コロナ後遺症の対策は起立性調節障害改善へのアプローチと同じ方法で良さそうです!
私は起立性調節障害の直接的な原因は「浮腫み」にあると以下の著書で指摘しました。
・30日で朝「スッキリ目覚める」体質にする方法!: もう、起立性調節障害で悩む必要はありません。
どうやら、コロナ後遺症で多い倦怠感の原因も浮腫みだと思われます。また、実際にひどい倦怠感を訴えていた方が、浮腫み解消後で改善していますのでご紹介します。
・HQC (Health Quality Control) 手法の利用による起立性調節障害の改善 ―ミャンマーの5325人の子どもの追跡調査から― 下田 敦子, タン ナイン, 他 2014 年 2014 巻 64 号 p. 11-17
(前略)多数の研究によって OD の原因の一つには生活習慣の不適切さがある事は既に知られており,また生活習慣の改善によって OD 症状が消失する事も知られてきた。(中略)
OD 児が抱える午前中の体調不良,注意力の欠落,学習効率の低下,勉強への意欲減退などは学習には大きな問題となる.OD 児は教師や親からすると元気がなく,ものぐさ,なまけ,ひ弱,体力不足などと評価されがちであり,本人は身体的な不調を訴えているのに,周囲はこれをなかなか理解する事が出来ない傾向にある.(中略)
従来からの多くの報告が指摘してきたように,OD の出現率には男女に差があり,より女子にその出現率が高く,年齢的には思春期に於いて高頻度である。(中略)
周知のように OD 児の多くには朝起きの不良,朝の食欲の低下,午前中の体調不良,立ちくらみ,学習や運動意欲の減退が見られ,午後から夕方になると次第に元気になり,夜にはなかなか寝つけず,夜更かしするようになる.その結果として朝はまた寝坊をするという悪循環を繰り返しやすい.
また,休日などは一日中ごろごろとしていることが多く,軽い運動でも心悸高進を訴えたりする.遅刻や欠席をしばしばする場合もあるので不登校と混同されたりもする.OD 児は授業に集中できない場合も少なく無いので怠業とか虚弱児ともみなされ易い.(中略)
浮腫みは体内の炎症により生じます。OD児における慢性炎症の原因は食事や菓子類など食事から摂る脂質の質と量にありました。また、浮腫みが生じるとミトコンドリアへの栄養供給が支障が生じてエネルギー不足になります。そのため、倦怠感が生じますが、浮腫みが取れると疲れなくなります。
また、コロナ後遺症も以下のように鍼灸による浮腫み改善で倦怠感を改善しています。
・新型コロナウィルス感染症(COVID-19)による後遺症に鍼灸治療を適用した症例 三保 翔平 2021 年 3 巻 1 号 p. 21
(前略)
東洋医学では、硬結は停滞物がある事を示し、浮腫は体液の停滞である痰湿の特徴的な症状であることから、浮腫を伴う硬結に対する刺鍼、施灸を行う事により、症状消失を図るとした.(中略)
2 回目の施術時点で倦怠感が消失。(中略)
浮腫を伴う硬結は体液の停滞である「痰湿」によるもので、コロナウィルス感染症はその状態を引き起こしやすいものと思われた。痰湿はあらゆる所に停滞し、停滞部の機能を損なうとされる。そして性質として体が重く感じる・怠さを感じるというものがある。
倦怠感、嗅覚異常は痰湿の停滞から起きていると考えられた。浮腫を伴う硬結は体液の代謝を促すとされる脾・肺・腎(東洋医学的観点の臓器)に関連する経脈上に反応が多く出ており、これらの臓の機能が損なわれたと考えられた。
嗅覚異常が大きく改善する直前の鼻翼周辺に浮腫を伴う硬結が、発症時に現れず、施術の経過と共に出現した事については、倦怠感等の改善に伴う全身状態が回復するまでは嗅覚感覚器周辺反応が現れなかったものと考えられた。(以下略)
ODの浮腫みは食事内容が原因です。したがって、鍼灸で浮腫みが多少改善したとしても、食事内容を変えない限りODは治りません。これは、鍼灸治療を試みた後、当社にたどり着いたお客様が多数いらしたことで明らかです。
また、冒頭の論文でODは「より女子にその出現率が高く」とあります。さらに、以下の論文でも「イギリスの報告では重症化リスクとなる男性よりも女性に long COVID が多いことを示しており」とあります。
女性の体形が丸みを帯びているため見た目で騙されてしまいますが、もともと女性と比して男性の体内水分量は5%以上多いため、女性の方が浮腫みの影響は強く現れます。女性の体形は男性より脂肪比率が多いことが原因です。
以上のことから、コロナ後遺症の倦怠感も炎症による浮腫みが原因と思われます。また、鍼灸でコロナ後遺症の倦怠感が改善された方は〝さほど″食事内容が乱れていなかったと想像できます。
・COVID-19 罹患後症状・Long COVID における神経症状 中嶋 秀人, 原 誠, 他 2022 年 81 巻 4 号 p. 197-204
(前略)
COVID-19 罹患後症状・long COVID は,これまで新型コロナ後遺症,新型コロナウイルス急性感染後症候群とも呼ばれ,COVID-19 罹患後に感染性は消失したにもかかわらず,急性期から持続する症状や経過途中から新たに生じて持続する症状全般を指す.
神経症状に関するものとしては,不安やうつ,睡眠障害などがあり,記憶力低下や集中力低下など頭にモヤがかかったような状態は brain fog(ブレインフォグ)とも呼ばれている.(中略)
代表的な症状として,①全身症状:疲労感・倦怠感,関節痛,筋肉痛,②呼吸器症状:咳,喀痰,息切れ,胸痛,③精神・神経症状:記憶障害,集中力低下,不眠・睡眠障害,頭痛,抑うつ,筋力低下,④その他:嗅覚障害,味覚障害,脱毛,動悸,下痢,腹痛があり,多岐にわたる.(中略)
ギリスでは COVID-19 発症 28 日以降も症状が持続する4,182 例(持続期間 8 週間以上 4.5%,12 週間以上 2.3%)を対象に携帯アプリを用いた調査をおこない,longCOVID のリスクについて解析した.
その結果,高齢,肥満,女性,発病 1 週間後に 5 つ以上の症状が longCOVID のリスクになる可能性が示された。その他のリスクとして,イギリスの 1 地域での調査結果であるが,喫煙,入院,生活困窮などがあげられている。
倦怠感は重症度を問わず上位に位置し,記憶障害,集中力低下,うつは軽症者にも頻度の高い long COVID の症状であり,重症度との関連は多種多様と考えられる.また,イギリスの報告では重症化リスクとなる男性よりも女性に long COVID が多いことを示しており,重症化がlong COVID に必ずしも関連しないことを念頭に置き臨床現場で対応する必要もあると考えられる.(中略)
Brain fog とは認知機能低下,集中力低下,頭がはっきりしない,モヤがかかったような状態を示すが,患者の訴えである主観的状態を表す用語でもあり,その病態は解明されていないのが現状である.(中略)
動物モデルを用いた研究であるが,脳内にウイルス感染を起こさない軽症 COVID-19 のモデルマウスを作成したところ,感染 7 日目に血清と脳脊髄液中の CXCL10,IL6,IFN-γ,CCL7,CCL2,CCL11 など炎症性サイトカイン,ケモカインの上昇が認められ感染 7 週間後にも持続して上昇していた.脳組織ではミクログリアの活性,白質のオリゴデンドログリア脱落,有髄神経の減少が確認された。(中略)
「食事の油脂選択が子の精神・知能に与える影響!」で、オリゴデンドログリアの脱落は慢性炎症下で糖化が促されることで起きることを指摘しました。熱(炎症)により、メイラード反応が促され糖とタンパク質が反応し、髄鞘(オリゴデンドログリア)が脱落します。それが有髄神経の減少です。
脳内における炎症もまた、ODと同じオメガ6過剰かつオメガ3の摂取不足が原因です。そして、ミクログリアの活性は、シナプスの再生を促しているからだと思われます。
・『見えてきたミクログリア突起の動きと働き』 注目されるミクログリアのシナプス再編における役割 林 良憲, 中西 博 2013 年 142 巻 5 号 p. 231-235
(前略)軸索の切断された運動神経を取り囲むようにミクログリアが偽足の一部をシナプス部に差し込み,文字通りシナプス終末を運動神経の表面から引き剥がすというものである.その後,運動神経の軸索は再生し,シナプ スも再生する.
このことからミクログリアはsynaptic stripping により外部からのシナプス入力を物理的に遮断し,あたかも集中治療室のような環境を作ることで運動神経の軸索ならびにシナプスの再生を促すと考えられる.(以下略)
以上のことから、コロナ後遺症への対処は基本的にOD改善のアプローチと同じで良いと想定しています。
・神経学における未解明事象への対応するには―若き神経学者へ 髙嶋 博 2022 年 39 巻 1 号 p. 3-6
(前略)
脳についてはその機能や線維連絡,様々な問題がファジーな状態であり,脳の症候を詳細に説明できるほど脳の理解は進んでいない.近年ポストコビット症候群で注目されている“ブレインフォグ”と言う言葉があるが,これは文字通り脳に霧がかかったように,脳がうまく働かなくて考える能力,記憶等が悪く,脳が疲れやすく力も出ない状態である.
ブレインフォグと言う用語は多発性硬化症でも,ミトコンドリア病でも用いられており,原因はともかく脳全体的な活動が低下している脳炎や脳症の総称であろう.言い換えれば,びまん性脳障害ともいえる.COVID–19の感染症後に,ブレインフォグの状態になるのは,現在はサイトカインストームによるものやCOVID–19感染そのもので起こることもあるが,それほど重症でなくとも起こっているようで,長期間仕事ができなくなるので厄介である。(中略)
神経内科医に考えて欲しいのは,例えばME/CFSの患者さんがいろんな診療科で診てもらえない現状がある.全身の運動障害があり,記憶障害があり,頭痛,疼痛,排尿障害まである.易疲労があり,ブレインフォグの状態で,臨床症状から診断も容易である.
脳内炎症や一部は脳ミトコンドリアの機能低下で起こっている証拠も上がっており,精神主体ではなく脳や自律神経の器質性疾患であるのは明らかである.(以下略)
付け加えるなら、オメガ6過剰はマクロファージの活動が過剰に活性化され、それが免疫の暴走を招きます。
マクロファージは標的を定めた攻撃はしません。免疫の場にやってくると、マクロファージは手当たりしだいに食いついて相手を破壊します。また、同時に様々なフリーラジカルやサイトカインを放出し炎症を促します。
マクロファージは侵入者を取り囲み攻撃しますが、見境のない攻撃で周辺の組織も大きなダメージを受けます。そして、この周辺組織のダメージの大きさはオメガ3不足かつオメガ6過剰だと顕著となり、これを免疫の暴走、サイトカインストームと呼ぶと考えていいでしょう。
・ラット肺胞マクロファージのTNFα遊離に及ぼすEPA、DHAの抑制効果 若宮 辰嘉, 伊藤 浩明,他 1999 年 48 巻 8-9 号 p. 956-
【目的】n-3系多価不飽和脂肪酸は種々の抗炎症作用に基づく臨床応用が検討されている。今回、ラット肺胞マクロファージのLPSによるTHFα遊離に及ぼすEPA、DHAの抑制効果を検討したので報告する。(中略)
【結果】EPA、DHAは濃度依存的にTNFα生産を抑制した。一方、大豆油は抑制効果がなかった。
※ TNFα:炎症性サイトカイン
TNFαはアラキドン酸(n-6)から生じる炎症を促す物質です。EPA、DHAは脳ぞ依存的にその生産を抑制したとありますので、摂取量が増えるとマクロファージの暴走を抑えることが容易に想像できます。
・エイコサペンタエン酸のラット腹腔マクロファージにおけるアラキドン酸代謝に及ぼす影響 斉藤 博幸, 平井 愛山,他 1984 年 4 巻 1 号 p. 25-30
ヒトおよび動物の白血球系細胞は種々の刺激により遊走、凝集、貧食、顆粒放出などを起こすとともに、膜リン脂質よりAA(アラキドン酸:n-6)が遊離され、CO productsや:LOproductsの生産亢進を起こすことが報告されているが、今回のマクロファージを用いた実験でも同様に、種々のLO productsおよびCO productsの産生がみられた。
in vitroのの実験でA23187刺激時の14C-AA標識Mにおける14C-AAからのLO products(リポキシゲナーゼ系代謝産物)およびCO products(CO
系代謝産物)の産生はEPA添加量を増加するに従い、濃度依存性に減少した。
Nccdlemanらは洗浄ヒト血小板を用いたinvitroの実験で、EPAはAAからのHHT(2-hydroxy heptadecatrienoic acid)、HETE(5-hydroxy eicosatetraenoic acid)およびTXB2(トロンボキサンB2)の産生を抑制したと報告しているが、今回のマクロファージを用いた実験でも同様の結果が得られた。
興味ある所見として、LO productsとCO productsの比をみると、EPA添加量が増加するに従い、この比も増加する傾向がみられた。
以上のことから、マウロファージのAA代謝に対するEPAの作用としては、⑴EPAがマクロファージの膜リン脂質からのAA遊離を抑制するのに伴い、遊離されたAA自体はCO系よりL・O系へより代謝されやすくなるのか、⑵EPAがマクロファージの膜リン脂質からのAA遊離を抑制し、さらにLO系およびCO系も直接阻害するものの、CO系をより効果的に阻害するのかーという2通りの可能性が考えられる。
まとめ
ほとんどのヒトは食事からオメガ6系脂肪酸を超過剰に摂取しています。一方、オメガ3系脂肪酸の摂取量は極端に減少しています。これは、若年層ほど顕著です。
・高度不飽和脂肪酸および脂肪酸結合タンパク質の神経新生に対する役割 大隅 典子 2011 年 11 巻 10 号 p. 359-363
近年の研究から、強度の社会的ストレスを動物に与えると神経新生が抑制されること、またうつ病を惹起(じゃっき)することが知られているインターフェロンが神経新生を抑制すること、さらにドパミンが神経新生を向上することが発表されており、神経新生と精神疾患の関係が注目されつつある。(中略)
統合失調症やうつ病、心的外傷後ストレス障害(PTSD)患者では、しばしば海馬の萎縮が認められる。海馬は生涯にわたって神経新生が生じる場であり、神経新生の低下は海馬の萎縮を招く。われわれは、神経新生の低下が精神疾患発症の脆弱性(ぜいじゃくせい)を招くのではないかという「神経新生仮説」を提唱している。(中略)
現代においては食品加工や調理における大豆油などの使用増加に伴いn-6系PUFAの摂取が増えており、先進国におけるn-6/n-3比は、ほぼ25:1にまで達している。
また、n-6系PUFAとn-3系PUFAの代謝は酵素や輸送システムを共有しているために競合することが知られており、n-6系PUFA摂取の増加は、体内におけるn-6系PUFAの増加とn-3系PUFAの減少をもたらす。
日本脂質学会はn-6/n-3比は2:1を推奨しています。ですが、ほとんどのヒトは20:1以上、コンビニ食や安価な外食チェーン、カップラーメン、ポテトチップスのようなものばかり食べている健康に無頓着のヒトなら50:1を超えていることでしょう。
それがマクロファージの暴走を促し、免疫の暴走に繋がりコロナ後遺症という形で現れたと考えるのが自然でしょう。
コロナ後遺症で苦しんでいる方は、以下の食生活改善を参考にしてください。なお、10日間チャレンジは必須です。
nにお勧めしております。
チクワを食べた方は以下の記事は必読です。お役立てください。
・年度末は眠っている家族や親戚。「体調+メンタル」不良を改善する大チャンスかも?
↑ページ内で問診票が無料ダウンロードできますのでお役立てください。
16時間節食(1日の中で16時間以上食べない時間を確保する)は重要ですよ。
病気の臓器細胞は十分な節食時に病気の白血球に戻ります。また、その病気の白血球も赤血球に戻り、その後アポトーシスします。真剣に取り組むことを心からお勧めします。