クルミにオメガ3が豊富!ですが、ナッツ類の6対3比は見過ごしていました。怖
「オメガ3が豊富なクルミを起立性調節障害の本で紹介しよう!」
「クルミにオメガ3が豊富!」
ずいぶん前にWEBページでこんな情報が書かれた記事を読み、お菓子を食べない私は「じゃあ、ナッツでも食べよう!」と、何も考えずに素焼きのミックスナッツをズーーーーっと食べ続けてきました。
そんな気持ちでクルミを紹介するつもりでしたが、ちゃんとした情報でご紹介しなければ意味がありません。そこで、ナッツ類の脂肪酸組成、オメガ6とオメガ3の含有量と含有比率について調べてみました。
【重要】
私は、起立性調節障害や発達障害、メニエール病、クローン病、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症などの発症に共通のメカニズムが存在すると私は疑っています。(ほぼ確信していますが)
今回の記事は、これらの病気に対してとてもありがちな「良いこと」が「悪いこと」につながる大失敗が下部で語られています。とくに、起立性調節障害の本を書いたばかりなので、お母さん方には参考になると思いますので最後までお読みになることをお勧めします。
クルミはオメガ3が豊富だった!が…
お~、クルミは100グラム中に8.96.96グラムもオメガ3を含むのか。これは優秀だ!さて、どのような形で起立性調節障害の本で紹介しようかな…
日本食品標準成分表2015年版(七訂)脂肪酸成分表編 脂肪酸成分表編 (文部科学省)でクルミに含まれたオメガ3を確認してそう思った次の瞬間、私は目を疑いました。
えっ…、しまった。いつも、専門家の話でもはじめは疑ってかかる俺だったのに、今回だけはなぜ素人が書いたWEBページを信じてしまったのだろう…
なんと、そこにはクルミ100グラム中のオメガ6含有量は41.32グラムとありました。
脂肪酸の種類を確認!
私たちが必要とする栄養素のひとつに脂肪酸があり、この脂肪酸には以下のような種類があります。
まず、脂肪酸は大きく飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸のふたつに分けられます。飽和脂肪酸が炭素が連なった直線構造である一方で、不飽和脂肪酸には炭素同士の結びつきに二重結合が含まれる構造をしています。
次に、不飽和脂肪酸も一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸のふたつに分けられます。一価不飽和脂肪酸は構造にひとつだけ二重結合をもち、多価不飽和脂肪酸は複数個の二重結合をもっています。
また、多価不飽和脂肪酸もふたつに分けられます。それががオメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸で、以下のようにメチル基末端から6番目の炭素に二重結合があるものをオメガ6、3番目の炭素に二重結合があるものをオメガ3脂肪酸と呼びます。
これら脂肪酸のうち、飽和脂肪酸と一価不飽和脂肪酸は食事からもとれますが、体内でも合成できます。また、食事から十分にとれれば体内での合成はストップしますが、食事からの摂取量が少なければ体内での合成が進みます。
一方で、多価不飽和脂肪酸は体内で合成できません。しかし、多価不飽和脂肪酸は体内で局所的なホルモン作用をもつ脂質メディエーターの原料となるため必須の脂肪酸です。そのため、必ず食事から十分な量を摂取する必要があります。
オメガ6とオメガ3は摂取比率が重要!
食事から必ずとらなければいけないオメガ6とオメガ3について、厚生労働省は「日本人の食事摂取基準」2015年度版で次のような推奨量をあげています。
この推奨量というのが曲者で、この数値は決して健康を維持するのに十分な量というわけではありません。欠乏症を起こさないための最低限必要な数値にすぎません。しかも、厚生労働省は上記の推奨量を提示した上で、オメガ6とオメガ3の摂取比率を4:1程度にするように推奨しています。
上記の表をご覧いただくとわかりますが、例えば12~14歳男性ののn-6脂肪酸推奨量は12gでn-3脂肪酸は2.1です。これを摂取比率に換算すると約5.7:1です。つまり、はじめから厚生労働省の推奨量には矛盾があります。
男女年代別n-6/n-3脂肪酸摂取比率(厚労省の推奨量から)
年代/性別 男性 女性
・8~9歳 約5.3:1 5:1
・10~11歳 約5.3:1 約5.3:1
・12~14歳 約5.7:1 約5.5:1
・15~17歳 約5.6:1 約5.9:1
・18~29歳 5.5:1 5:1
・30~49歳 約4.1:1 5:1
・50~69歳 約4.1:1 4:1
・70歳以上 約3.6:1 約3.7:1
日本脂質栄養学会が推奨する摂取比率は?
厚生労働省がオメガ6とオメガ3の摂取比率を4:1を推奨している一方で、日本脂質栄養学会や国際脂肪酸・脂質学会では、リノール酸(オメガ 6):α-リノレン酸(オメガ 3)= 約 2:1 を理想の摂取比として推奨しています。
私もこの意見に賛成で、著書「30日で朝『スッキリ目覚める』体質にする方法!」でも朝起きの改善には少なくともオメガ6とオメガ3の摂取比率を3:1にした上で、できる限り2:1に近づけるようにご紹介しました。
オメガ6:オメガ3の摂取比率が3:1のケース
オメガ6の生理活性作用を一見すると、必要ない脂肪酸のように感じてしまいますがそんなことはありません。
・オメガ6:血を固める。炎症を促す。アレルギー促進
・オメガ3:血液サラサラ。炎症を鎮める。アレルギー抑制
例えば、ケガをしたときに血を固めてくれるのがオメガ6です。また、炎症を促す働きは免疫の働きを高めるトリガーの働きです。さらに、アレルギー促進作用は、異物を体から排泄する働きにつながります。
そんなオメガ6ですから、これが厚生労働省の推奨量程度は必要という前提でオメガ6:オメガ3が「3:1」、「2:1」のケースでオメガ3がどれくらい必要か?確認してみましょう。
多価不飽和脂肪酸の摂取比率を3:1にすると、オメガ3の摂取量は中高生で3g以上必要となります。また、日本脂質学会が推奨する2:1ならすべての年代で4g以上の摂取が必要となります。
オメガ3の推奨量を満たすにはどれくらいの魚が必要か?
オメガ3を魚で4グラム、5グラムとるにはどれくらい食べなければいけないのか?年中スーパーなどで購入できる代表的な魚のアジとサバ、マグロ、カツオで計算してみました。
アジのケース
あじ1匹当たりの重さは中1尾で約150gで、可食部重量は68gです。また、アジの開き干し100グラム当たりのオメガ3含有量は2.21グラムです。
・オメガ3を3g:3÷2.21÷0.68=1.99匹
・オメガ3を4g:4÷2.21÷0.68=2.66匹
・オメガ3を5g:5÷2.21÷0.68=3.32匹
・オメガ3を6g:6÷2.21÷0.68=3.99匹
つまり、中高生の男子は毎日アジの開き干しを4匹は食べなければいけないことがわかります。
サバのケース
サバ一匹の重さは約 900gです。 サバ一匹あたりの可食部は、450gとなります。そこで、サバはサバの缶詰(190g入り)で計算してみました。サバ水煮缶100gでオメガ3は2.73gとることができます。
・オメガ3を3g:3÷2.73÷1.9=190g入り水煮缶の約58%
・オメガ3を4g:4÷2.73÷1.9=190g入り水煮缶の約77%
・オメガ3を5g:5÷2.73÷1.9=190g入り水煮缶の約96%
・オメガ3を6g:6÷2.73÷1.9=190g入り水煮缶1缶+1缶の約16%
中高生の女の子は、毎日サバの水煮缶1缶は食べ続けるといいでしょう。
マグロのケース
マグロはツナ缶で計算してみました。マグロのサシミ1人前は約90g(約7切れ)ですが、オメガ3は赤身にはほとんど含まれません。たっぷりオメガ3が含まれるのは脂が乗ったトロ部分になりますので、日常的に食卓に並ぶとは思えないからです。
なお、以下の記事でご紹介したように、ツナ缶はキハダマグロとビンナガマグロが主原料です。また、キハダマグロはビンナガマグロに比べてオメガ3の含有量が少ないため、ここではビンナガマグロのツナ缶で計算してみました。(100g中0.55gのオメガ3を含む)
上記の記事で4番目のお勧めとして紹介した以下のツナ缶70g入りの缶詰での計算です。
・オメガ3を3g:3÷0.55÷0.7=7.8缶
・オメガ3を4g:4÷0.55÷0.7=10.4缶
・オメガ3を5g:5÷0.55÷0.7=13缶
・オメガ3を6g:6÷0.55÷0.7=15.6缶
この数を見れば、誰もが魚だけでオメガ3を十分にとることなど現実的ではないとわかりますよね。例えば、以下の記事で私は亜麻仁油やえごま油の生食をお勧めしていますが、
これらは次のような量のオメガ3がとれます。
・亜麻仁油とエゴマ油のいずれも100g中に56~58gのオメガ3を含む
・100g中のオメガ6はいずれも12~14g程度
・オメガ6:オメガ3の比率は1:4
・ティースプーン1杯(5㎖)で2.8gのオメガ3がとれる
カツオのケース
カツオも初ガツオと秋の戻りカツオでは大きくオメガ3の含油量が違います。(おおよそ初ガツオは10分の1以下)そこで、こちらも以下のお勧めのツナ缶で計算しました。
・オメガ3を3g:3÷0.72÷0.7=6缶
・オメガ3を4g:4÷0.72÷0.7=8缶
・オメガ3を5g:5÷0.72÷0.7=10缶
・オメガ3を6g:6÷0.72÷0.7=12缶
私のように青魚を週に10回以上食べるような魚好きには問題がありませんが、ほとんどの人にとってオメガ3を魚食だけで補うにはムリがあることが容易に想像できます。
ナッツ類のオメガ3含有量
オメガ3がクルミに豊富!
この情報は、お菓子が食べられない私にとって朗報でした。甘いお菓子やスナック菓子のいずれもまったく食べることができない私ですから、生まれてはじめて出会ったオヤツがナッツ。しかもナッツはおいしいではありませんか。そのため、何も考えずに食べ続けてきてしまいました。
そんなナッツ類の主なものには次のようなオメガ6とオメガ3が含まれています。
冒頭でもご紹介したように、クルミはオメガ3が豊富です。が、オメガ6が40グラム以上とれてしまいます。オメガ6とオメガ3の比率は4:1を超えます。
クラクラしてしまうのが、他のナッツ類です。ピスタチオが80:1ですが、それ以外はすべて100:1を超える摂取比率です。
そして、私が食べていたいナッツは30g入りでオメガ3が1.4gとれると書かれていました。また、中身はクルミとカシューナッツ、アーモンドの3種類でした。この30g中でどれくらいのオメガ6がとれるか?怖かったけど計算してみました。( ノД`)シクシク…
まず、100g中にカシューナッツとアーモンドはごくわずかなオメガ3しか含みませんから、ざっくりとクルミのみでオメガ3の計算をしました。
・30g中のクルミの重量計算:1.4÷8.96≒0.15と、クルミは約15g
・クルミからとれるオメガ6:41.32÷100×15=6.198g
・カシューナッツとアーモンドが約半分ずつの7.5g
・アーモンド7.5g中のオメガ6:12.11÷100×7.5=0.9g
・カシューナッツ7.5g中のオメガ6:8÷100×7.5=0.6g
・ナッツ1袋(30g)からとれるオメガ6=6.198+0.9+0.6=7.698g
おおよそ7.7gのオメガ6を毎晩オヤツからとっていた。ポテトチップスが100gで約12gのオメガ6が含まれますが、一般的には60g入りが売られていますから7.2gとることになります。なんと、私はポテトチップス1袋を超えるオメガ6を食事以外からとっていたことになります。
私のオメガ6とオメガ3バランスが2.82:1だったことに納得!
以下のように、私の検査結果ではオメガ6:オメガ3が2.82:1(下図の下から2番目)でした。大好きな青魚を週に10回以上食べ、エゴマ油と亜麻仁油を飲み、DHA&EPAサプリメントをとっているのにこの値か?と疑問に思っていたのですが、スッキリしました。
おそらく、ナッツをやめれば2:1程度は軽くクリアできると思います。なにせ、毎日ポテトチップス1袋以上のオメガ6を食べていたわけですから。
12月1日、私と同じ失敗をされたお客様が…
起立性調節障害の娘が、たった3週間で目に見えて改善してきたのですが、ここ3日はまた起きれなくなって…。本人も元気になってきて『あたしも先生と会いたい!』と言っていたんです。それも、明らかに動けるようになっていて、母親の私から見ても朝からでも十分東京駅に来れると思っていました。でも、今日も結局起きれず、朝怒ったんですよ!
そんなお母さんの話を聞き、私の頭は回転し始めました。
起立性調節障害の本や小冊子で私がご紹介しているのは「普遍解」です。大きな流れで起立性調節障害の解決策を紹介していますが、それを取り入れるご家族には温度差が必ずあります。
毎日魚を食べるようになるお宅もありますが、その量はご家庭により違います。また、DHA&EPAのサプリメントを飲むようになったからと、相変わらず魚を食べないご家庭もあります。そもそも、子供が魚嫌いでサプリメントに頼るしかないといったご家庭もあるでしょう。
そんな温度差がありますから、ご家庭によって起立性調節障害の改善スピードも大きく違うケースがあります。しかし、重要なのは次の点です。
朝起きが改善していたのに、急に症状が悪化した場合は…
・台風のような大きな気圧の変化
・サラダ油や植物油脂、トランス脂肪酸の入ったものを食べた
・女の子の場合は生理前から排卵期
ほぼ、原因はこの中にあります。
そして、ここに該当しないケースでは「健康意識の高まり」が原因となるケースがほとんどです。つまり、「良いこと」をした結果が「悪いこと」になるケースです。そこで…
食生活に注意するようになって、何かはじめたことありませんか?
お菓子をやめて、本人も朝起きが改善して元気になってきたのでクルミを食べさせるようにしました。
いつからですか?
4日前からです。
量は?
これくらいです。(両手にいっぱい)
ありゃ、僕と同じじゃないですか。
しかも、その量だと少なくともクルミ50gですよ。そのクルミの量だけでオメガ6を20g以上とったことになります。4日前までは起きれられていたんですか?
ええ、4日前までは起きられていたのですが…、3日前から…
お母さん、帰ったらお嬢さんに『私のせいです!』って謝りましょうね。ポテトチップス3袋分を4日間に渡って食べてしまったわけですから、少なくとも12月4日まで影響は残ります。それ以降は、また回復してきますから。
次回、東京でお目にかかったときお嬢さんに『お母さんはちゃんとあなたに謝りましたか?』って聞きますからね!」爆笑
まとめ
ということで、私は「くるみを食べた方がいいよ!」と「30日で朝『スッキリ目覚める』体質にする方法!」で紹介するつもりでいたのですが、逆に「食べてはいけないよ!」という紹介になってしまいました。
ナッツ類は、適量ならとても体に良い物です。しかし、体に良い摂取量は今回の記事からごくわずかだとお解りいただけたと思いま。おそらく、クルミとアーモンド、カシューナッツ1個ずつが体に良い毎日の摂取量です。それ以上は、確実に冒頭にご紹介したような病気を悪化させることになるでしょう。
また、オメガ3の摂取に亜麻仁油とえごま油は必須だとお分かりいただけたことと思います。また、魚食だけでは力不足であり現実的ではないこともお分かりいただけたことでしょう。
ただし、ここで「じゃあ、亜麻仁油やえごま油をとればいいじゃないのか?」というカン違いをされる方がいらっしゃるので注意が必要です。
亜麻仁油やえごま油からとれるのはα-リノレン酸です。そして、これはEPAに変換されますが、その変換率は5%以下です。また、DHAへの変換は0.5%以下で、なかには0と書いている論文まであります。
脳に入れるオメガ3はDHAだけです。また、目の網膜に含まれる多価不飽和脂肪酸もその約6割はDHAです。したがって、DHA&EPAも毎日欠かさずとらなければいけません。
「良いこと」は、ほどほどだから「良いこと」になる。
いつも偉そうに言っている私も、あらためて「良いこと」は「悪いこと」につながることを身をもって体験しました。あなたも注意してくださいね。
【お願い】
朝起きられない病気。起立性調節障害は病院では治りません。しかし、家庭でなら治すことが可能です。もし、ご家族やご親戚、お友達などが起立性調節障害でお悩みなら、ぜひ本書をご紹介ください。
また、来年(令和2年)からになりますが、教育関係へのコンサルティング事業も再開する予定です。起立性調節障害の子供が多い学校。生徒全体の学力を上げたい学校。PTAでの講演などのご希望がありましたら、お気軽にお問合せください。
※ 詳細は準備ができ次第、あらためてお知らせします。