ダイエットにおいて低栄養とリバウンドが「こころ」や脳に大きな影響を与える理由とは?

「ダイエットの原理とは?実は、脂肪は燃焼しません。」

前回、上記のようなお話をご紹介しましたが、重要なポイントは「まとめ」でご紹介した慢性炎症です。

慢性炎症は、生活習慣病やがんを含む加齢が関係する疾患に共通してみられる基礎的病態で、高齢者で起きやすくなっているとされています。しかし、慢性炎症は高齢者に限らず、ほとんどの人に起きていると私は考えています。

また、この慢性炎症が鼻炎や蕁麻疹のようなアレルギーや、起立性調節障害、うつ病、パニック障害、発達障害、モラハラなど、多くの問題のトリガーとなっている。これは、私の実務経験から考えれば疑いようのない事実です。

ダイエットという記号!

昨年末にパニック障害の相談をいただいた女性は、パニックが起きる半年ほど前からダイエットをしていました。が、はじめは5キロほど痩せたそうですが、そこから見事にリバウンド。その頃からメマイや立ち眩み、頭痛がひどくなり、不安やイライラといった感情に悩むようになっていました。また、パニック発作を繰り返すようになっていたそうです。

また、ある女性はダイエット後、同じようにメマイや立ち眩み、頭痛がひどくなった頃から朝が起きれなくなりました。そして、起きると吐き気や腹痛で朝食がとれなくなっていたそうです。

ダイエットによる食事制限を違った角度で見ると?

この二人に限らず、さまざまな不調に悩まされる前にダイエットをしていたという女性は少なくありません。では、ダイエットにより何が起きているのか?と言えば、それは「食事制限」です。そして、この食事制限を違った角度で表現すると次のようなものになります。

低栄養

納得いただけると思いますが、ダイエット時には食事制限をします。しかし、ほとんどの方は置き換えダイエットなどの食事制限をするものの、サプリメントの利用など、適切に栄養を補うことはしません。そしてこのとき、筋肉が減少します。

私が指摘するまでもなく、体中の組織は栄養を利用しています。ひとつひとつの細胞がビタミンやミネラルなどを利用しエネルギーを作ります。また、アミノ酸なども利用し、細胞は今この瞬間も生まれ変わっています。例えば…

※ タンパク質はアミノ酸がつながってできています

血液は約120日周期で生まれ変わる

赤血球(ヘモグロビン)は鉄とタンパク質が素で、不足すると貧血になります。

皮膚は約28日周期で生まれ変わる

皮膚の弾力性やツヤは、コラーゲン(アミノ酸がつらなったペプチド鎖3本でできている)で保たれます。

筋肉は約7~14日周期で修復される

筋肉はもっともアミノ酸を必要とする組織で、不足すれば当然筋肉が衰えます。

胃粘膜は約2~3日周期で修復される

胃腸などもアミノ酸でできていおり、不足すれば胃腸の不調が現れます。

骨は約90~120日周期で生まれ変わる

骨の成分の約7割はコラーゲン。このコラーゲンが骨組織をつなぐことで、骨の弾力性が保証されます。

他にも…

  • 消化酵素をはじめ、体の働きを助ける酵素
  • ホルモン:インシュリンや脳下垂体ホルモンなど
  • 免疫体:細菌やウイルスから体の組織を守る免疫体
  • 毛髪・ツメ:毛髪やツメもケラチンという硬質タンパク質でできています。

ご覧の通り、体の組織やその代謝を司る酵素などはそのほとんどがアミノ酸です。したがって、ダイエットにより栄養が不足したとき、正常な代謝を維持するために必要なアミノ酸やビタミン、ミネラルは筋肉を壊して確保されます。

内臓脂肪は慢性炎症を生む!

実は、肥満は内臓脂肪に慢性炎症をもたらします。

肥満により内臓脂肪組織に炎症が誘導され、その炎症により脂肪組織からは炎症性サイトカインや遊離脂肪酸が放出されます。そしてそれが、その炎症から離れた組織におけるインスリン抵抗性(インスリンが効きにくなる)や炎症も招きます。

ですから、本来はダイエットは慢性炎症を解消する有効な手段です。しかし、現代人の食生活ではそうはいきません。そして、その理由はすでに何度もご紹介しています。

炎症を促すオメガ6脂肪酸!

30~40年前までの肉と現代の肉は、その脂肪酸組成が大きく変化しています。その理由は、「食材の現実!牛肉の巻」でご紹介したように家畜に与えるエサにあります。

スーパーや外食産業で使いまわされた油が家畜のエサに再利用されるようになり、肉に含まれるオメガ6脂肪酸の量が大幅に増えています。一方で、オメガ3脂肪酸が豊富に含まれる魚を食べる習慣は顕著に少なくなっています。

  • オメガ6:炎症を促す
  • オメガ3:炎症を鎮める

先に、脂肪組織からは炎症性サイトカインや遊離脂肪酸が放出される。と、紹介しましたが、このオメガ6(アラキドン酸)が炎症性サイトカインに変換されます。そして炎症性サイトカインには種類があり…

  • プロスタグランジン:痛み
  • ロイコトリエン:気管支喘息
  • トロンボキサン:血小板凝集

それぞれ、主に上記のような働きがあります。ですが、それ以前の問題として体内における炎症は次のようなデメリットがあります。

筋肉と炎症!

以前、NHKのためしてガッテンでは次のような放送がありました。

痛みも熱も引き起こすことのない非常に弱い炎症でも、慢性的に長く続くと血管や臓器の細胞を傷つけ、動脈硬化やガンなどを引き起こす可能性がある。アメリカでは「慢性炎症」を止めたマウスが非常に健康で長生きしたという研究成果が発表されている。

日本人は、ほぼすべての人がオメガ6過剰になっています。このことから、オメガ3系の脂肪酸を十分にとれていないのなら、誰もが体内で慢性的に炎症が起きていると結論付けていいでしょう。そしてこのとき、筋肉組織では次のようなデメリットがもたらされます。

炎症が筋肉量を減少させる

近年の研究により、慢性炎症が筋肉を衰えさせる原因となっていることが明らかになってきました。

筋トレをすれば筋肉が増えます。逆に、そのついた筋肉も、運動をしなかったら減少します。このように、筋肉のタンパク質は合成と分解をしており、24時間増えたり減ったりしています。

当然のことですが、筋タンパク質の合成が分解量を上回れば筋肉量は増えます。一方で、分解が合成量を上回ると筋肉量は減少します。筋タンパク質の合成と分解のバランスが保てているからこそ、私たちは筋肉量を維持できるわけです。

筋肉量は、筋肉のもとである筋タンパク質の合成と分解のバランスによって24時間、増えたり減ったりしています。筋タンパク質の合成量が分解量を上回れば筋肉量は増えますが、分解量が上回ると筋肉量は減ってしまいます。わたし達が筋肉量を維持できているのは、合成と分解のバランスが保てているからなのです。

実は、慢性炎症は筋タンパク質の合成を促す「酵素」を抑制します。さらに…、筋タンパク質の分解を促す回路を活性化させます。タンパク質の合成量が減る一方で、分解量が増加する。この働きにより、筋肉が衰えることになります。

サルコペニア肥満の原因とは?

私は、ダイエットの後でリバウンドする人が増えていること。また、ダイエットがトリガーとなり、さまざまな不調を訴える理由が上記のようなことになると考えています。

そもそも、繰り返し指摘しているように、ほとんどの人は新型栄養失調です。

新型栄養失調とは?3食しっかり食べているのに、ビタミン・ミネラル・タンパク質の不足でおこる栄養欠乏症状のこと。 隠れ栄養失調とも言われ、外見からはほとんどわからないことが特徴。 活動量や筋力の低下を招き、転びやすくなったり歩く速度が遅くなったりします。外食やコンビニ食、お惣菜などを週に1回でも利用する人なら、ほぼ新型栄養失調と考えていいでしょう
詳しくは、厚生労働省が発表している国民健康栄養調査表の内容を解説した小冊子「標準偏差からわかる見逃せない事実とは?」をお読みいただきたいと思いますが、残念なことにほとんどの人はこの事実を認めようとはしません
ですが、ハウス食品の調査では次のような指摘がされていますのでご紹介しておきます。
日常的に3食しっかりと食べている6~8歳の子どもをもつ母親を対象に、直近3日間に子どもが食べた料理の食材と分量について調査を実施。83%の子どもが「炭水化物」や「たんぱく質」「脂質」の三大栄養素は必要量を摂取できているものの、三大栄養素の働きを調整し助ける役割を果たす栄養素「ビタミン」、「ミネラル」、「食物繊維」をあまり摂取できていないことが分かりました。 「ビタミン」、「ミネラル」、 「食物繊維」が慢性的に不足すると、新型栄養失調になるといわれていることから、現代の子どもたちにも新型栄養失調のリスクがあることがわかりました。 引用 「ハウス食品株式会社」

重要なのは、食生活の改善でこういった問題の解決を目指すのなら、驚くほど食費が高騰するという事実です。

安価なエサを使っているからこそ食肉の値段は安いわけです。逆に、そういったエサを使わずに家畜を育てるには、それ相応のコストがかかります。また、今まで以上に青魚などを積極的にとる必要があります。また、これは食生活の改善にすぎません。今までの食生活のツケを解消するには、それ以上の努力が必要となります。

  • うつ病やパニック障害などの精神疾患
  • 起立性調節障害
  • 発達障害
  • モラハラ

など、その人やご家族の将来を左右するような大きな問題の解決を望むのに、食生活の改善だけでは大きな回り道になるのは明らかでしょう。

とくに、起立性調節障害などでは、吐き気や小食など胃腸症状の不調を訴えるケースがほとんどです。また、発達障害などでは偏食が顕著です。こういった事実が、低栄養につながることは私が指摘するまでもありません。

まとめ

私がなぜ?今更ダイエットについて語ったのか、おおよそ理由がお解りいただけたことと思います。

ダイエットは重要ですが、アミノ酸やビタミン、ミネラルを十分にとらずにダイエットをするのは危険です。また、オメガ6脂肪酸を減らし、オメガ6脂肪酸を積極的に摂取しないダイエットもまた危険です。

さらに、肥満はさまざまな病気の原因となりますが、私たちのこころにも悪影響を与えることになります。が、間違ったダイエットもまた、「こころの病」や「こころの問題」、発達障害、起立性調節障害など、その人の人生を左右するような問題につながります。

約83%の子どもに新型栄養失調のリスクがある。

私は、この事実は正確ではないと思っています。

なぜなら、これは食事内容だけから結論付けられているからです。なぜなら、お菓子やジュースを食べれば、体内でビタミンやミネラルなどがその代謝に使われてしまいます。そこに偏食があれば、なお更のことでしょう。したがって、栄養が足りている可能性がある子供など、私はほんの数パーセントにすぎないと考えています。

いつも言っていますが、別に私の指摘を信じる必要はありません。

気持ちよく「騙されていただき!」、私の指摘が間違っているのか?それとも、正しいのか試していただきたいと願っています。その結果、何が起きるのか?その目で、確認をしてください。

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【追記1】

受験シーズン真っただ中ですが、今年も続々と嬉しいお便りをいただいております。想像がつくと思いますが、私に相談を申し込む子供たちはとても大きな問題を抱えていた人ばかり。ですが、彼らはとても優秀に、かつ明るく元気に成長しています。決して、単なるがり勉君ではありません。

【追記2】

足の浮腫みに悩まされている方へ!

足の浮腫みを解消させる具体的な方法。足が浮腫まない体質にする方法について、本を書きはじめました。アマゾンと楽天KOBOの電子書籍で4月に出版予定です。足が浮腫む方は、ぜひお役立てください。

自分で言うのもなんですが、この動画 ↓↓ 恐ろしいほどショボいです。( ;∀;)

https://youtu.be/eXcwAQhQl8c

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Posted by sinsd