一価不飽和脂肪酸はその倍以上に含まれています。

青魚の場合、餌として食べる植物プランクトンにオメガ3脂肪酸が豊富だからです。同じように、アザラシは植物プランクトンを餌にしているオキアミを食べています。このように、動物の脂肪酸組成は食べた餌に依存しています。

植物の脂肪酸組成は気温に依存する!

植物の脂肪酸組成は気温に依存しています。気温が低くなればオメガ6を増やし、もっと寒くなるとオメガ3を増やします。その一方で、気温が低い地方で育つ植物は飽和脂肪酸を減らします。

例えば、亜熱帯で育つヤシからとれるパーム油には融点が低いα‐リノレン酸(オメガ3)は必要ありません。そのため、ほとんどが飽和脂肪酸で、一価不飽和脂肪酸が約1割、融点がマイナス5℃のリノール酸(オメガ6)がわずか2%程度含まれるレベルです。

主にアメリカから輸入されている大豆油は以下の通りです。パーム油と比べ飽和脂肪酸の量がグッと減る一方で、多価不飽和脂肪酸の量が増えていますが、そのほとんどがリノール酸(オメガ6)です。

ロシアやカザフスタンが主な生産地である亜麻仁油は以下の通りで、飽和脂肪酸の量は10%未満となります。また、多価不飽和脂肪酸のほとんどがα‐リノレン酸(オメガ3)となります。

このように、植物は気温に応じて脂肪酸組成と量をコントロールして育ちます。

臓器により必要とする脂肪酸は違う!

細胞の膜で使われる脂肪酸は臓器により大きく違います。例えば、脳や目、心臓などエネルギー消費が大きな臓器ではDHAが豊富です。一方で、肌の細胞の膜ではα‐リノレン酸が豊富だと肌がキレイになります。

実は、この傾向に種差はありません

例えば、目や脳にDHAが豊富なのは、人に限らずサルや犬、蛇、カエルまで同じです。このことから、少なくとも目や脳ではその機能を維持するためにDHAを必要としていることが想像できます。そして…

もし、DHAの摂取量が少なかったら、それを補うためにオメガ6系の脂肪酸に置き換わることになります。

以下は起立性調節障害と診断された275名の男子と294名の女子(いずれも12~17歳まで)、18歳以上の女性57名、およびアンケート調査に協力いただいたお母さんにおける強度近視とドライアイの発症率です。

強度近視の発症率は以下のように中学生で11.3%のようです。一方で、起立性調節障害における強度近視発症率は男子で22.1%、女子で21.4%とおおよそその2倍。また、お母さん方の発症率は27.6%と2.5倍にもなります。

慶應義塾大学医学部眼科学教室の坪田一男教授、栗原俊英特任准教授、鳥居秀成助教、四倉絵里沙氏(大学院医学研究科博士課程4年)らは、東京都内の公立小学校、私立中学校に通う児童・生徒1,429人を対象に目の屈折値、眼軸長を測定し、最新の近視有病率を調査した。

その結果、小学生689人のうち76.5%が近視で、強度近視有病率は4.0%。中学生727人のうち94.9%が近視で、強度近視有病率は11.3%であることが明らかになった。

この事実から、強度近視は生活習慣病だと私は考えています。子どもはお母さんが作ったものを食べて育ちます。また、お母さんはそれ以前から自分が作ったものを食べています。目の脂質バランスを崩した結果が強度近視と考えていいでしょう。

また、ドライアイも同じで、18歳以上の大人の女性およびお母さんの発症率はどう考えても異常です。おそらく、魚離れが進む一方で、オメガ6が過剰な食事を長年続けた結果でしょう。

オメガ6:炎症を促す。アレルギー促進。血を固める

オメガ3:炎症を鎮める。アレルギー抑制。血液サラサラ

オメガ6とオメガ3の摂取比率について、日本脂質学会は2:1を推奨しています。しかし、多くの日本人は10:1以上の摂取割合です。揚げ物やポテトチップスなどを食べる習慣があるご家庭なら、その比率は50:1を超えることもマレではありません。鼻炎や喘息、アトピー性皮膚炎などのアレルギーがあるのなら、それは生活習慣病であり、自然なことだったのです。

オリーブオイルを使えばいいのか?

とにかくサラダ油や植物油脂を減らす。

これは、「こころ」と「からだ」の健康に必要不可欠です。

私がそう言うと、多くの方が「オリーブオイルならいいですか?」と質問されます。そして、そんなオリーブオイルの脂肪酸組成は次の通りです。

ご覧の通り、オリーブオイルに含まれるリノール酸(オメガ6)は7%程度です。が、オリーブオイルを揚げ物などで使えば油を吸油します。思っている以上にリノール酸を摂取することになります。そのため、私は「オリーブオイルを勧めるわけではないけど、サラダ油を使うよりはマシ!」というお返事をしてきました。

というのも、不安を煽り(あおり)たくなかったからです。が、オリーブオイルは決して健康のためにお勧めできる油ではありません。

オリーブオイルはコレステロール値を下げる?

オリーブオイルを販売する人たちは、「オリーブオイルに含まれるオレイン酸はコレステロール値を下げ、動脈硬化を予防する。」といった説明をしているようです。しかし、オレイン酸にコレステロールを下げる働きはありません。また、動脈硬化を予防する働きもありません。もちろん、オリーブオイルにもそんな働きはありません

オリーブオイルの危険性!

健康的なイメージのあるオリーブオイルですが、私は基本的に「焼く」「炒める」「揚げる」調理に植物油の使用は控えるべきだと考えています。もちろん、オリーブオイルもそのひとつであり、これをパンなどにつけて生食することも控えることをお勧めします。その理由は次の論文で明らかでしょう。

「オリーブオイルを食べたラットは、がんになる細胞が異常に増える」

ラットに3種類の植物油を食べさせ発がん剤を与えて比較すると、がんへと変化していく、前がん細胞の数がオリーブオイルを食べていたラットで突出して増えました。

出典:Cnogi Nら、Carcinogenesis 1996,17:1291

実は、サラダ油に多く含まれるリノール酸(オメガ6脂肪酸)が発がんを招きます。しかしこの実験では、そのリノール酸が多い紅花油の2倍も多く、前がん細胞ができました。さらに…

私たちも、カナダのグループも、オリーブオイルが脳出血を起こさせる作用があることを突き止めました。

出典:「オリーブオイル・サラダ油は今すぐやめなさい!」奥山晴美 綜合図書

どうしてもオリーブオイルを使うなら…

念のためにオリーブオイルの選び方をご紹介しておきます。

1.Extra Virginを選ぶ

Extra Virginは酸価が0.8%以下です。単なる Virginは2%以下と酸価が高い。ただし、理想は0.5~0.3%以下。

ピュアオイルは化学精製されたオリーブ油にExtra Virginを混ぜたものでお勧めできない。

なお、日本で流通しているオリーブオイルは酸化しているなど欠陥オイルが多い。

2.Olive Japanのサイトにあるコンテストの受賞を参考に選ぶ

日本はIOC(国際オリーブ協会)に加盟していないため、Extra Virginといっても欠陥品や偽物が横行している。ただし、IOC基準も非常に甘く、消費者より農家や業者優先である。ので、日本で流通するオリーブオイルを信じる方がどうかしている。

ということで、Olive Japanのサイトにあるコンテスト受賞のオリーブオイルを購入するのが最良です。

まとめ

私がサラダ油や植物油脂、トランス脂肪酸(マーガリンやショートニングなど)が原因と疑う病気は、うつ病や不安障害などの精神疾患、発達障害、適応障害、知的障害、起立性調節障害、強度近視、脳脊髄減少症、クローン病、潰瘍性大腸炎、鼻炎や喘息などのアレルギーなど多岐に渡ります。

そして少なくとも動脈硬化や心臓疾患、糖尿病、ガンなどの原因であることはすでに明らかになっています。

また、モラハラやDV(家庭内暴力)、虐待、ゴミ屋敷(片付けができない)、万引き癖、夫婦喧嘩、親子喧嘩、いじめ、非行などのトリガーとなっていると仕事柄確信しています。

母親が作る食事で子どもが病気になっていく…

また、子どもの情緒が乱れ「勉強をしない!」、「宿題すらしない!」、「ゲームばかり…」となり、学校に行けなくなる。

そんな悲劇を私ほどたくさん見てきた人間はいないでしょう。

今からでも大丈夫!

すぐに食生活を改善してみましょう。

きっと元気になります!

※ 安心して使える油は「バター」や「ラード」などです。