子どもを授かる前の女性に伝えたいこと!:食事がアルツハイマー発症に及ぼす影響!
令和3年10月1日現在、日本の人口は1億2,550万人。うち65歳以上人口は、3,621万人で総人口に占める割合(高齢化率)は28.9%です。
高齢化で問題となるのが認知症です。患者数は平成24(2012)年に462万人と、65歳以上の高齢者の約7人に1人(有病率15.0%)でしたが、2025年には約5人に1人になるとの推計されています。以下、認知症の定義です。
認知症は病名ではなく症候群で、アルツハイマー型認知症と血管性認知症、レビー小体型認知症と大きく3つの病態に分けられます。なかでも、認知症の約半数を占めるのがアルツハイマー型認知症で、80歳以上では20%以上の人がアルツハイマー型認知症と言われています。
重要なのは、これは決して高齢者に限った病気ではないことです。事実、当社がいただいた認知症の相談は1人を除いてすべてが65歳未満の女性でした。それも60代は64歳の女性のみで、後はすべてが50代の女性でした。
そしておそらく、今後も認知症の低年齢化の発症が進むと思われます。
なぜなら、認知症の主な原因はサラダ油や植物油脂、トランス脂肪酸にあるからです。
・アルツハイマー病発症と食事栄養因子 大塚 美恵子 2001 年 47 巻 1 号 p. 36-44
食事栄養が身体の健康を維持するために重要であることは誰でも認めることである.実 際,がん(特に肺がん・大腸がん・乳がん)・ 心臓血管病 ・脳血管障害.アレルギー性疾 患など多くの生活習慣病の発症には食事因子が関与している.(中略)
食餌栄養と脳機能に関してはあまり注目されてこなかったが、長年にわたる食習慣が脳機能に対しても影響を与えるという疫学研究が増加している。またアルツハイマー病(AD)に関しても食事との関連を示唆する知見が増加しつつある。(中略)
表1は今までに報告されている高齢者の認知機能障害と関係する栄養素の報告をまとめたものである。
これらにほぼ共通しているのはビタミン群(特にB2・B6・B12)および葉酸の摂取不足・ビタミンC・ビタミンEやβ-カロチンなどの抗酸化物の摂取不足、亜鉛・鉄などの微量金属の摂取不足、および動物性脂質の過剰摂取である。
脂質に関しても後述するように魚の摂取不足によるn-3系多価不飽和脂肪酸(PUFA)の欠乏が最も重要と考えられるため、ほとんどは臨床症状を表さない程度の潜在性の欠乏症であることを示している。
アル ツハ イマー病 と食事因子 との関係
ADと食事因子との関連を調べた報告は少ないが、ロッテルダムでの前向き調査ではあらかじめ痴呆のないことを確認した55歳以上の住民5386人を平均2.1年間追跡し痴呆発症と食事因子との関係をみている。
血管性因子を伴うADに対しては総脂質(85.5g/d以上)と飽和脂肪酸(SFA)の過剰摂取(34.0g/d以上)が危険因子であった。一方、血管性因子を伴わない純粋なADにたしてはこれらの脂質はいずれも関係なく、魚の摂取がADの防御因子との結果が示された。同様の結果はGrantによっても報告された。しかし、AD患者で魚の摂取が少ないとの結果が得られなかった報告もある。
また、やはり同じくロッテルダムでの最近の報告では、野菜と果物の摂取不足がADの危険因子であると報告がなされ、抗酸化物の摂取不足と関連づけられている。(中略)
1)AD患者の食行動異常
AD患者のうち74%もの患者が様々な食行動異常を示した。特に多いのが偏食と小食で、魚と緑黄色野菜を摂らず肉ばかりを食べたり甘いものだけを摂る例が多かった。また女性では極端な小食が多く、男性患者の中には過去に多量の飲酒経験を持つ例や極端な過食を示した例もあった。
しかし26%の患者には明確な食行動異常はなかった。
これらの食行動異常と痴呆との因果関係をみるため、若い頃からの食行動をできる限りさかのぼって詳細に聴取したところ、ほとんどの人は若い頃から異常があり、最も若い人で13歳の中学時代からだった。また食行動異常の継続期間では最短で3ヵ月、長い例では60年にもなった。
このような食行動を起こすきっかけとして男性の場合には単身赴任、女性の場合は日中1人で、適当なもので食事をすませることや配偶者の好みの影響が目立った。また、長期の海外生活などで食事が変わった例や、食が多い例、高齢になり若夫婦と同居し、炊事を任せたことがきっかけになった例もあった。
典型例を示す。56歳男性、アポEは4/3で平成9年533歳時より記銘力低下に妻が気づき、その後徐々に進行。2000年4月に当科受信時にはMMSEが20点だった。
本例は子どもの頃より好き嫌いがあり学生時代も外食が中心で肉、あぶらものばかりを好み、2年間の単身赴任時代にはアルコールも加わり、ほとんど連日肉ばかり食べ野菜を摂らずまた、飲酒のあとにロールケーキを2本も食べてしまうような生活を続けていた。
妻が記銘力障害に気づいたのは単身赴任から戻ってきた直後からだった。妻には偏食を直す食事指導を依頼し、本人もよく従い、2001年5月の時点でMMSEは20点と経過は良好であった。
2)AD患者の食餌栄養の特徴
表‐2はAD患者と対照の摂取食品・摂取栄養素を摂取エネルギー1,000kcalあたりに標準化して比較したものである。
脂質では予想に反してコレステロールやSFAに差がなく、有意に差があったのはPUFAの摂取バランスであった。ADでは魚嫌いを反映してn-3PUFAの摂取が低く、肉に多く含まれるn-6PUFAの摂取比(n-6/n-3比)が対照より優位に高かった。(p<0.0001)。しかし、n-6PUFAそのものはADと対照とに差はなかった。
3)男性患者と女性患者の食事因子の違い
AD患者では男性と女性とではかなり食行動が異なるため、如何に男性と女性に分けて解析した結果を提示する。
⑴摂取エネルギーと三大栄養素対照では必要エネルギーと実際の摂取エネルギーは男女ともほぼ一致していた(表-3)
三大栄養素では炭水化物の中では穀類と砂糖類の摂取が多かった。
これに対して助成AD患者では摂取エネルギーが少なく、脂質、たんぱく質ともに対照より少なかった。
すなわち、男性A患者ではエネルギー摂取過剰、女性AD患者では多くの栄養素の摂取不足を認めた。
⑵摂取食品、摂取栄養素の比較
1日の摂取食品を総量で比較すると、男性AD患者では魚よりも肉の摂取の方がはるかに多く、肉:魚の比が1.0±0.8と対照の0.4±0.3より有意に高かった(p=0.001)男性AD患者では緑黄色野菜の摂取量は対照と差がなかったが海藻の摂取が少なかった。
一方、女性AD患者では魚の摂取が優位に少ないため(P=0.002)、肉:魚の摂取比率が0.6±0.5と対照の0.4±0.4よりやはり高かった。女性AD患者では魚以外に緑黄色野菜と海藻類の摂取の絶対量が少なく、これを反映して、カルシウム・リン・鉄・カリウム・ビタミンB2・ナイアシンなど全般的な栄養不足を認めた。
⑶脂質の比較
男性AD患者では、コレステロール・SFA・一価不飽和脂肪酸(MUFA)・PUFAのすべてで対照より多い傾向にあったが、いずれも有意差ではなかった。PUFAではn-6/n-3比が有意に高かったが(P=0.001)、これはn-6PUFAの摂取が有意に高い(P<0.001)ここと関係していた。
これに対して女性AD患者ではコレステロール、SFAの摂取が対照より極めて少なかった。また、PUFAではやはりn-6/n-3比が対照より優位に高く(p-0.024)、女性の場合にはn-3PUFAの摂取が不足していることと関係していた。
以上をまとめると、AD患者では男女ともn-6/n-3の摂取比が高いが、男性ではn-6PUFAの摂取過剰、女性患者はn-3PUFAの摂取不足による点が異なった。
⑷n-6/n-3バランスとAD発症年齢
n-6/n-3比と発症年齢の関係をみるとε4保有例ではn-6/n-3比 が低下するにつれて発症年齢が上昇し比が高い人と低い人では20年ほどの違いが認められた(図-1)。
また、ε4保有者で発症を免れている人はn-6/n-3比が低いだけでなく、緑黄色野菜も十分に摂っていた。
この結果は遺伝的素因があっても魚や野菜を十分摂れば発症を免れたり、発症を遅らせることができる可能性を示している。
n-3PUFA:エイコサペンタエン酸(EPA)による認知機能改善効果
以上より、ADに関連する複数の食事栄養因子の中で特にPUFAの摂取バランスが重要で、n6/n-3比 が高いことが病的過程を進める上で重要な意味を持つと推定される。
この結果をもとに、私たちはn-3PUFAであるエイコサペンタエン酸(EPA製剤)を投与し、血清n6/n-3比 を下げることが病的過程を抑制したり認知機能を改善させる可能性があるとの仮説を立て、1日あたり900㎎のEPAを12ヶ月間投与し効果を判定した。
認知機能の効果判定はMini Mental State Examination(MMSE)で行い、EPA投与開始時点からの得点の変動についてt検定を行った。
図₋2はEPAの投与による認知機能の推移を示したものである。12ヶ月まで投与し、評価しえた症例はAD患者22例だった。
図₋2の細い実線はMorrisらの報告から引用したAD患者のMMSEの自然経過を現わしており、6ヵ月で平均2点、12ヵ月で平均4点低下するとの報告に基づいている。
EPAを投与するとAD患者のMMSEの得点は開始後2~3ケ月頃に上昇した。
しかし、AD患者には反応例と非反応例とがあり、3ヵ月の時点で開始時を上回る例を改善例、同じものを不変例、下回るものを悪化例とすると、改善37例・不変5例・悪化27例であった。MMSEは最高で8点上昇した例や、最長で21ヵ月間3点上昇し続けた例があったが、全体としては長期作用はなかった。
平均点で見ると投与後約6ヵ月までは開始時点の点数を維持したが、6ヵ月以降は得点が低下し、Morrisの自然経過とほぼ並行して推移し、EPAがADを本質的に直しているという結果は得られなかった。(中略)
脂肪酸摂取バランスの重要性
今回の結果で最も特徴的だったのは、AD患者で男女ともPUFAのn-6/n-3比が高かった点である。n-6PUFAとn-3PUFAはそれぞれ必須脂肪酸であるリノール酸とα-リノレン酸を出発物質として体内で合成され、リノール酸からはアラキドン酸が、またα-リノレン酸からはEPAとドコサヘキサエン酸(DHA)が合成される。
n-6PUFAとn-3PUFAは互いに競合し阻害しあう関係にあり、アラキドン酸からつくられるトロンボキサン・プロスタグランジン・ロイコトリエンなどの第2系列のエイコサノイドは炎症反応や血液凝固をひきおこすメディエーターであるが、EPAやDHAからつくられる第3系列のエイコサノイドはこれらに対して拮抗的に作用する。
従って、n-6PUFAとn-3PUFAは絶対的な摂取量よりも摂取比率の方が重要になってくる。
今回の調査でも、実際に摂取しているn-6PUFAとn-3PUFAの絶対量は症例ごとに変動が大きかったが、n-6/n-3比でみると痴呆と対照とに有意に差が示された。ただし、女性患者ではn-3PUFAの絶対量の不足も加わっていると考えられる。
人体の細胞膜のn-6/n-3比は臓器によって大きく異なる。脳・網膜・精子ではn-6/n-3比が0.3~0.11であるのに対し、心・腎・肝・筋などの全身臓器の比は5.0程度である。
すなわち脳はことのほかn-3PUFAを必要としている。脳にとってn-3PUFAが必須である点を考慮すると、同じn-6/n-3比の高値であっても女性患者の方が脳の受ける障害が深刻と考えられる。
食生活の欧米化にともなって、大腸癌などの欧米型の癌、クローン病や潰瘍性大腸炎などの消化器系炎症疾患、血管疾患・アレルギー性疾患などが急増している。これらはn-6PUFAの摂取過剰と結びつけられている。
また、最近うつ病など精神機能と脂肪酸摂取バランスとの関連も注目されてきている。うつ病でも魚の摂取不足が関係し、うつの度合いが強いほど赤血球膜のn-6/n-3比が高いことが報告されている。しかし、痴呆と脂肪酸摂取バランスとの関連での報告はまだない。
AD患者に対するEPAの効果
AD患者に対するEPAの効果に限界があったのは以下の4点が考えられる。
第1に血管因子の関与や炎症反応の関与は認められているが二次的なものにすぎないとする考えである。この考えに従えば、EPAによる、抗炎症作用・動脈硬化抑制作用・抗血小板作用などを期待してもアミロイドβ蛋白の凝集、タウ蛋白の凝集の本質を抑制しないためその効果には限界があると考えられる。
第2にはEPAの投与量の問題である。今回用いたEPAの投与量は1日あたり900㎎であった。
・各種脂肪酸の生理・薬理機能の多様性 奥山 治美, 橋本 道男, 他 2008 年 131 巻 4 号 p. 259-267
ヒトにおける AD の発症と DHA との関連性
AD 患者の海馬 DHA 量は同年齢者と比べて著明に低下する事が報告され,さらには近年,欧米や我
が国で行われた縦断的疫学調査や 5 ~ 10 年にわたる大規模な追跡調査の結果が相次いで発表され,DHAが多く含まれる魚の消費が高ければ高い程,加齢やAD による認知機能の低下を抑えることが推察されている。
DHA による AD 予防・改善効果とその機序
橋本らは,若・加齢ラット共に DHA による空間認知機能向上効果を明らかにした。(中略).
n -3 系脂肪酸欠乏壮齢ラットに,DHA(300 mg/kg/day)を 15 週間投与した後に AD モデルラットを作製したところ,DHA 投与ラットでは空間認知機能が AD ラットに比べて亢進し,大脳皮質・海馬での DHA/AA 比の増加は認知機能の向上をもたらすことが示唆された.
さらには,空間認知機能障害が認められた AD モデルラットに DHA を 12 週間投与したところ,空間認知機能障害は有意に改善され,AD ラット群に比べて,海馬の過酸化脂質量,活性酸素種(ROS)量,および Aβ量が減少した。(以下略)
うつ病に対してn-3PUFAの投与が行われ良好な成績が得られているが、この場合にはEPAとDHAの総量が1日あたり9.6gもの高容量が投与された。またクローン病に対してEPAを1日あたり2.7g投与したところ、有意に再燃防止効果を示したとの報告もある。従って、われわれの検討した投与量は極めて少なかった可能性が残されている。
第3には、特に女性患者では長年にわたるn-3PUFAの摂取府語句が背景にあり、すでに不可逆的な変化が脳に起こっており、少量のEPAを補っても意味がない可能性もある。
第4には、AD患者では-3PUFAに限らず、他に多くの栄養素の摂取不足が関係している。従って、n-3PUFAだけの投与では効果が限られていることも考えられる。(以下略)
まとめ
うつ病では、オメガ6過剰により体内の慢性炎症が起きています。また、それにより交感神経が過剰に働き脳に「as if~(あたかも~のような)フィードバック」が作用します。
交感神経が過剰に働くと、私たちの体は緊張します。例えば、風邪をひくと交感神経が緊張します。そのため、風邪をひくと肩がこったりします。これは、体がウイルスや細菌の侵入に対して対抗(耐える)していることを意味します。
うつ病も同じで、体内の慢性炎症で体中の筋肉が持続的かつ過剰な緊張を続けています。この緊張をあなたの苦手な場面に当てはめて想像してください。例えば、高所恐怖症なら「あたかも断崖絶壁の崖に立っているかのような~」情動が脳を支配することになります。
EPAは血液脳関門を通過できませんから脳に入ることは〝ほぼ″ありません。一方で、体内の慢性炎症を鎮める働きがあります。それにより、交感神経の緊張がほぐれ「as if~」フィードバックで生じていた情動も弱くなり、脳の働きが改善します。
一方、アルツハイマーは脳機能の働きが直接的に破綻した病態です。もちろん、その主因がオメガ6過剰かつオメガ3の慢性的な不足ですから、EPAにより体内の慢性炎症は改善します。しかし、脳に入れないEPAでは脳機能の働きには無力です。
前述しましたが、私の経験では10日間チャレンジで確実に認知機能は改善しています。脳に入れるn-3系はDHAですが、アルツハイマーもまた体内は慢性炎症が起きていますのでEPAやα-リノレン酸の同時摂取が必要であることを強調しておきます。
以下の5つはチクワを食べた方はもちろん、不調のあるなしに関わらずすべての人にお勧めしております。
チクワを食べた方は以下の記事は必読です。お役立てください。
・年度末は眠っている家族や親戚。「体調+メンタル」不良を改善する大チャンスかも?
↑ページ内で問診票が無料ダウンロードできますのでお役立てください。
16時間節食(1日の中で16時間以上食べない時間を確保する)は重要ですよ。
病気の臓器細胞は十分な節食時に病気の白血球に戻ります。また、その病気の白血球も赤血球に戻り、その後アポトーシスします。真剣に取り組むことを心からお勧めします。