テストなどのストレス!心理的なプレッシャーがかかるような場面で頭痛や吐き気が起きますが…?
受験を前に、次のような類の質問をたくさん頂戴しております。
「高校受験前の娘が10日間チャレンジを始め、明日で10日目となります。
アトピー性皮膚炎が引いてきたり胃腸が活動的になったりとおかげさまで効果が見え、引き続きお世話になりますがよろしくお願いいたします。
一つお聞きしたいのですが、娘は定期テストなどプレッシャーからか当日朝になると頭痛で欠席になってしまうので、来月の受験の面接の日も頭痛が起こらないか心配です。
こういった心理的な頭痛だったとしても、効果に期待を持ち続けても大丈夫でしょうか?」
ストレスを感じると頭痛や吐き気、腹痛などが起きる。
ほとんどの人は、こういった状況を「心理面」の問題だと考えます。これは、心理カウンセラーなど専門家も同様ですが、私は著書「30日で朝『スッキリ目覚める』体質にする方法!」でその考え方を心理面を脳科学を用いて明確に説明していますのでご紹介します。(※ 詳しくは著書をお役立てください。)
頭痛や腹痛、吐き気が起きたときとは?
ストレスを感じると、人や動物はそのストレスに耐えようと(対抗しようと)します。
例えば、崖から下界を見ると一般に身がすくみますが、これは「落ちる」ことを想像して体が硬直したからです。また、見逃してはいけないのは、この時私たちの思考は停止することです。以下のような動画を見れば、一般の方でも動画なのにクラっときます。高所恐怖症の方なら、動画を見ただけでメマイが起きる人もいらっしゃるでしょう。
https://www.youtube.com/watch?v=no5OsaETjyo
ストレスを感じると交感神経が緊張する!
実は、私たちがストレスを感じた時、無意識レベルでそのストレスに耐えよう(対抗)と「交感神経」が緊張します。この交感神経は自律神経のひとつで、車に例えると「アクセル」の働きをします。一方で、副交感神経はブレーキのような働きをし、休息を促します。
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体内における血液の流れを変えるのが自律神経の働き!
状況に応じて血液の流れを調節する。
一言で表現すれば、自律神経の働きは上記のようになります。交感神経が働いた時は活動です。活動には筋肉の働きが欠かせませんから、心臓の拍動を高めて血液は筋肉優先で送られることになります。また、筋肉は血液から酸素やブドウ糖、栄養を使ってエネルギーを作り活動に利用します。
副交感神経の働きも同じで、食事を食べると消化吸収の働きを高めるよう胃腸優先で血液を供給します。同じように、胃腸は血液から供給された酸素やブドウ糖、栄養からエネルギーを作り、消化や吸収といった活動を活発にします。
・交感神経:活動のために筋肉優先で血液を供給
・副交感神経:消化吸収のために胃腸優先で血液を供給
では、自律神経の働きと脳への血液供給はどう関係するのか?
「痛い!」
ラグビーやサッカーなど激しいスポーツでは、試合中には感じなかった痛みが試合後に強く現れたりします。これは、次のような働きによります。
三位一体脳!
脳の構造についてポール・マクリーンは「三位一体脳モデル」で次のような仮説を提唱しています。これは、人間は進化とともに次のような脳の働きを獲得していったという仮説です。
- 脳幹…爬虫類脳(反射脳)
- 大脳辺縁系…哺乳類脳(情動脳)
- 大脳新皮質…人間脳(理性脳)
交感神経が強く働くとは?
自律神経のコントロールタワーは視床下部と呼ばれ、これは爬虫類脳にあります。例えば、私たちは大きな音など何らかのストレスで「ドキッ!」とすると一瞬身がすくみますが、これは視床下部が反応して交感神経が強く緊張したことで起こります。
風でドアが閉まった時や「ヘビだと思ったらヒモだった!」というケースなど、この反応は一見するとムダなもの。ですが、「危険を回避」するために必要なムダでもあります。また、重要なポイントとして、この時に私たちの「思考が停止」しています。
このことから、爬虫類脳が強く働いた時には人間脳の働きが悪くなることがわかります。
「頭の働きが悪くなる!」
この事実を、先ほどの血液供給ということで考えると次のようになります。
爬虫類脳が強く働いたわけですから、ここに血液が優先して供給されている。一方で、人間脳への血液供給が少なくなります。しかし、ストレスがかかったときの脳の血液供給の流れは、単に爬虫類脳に優先となるわけではありません。そこには、爬虫類脳と人間脳には次のような構造上の違いが関係するようです。
人間脳と爬虫類脳の電気配線の違いとは?
実は、人間脳と爬虫類脳では電気配線が大きく違います。例えるなら電気コードと銅線の違いで、人間脳の神経細胞(ニューロン)は漏電を防ぐ絶縁体で囲まれている一方で、爬虫類脳は裸線のため容易に漏電します。
神経細胞上の情報伝達は電気信号(イオン)の流れで起きていますから、絶縁体で囲まれた方が情報伝達がスムーズに行われます。
有髄神経における情報伝達スピードはおおよそ秒速100メートル。時速に換算すると360㎞と新幹線並みである一方で、無髄神経は秒速約2メートルにすぎません。
ここで重要なポイントは、爬虫類脳が担当する「反射」とは生命維持のための本能であることです。また、危険を回避する本能的な働きは、生き残るために何よりも優先される働きです。だからこその「漏電」です。
崖で足がすくんだり、怖い顔の人が近づいてくると視線をはずす、フイに大きな音がすると身がすくむなどの反射は、爬虫類脳が強く働いているからです。また、生き残るための働きであるが故、あえて漏電させて大量のエネルギーを使うシステムを残したのでしょう。一見「ムダ!」と思えるこういった硬直は命を守るために必須のシステムなのです。
ストレスがかかったときに起きる頭痛とは?
娘は定期テストなどプレッシャーからか当日朝になると頭痛で欠席になってしまうので、来月の受験の面接の日も頭痛が起こらないか心配です。
冒頭の質問から、お嬢さんの頭痛は「緊張型頭痛」であることになります。そこで、緊張型頭痛について確認しておきましょう。
緊張型頭痛とは?
緊張型頭痛は、文字通り筋肉が緊張するために起きる頭痛です。頭の周囲や首、肩、背中にかけての筋肉が緊張し、痛みは後頭部を中心に側頭部や首筋にかけて生じます。
人により、「頭を締め付けられている」とか、「頭に何かが乗っかっているような感じ」などと表現され、痛み以の他にも立ちくらみやメマイを伴うことがあります。
緊張型頭痛の原因は?
緊張型頭痛の原因の多くは心身のストレスとされています。
例えば、長時間にわたってパソコン作業をしたりすると、首や肩の筋肉、頭の筋肉などが緊張して血流が悪くなります。そのため、筋肉が疲労し、神経が刺激されて痛みが生じます。また、女性の多くは筋肉不足によりバックを肩にかけただけで痛みが生じることもあります。さらに、精神的なストレスで発症することもあります。
緊張は二面的なものではない!
多くの方が見逃している事実があります。それは、緊張とは「緊張する」「緊張しない」といった二面的なことではなく、レベルの問題であることです。
例えば、肩こりにも程度があります。本人が肩こりを自覚しないがさわればカチカチだったり、肩を抑えると痛みを訴えそこではじめて肩こりを認めるケースもあります。また、肩こりを自覚したとしても、その程度は本人の訴えとは違うレベルであるケースも少なくありません。つまり、「ちょっとこっている!」と本人が口にしたとしても、肩がパンパンにこっているケースもあります。
はじめから緊張していたとしたら?
「バカな奴は単純なことを複雑に考える。普通の奴は複雑なことを複雑に考える。賢い奴は複雑なことを単純に考える。」
これは稲森和夫氏の言葉ですが、緊張型頭痛も複雑に考えすぎるから治るものも治らないのだと私は考えています。私の経験では、はじめから「緊張」しているからこそ、緊張する場面でさらに「緊張が強く」なることで頭痛が起きているケースがほとんどでした。
・ふだんはリラックスしている(緊張度0) → 面接で緊張(緊張度1)
・ふだんから少し緊張(緊張1) → 面接で緊張(緊張度2)
・ふだんからだいぶ緊張(緊張2) → 面接で緊張(緊張度4)
数字はテキトウですが、要は普段から緊張していると緊張する場面でより緊張するという単純な話です。また、普段の緊張の程度が強い人は、緊張する場面でより緊張することになります。
脳と体は情報をフィードバックし続けている!
冷たい風が吹くと、それを皮膚が感知してその情報が脳に送られます。また、脳はその情報から交感神経を緊張させ、それに耐えるように体に指令を送ります。この時、肌表面の血流は抑えられ筋肉に血液を送ります。
肌表面の血流が抑えられるのは熱を逃がさないように。また、筋肉に血液を送るのは熱の生産を高めるためです。このことから、視覚や聴覚からの情報だけでなく、体からの情報も交感神経を緊張させることがわかります。
肩や首、背中がこっているという情報は、常に脳に送られています。また、その情報は交感神経の緊張を促すとともに次のようなホルモンの分泌を促すことになります。
・アドレナリン:不安や恐怖
・ノルアドレナリン:怒り・イライラ
これらのホルモンが脳内に居座ると情緒が混乱します。例えば…
・友達が話をしているのを見て「自分の悪口を言っているのでは…?」と思ってしまう
・友達から冗談を言われただけなのに「意地悪をされた!」と思ってしまう
・先生に注意をされたら「自分ばかり怒る!」とカン違いしてしまう
・母親に「宿題をやったの?」と声をかけられただけなのに「うるせ~なクソババア!」と反応してしまう
重要なのは、本人が情緒の混乱に気づくことなくこれらの経験を記憶していくことです。そのため、こういったことが続くとより情緒が混乱し不登校につながることになります。
人間だからこそ先読みしてしまう!
人にはシミュレーション能力があります。だからこそですが、それが妄想につながります。
例えば、あなたが「転校」することになったとしましょう。転校先でどんなことを想像しますか?
・友達ができるだろうか?
・仲間外れにされないか?
・いじめられたりしないか?
こんなことを誰もが想像することでしょう。そして、情緒が混乱していたらこの想像は「妄想」となり、どんどん悪い状況をシミュレーションすることになります。その最たる例が「人前で頭が真っ白になる」とか「人前で話がしどろもどろになる」人たちです。
人前が苦手な人達!
人前に出ると緊張する。
もう説明は要らないと思いますが、こんな人たちは「はじめから緊張」している人たちです。はじめから緊張しているからこそ、人前に出るその前から妄想がはじまります。そしてこの時、爬虫類脳が強く興奮してどんどんアドレナリンとノルアドレナリンが分泌されます。
また、人前に出ると爬虫類脳の緊張はピークになります。ならば、「バタン!」と大きな音がした時に一瞬思考が停止するのと同じように、人間脳は働けなくなります。
人前で話がシドロモドロになるとか、頭が真っ白になるというのは人間脳が働けなくなったレベルの差にすぎません。要は、人間脳に十分な血液が届かずエネルギーを作れなくなるからです。
面接などのストレスで頭痛が起きるのも同じ理屈です。
まとめ
冒頭の質問は、情報が少ないので断言はできませんが次のことを確認してください。
例えば、交感神経が緊張すると胃腸に送られる血液は減ります。そのため、胃腸がうまく活動できなくなり腹痛や胃痛、胃もたれ、下痢、便秘といった形で表現されます。しかし、ここまでの自覚症状が起きないケースもあります。でも、交感神経の緊張は次のようなことでも判断できます。それは…
「ゲップ」や「シャックリ」、「口臭」、「ムセル」といった症状です。
また、たいした運動もしていないのに「ふくらはぎの痛み」など足の痛みを訴えるケースも少なくありません。そしてもちろん、首や肩、背中などのこりも交感神経が緊張していることを意味します。
前述したように、体の情報は脳に送られます。脳と体は情報をフィードバックし続けていますから、首や肩のこりがあるのならそれをほぐすだけで交感神経の緊張の程度は軽くなります。
程度が強い場合は、私は漢方という角度からのアプローチをお勧めしています。また、鍼灸や整体も効果はあります。
今回の質問のケースは試験までがあまりにも短期間なのでなんとも言えませんが、10日間チャレンジだけで問題解決してしまうケースも多々あります。
なお、10日間チャレンジはシステムです。マレに、サプリを飲むだけで他は何もしていない方がいらっしゃいますが、それでは問題解決はできません。余計なものの排除。食生活の改善。適切な運動も心掛けるようにしてください。そして、ひとりでも多くの方からの「元気になった!」という声を聞かせてください。
きっと元気になります!