3歳までにアレルギー疾患と診断された子どもは注意欠陥多動性障害発症リスク1.97倍!

「(発達障害児は)白い食品ばかり食べる

医学では発達障害の原因は不明となっていますが、教育現場では薄々ながら食との関連に氣づき始めているようです。

白い食品とは「パン」や「白米」、「牛乳」、「麺類(パスタ、ラーメン、ソーメン)」といったところでしょうか?

何度も繰り返し指摘していますが、玄米から栄養がギッシリ詰まった胚芽を取り除いたのが白米です。また、「米」辺に「白」と書いて「(かす)」となります。小麦も同じですから、白い食品は栄養が欠如した食べ物という話です。

発達障害等の特別な配慮を要する児童生徒の「食の困難・ニーズ」と支援 ―都内の小・中学校通級指導学級・特別支援学級、知的障害特別支援学校の栄養士・栄養教諭調査から― 田部 絢子, 髙橋 智 2017 年 75 巻 p. 318-319

(前略)

報告された児童生徒数は840 人、校種別では「小学校」529 人65.1%、「中学校」189 人23.3%、「特別支援学校」94 人11.6%であった(n=812 人)。

これらの食に関する困難は、「食物アレルギー」599 人65.0%が最も多く、「極端な偏食」92 人10.0%、「アナフィラキシーショック」73 人7.9%、「投薬による禁止食物がある」57 人 6.2%であった(のべ 922 人)。

その他、「宗教上の理由で食べられない食品がある」「食べ方にこだわりがある(白い食品ばかり食べる)」「咀嚼・嚥下が苦手」「魚の骨が処理できない」「何でも口に入れる」「薬の副作用で少食」「家庭に食べるものがない、保護者が食事を作らない」など多様な困難が報告された。(中略)

学校現場では発達障害児の身体症状や食行動の特異性に気づき始めている(以下略)

注目すべきは発達障害とアレルギーの関連です。食物アレルギーは人口の1~2%とされていますから、発達障害児の65%という異常な高値「発達障害」=「食物アレルギー」が同じメカニズムから起きる考えるのが自然でしょう。というか、そう思わない人はどうかしていると…

発達障害児におけるアレルギー疾患発症リスク

以下の論文でも特別支援クラスに在籍している児童は、そうでない子どもたちと比較して有意にアレルギー疾患を発症してると指摘しています。

発達障害とアレルギー疾患を併せもつ子どもの問題と親の疾患管理、負担や対処に関するスコーピングレビュー 藤巻 知美, 荒木 暁子, 他 2024 年 33 巻 p. 70-78

(前略)全国の特別支援学校に在籍する生徒のアレルギー疾患有病率を小中高等学校と比較すると、気管支喘息・アトピー性皮膚炎は1.1倍、アレルギー性鼻炎は1.2倍、食物アレルギーは1.7倍と報告されている。

3歳までにアレルギー疾患と診断された子どもが注意欠陥多動性障害(以下、ADHA)および自閉スペクトラム症(以下、ASD)を発症するか10年間追跡調査をした結果では、ADHAの発症リスクは1.97倍およびASDは3.4倍であると報告されている。(中略)

発達障害とアレルギー疾患を併せもつ原因については(中略)メカニズムの解明や因果関係を特定することには至っておらずいまだ不明のままである。(以下略)

3歳までにアレルギー疾患を発症した子どもの調査では、注意欠陥多動性障害発症リスクは1.97倍自閉スペクトラム症発症リスクは3.4倍と報告されている。また、喘息やアトピー、鼻炎などアレルギー疾患の有病率も高い。

以上のことから、誰が考えても「アレルギー発症と発達障害は深く関わりがある」と思われることでしょう。そして、そこには必須脂肪酸(オメガ6とオメガ3)の働きがあります。

子どもの発達とオメガ3

発達障害やアレルギー疾患の子どもに近視が多い。それも、小学校に入る前に近視になっているケースがほとんどで、強度近視の割合も高い。そう、私は指摘してきましたが、あらためて確認してみると専門家たちは以前からこの事実に氣づいていたようです。

 

知的発達障害児の屈折異常の特徴と早期対応 佐島 毅 1999 年 37 巻 1 号 p. 59-66

(前略)知的発達障害児は 、様々な眼科的な疾患や視覚機能の問題をともなう率の高いことが指摘されている(Aitchison,Easty ,& Jancar,1990 ; Ellis,1979 ;Evenhuis,1995 )。

 

小児の発達障害の評価と支援に視能訓練士と言語聴覚士の連携が必要であった症例 星原 徳子, 岡 真由美,他 2013 年 42 巻 p. 59-65

(前略)発達障害は視力、両眼視、眼位・眼球運動におよぶ様々な視機能障害を伴うことが多く(以下略)

こういった事実とともに、私は先日の記事「RFKジュニア『種子油(植物油・サラダ油)は最も不健康なもののひとつです!』」で紹介した「和牛に盲目が多い」ことを結び付けて考えてください。

「霜降り肉」の牛 盲目になることも 味と飼い方 揺れる農家

DHAは神経の発達に良い影響を与える!

妊娠中や授乳中のDHA内服は、子どもの神経の発達を良くする働きがあります。DHAは脳や目に豊富に取り込まれますが、お母さんのDHA内服は子どもの視神経精神発達知能の発達に良い影響を与えます。

 

n-3系多価不飽和脂肪酸の小児における有用性 清水 俊明 2012 年 21 巻 2 号 p. 217-229

4.子どもの発達における有用性

妊婦や出産後の授乳婦に魚油に豊富に含まれるDHAを投与することで、出生した児のその後の発達が促進されるという報告が最近認められるようになっている。

妊娠 20 週から分娩まで魚油(DHA 2200mg、EPA 1100mg/日)を内服すると、母乳中(3日、6 週)および児の赤血球膜中(12 か月)の DHA、EPA 値が有意に増加するという報告や、妊娠 15 週から分娩まで DHA(200mg/日)を内服すると、出生時の児の赤血球膜 DHA 濃度と生後 50 および 66 週時の児の VEP(視覚誘発電位図)の潜時とに負の相関を認めたという報告がある。

これらの結果は、妊婦への魚油あるいは DHA 投与は児の組織中 DHA を増加させ、視神経の発達に良い影響をもたらしていることを示している

また、妊娠 18 週から産後 3 か月まで魚油(DHA 1183mg、EPA 803mg/日)を内服し母乳を与え、4 歳になった児の精神発達を K-ABC スコアで比較すると、対照に比して有意にスコアが高く、妊娠中および授乳中に母親が魚油を摂ったことで、子どもの 4 歳での知能の発達が良かったという結果も示されている。(中略)

母体への DHA および EPA の投与は、我が国においても 18 か月時の運動・行動情緒面の発達に良い影響を及ぼす可能性が考えた。

この事実を発達障害の子どもたちと並べて考えてみましょう。

 

・DHAは子どもの視神経の発達に良い影響を与える:発達障害児に視覚異常が多い

・DHAは精神発達・情緒面に良い影響を与える:発達障害児に情緒面の問題が多い

・DHAは知能の発達を促す:発達障害児に学力の問題が生じるケースが多い

 

誰がどう見ても「必須脂肪酸と発達障害は関連する」と想像すると思いませんか?

アレルギーと必須脂肪酸の関係!

ご覧の通り、すでに30年以上前から必須脂肪酸とアレルギーの関係は研究されていました。

 

アトピー性皮膚炎に対するα-リノレン酸強化食療法の効果について 6例の外来通院児によるパイロットスタディー 伊藤 浩明, 菊池 哲, 他 1992 年 6 巻 3 号 p. 87-91

要旨

アレルギー疾患の食事療法のひとつとして、アラキドン酸カスケード由来のケミカルメディエーター産生抑制を目的として、n-6系列多価不飽和脂肪酸(リノール酸、アラキドン酸)摂取を減らし、n-3系列多価不飽和脂肪酸(α-リノレン酸、イコサペンタエン酸)を積極的に摂取させる「α-リノレン酸強化食療法」を、6名のアトピー性皮膚炎患児に施行した。

124±40.4日間の指導により、3例がアトピー性皮膚炎の改善傾向を示し、他の1例も指導を継続することで改善傾向を示した。

血清リン脂質っちゅうの脂肪酸組成で、n-3/n-6比、イコサペンタエン酸/アラキドン酸比が有意に上昇した(p<0.01)。それに伴い、ザイモザンと新鮮自己血清刺激による末梢血多核白血球からのLeukotriene C4放出が有意に減少した(p<0.05)

以上の結果から、日常の食生活の中で施行できる「α-リノレン酸強化食療法」は、アレルギー疾患の食事療法の基盤として有益である可能性が示唆された。(中略)

LA(リノール酸)は、AA(アラキドン酸)を経てLTC₄、D₄、E₄およびLTB₄に代謝される。(中略)

食事指導の概略は、以下のように行った。

1.家庭での調理にはエゴマ油を用いること。

2.スナック菓子や獣肉類の摂取を控えること。

3.EPAやDHAの含有量の多い鰯(イワシ)などの魚をよく食べること。

4.学校給食の制限や特定の食物の除去はしなくてよい

(中略)

症状の改善がみられた原因として、「しそ油」の使用によって結果的に「大豆油」の摂取が制限されたこと、あるいは油料理を減らしたために、過酸化脂質など酸化油の摂取が減少したことが影響している可能性は否定できない。

事実、ふだん食事指導を受けている患者が、スナック菓子などを食べて急に湿疹の増加をきたすことはしばしば経験されるが、(以下略)

 

残念なのは、この研究では「学校給食」を食べた上で行われたことです。学校給食は、とくに「給食センター」で作られたものを食べていたらアトピーが治ることなどあり得ません。

それでも、しそ油(えごま油)と魚食+サラダ油の排除でアトピーの症状はそれなりに改善がみられたようです。給食食べなければさらに改善のスピードは上がったことでしょう。

 

アレルギー疾患を有する学生の食事脂肪酸摂取状況と血清および赤血球膜脂肪酸構成  仲野 裕美, 住野 公昭 2007 年 54 巻 3 号 p. 145-155

(前略)鳥獣肉類、油脂食品、および乳製品の摂取増加と野菜および魚類の摂取不足により、n-6 PUFA であるリノール酸や、アラキドン酸の摂取増加と n-3 PUFAである α-リノレン酸、EPA および DHA の摂取不足が生じ、これが生体内の脂肪酸組成やエイコサノイドの代謝に影響して、身体のアレルギーに対する反応性の亢進につながっているという考えである。(中略)

 

発達障害児のいる家庭の食事はどんなものなのか?上記の論文にあるように、魚離れで肉ばかり、それもサラダ油を使った肉料理中心で、揚げ物も多く、冷凍食品や菓子類を含めた加工食品、お惣菜を食べることも多々あるのではないでしょうか?

そんな食事が「身体のアレルギーに対する反応性の亢進につながる」ことは明らかでしょう。

まとめ

発達障害アレルギー発症には同じメカニズムが働いている。この事実がお分かりになったと思います。また、「不登校も起立性調節障害も生活習慣病! – 体とこころを蝕んだ食生活の変化とは…?」でも同じ指摘をしています。つまり…

発達障害とアレルギー、不登校、起立性調節障害の原因は〝すべて″同じです。

間違った食生活で体内が慢性炎症状態となり、その病状が人により違った形で表出しているにすぎません。それをグルーピングしたのが「病名」という記号であり、私から言わせればそれは「洗脳装置」です。

付け加えるなら、不登校の子どもにはおとなしい子もいる一方で、暴言や暴力がひどい家庭内暴力の子どももいます。が、以下の電子書籍で紹介した対処でこれも治ってしまいます。

「30日で朝「スッキリ目覚める」体質にする方法!: もう、起立性調節障害で悩む必要はありません。」

また、お子さんのためにご家庭の食生活が変わると、ご両親や兄弟姉妹も大きく変わることができます。ご家族の人生が大きく変わりますよ!ぜひ、〝きっちり″10日間チャレンジを続けてください。

最後に、必須脂肪酸とアレルギーに関する論文を追加でご紹介しておきます。なお、コーン油はサラダ油の一種だとお考えください。

 

n-3系多価不飽和脂肪酸の小児における有用性 清水 俊明 2012 年 21 巻 2 号 p. 217-229

食餌の脂肪酸組成によって 5 つのグループに分け、脂肪分を大豆からとった通常飼科、エゴマ、ラード、コーンを原料として調製した特殊飼料、およびコーン油を原料としてその脂肪量を l/8 に減した低脂肪飼料で飼育し実験に用いた。

なおエゴマ油は α-リノレン酸を 54.9%、コーン油はリノール酸を 47.7%、ラードはオレイン酸を 42.0%含有していた。

結果では、コントロ一ル群に比ベアレルギーを起こした通常飼料群では、絨毛の萎縮および陰窩の過形成が認められた。

また、アレルギー反応を起こさせた群の間でも、通常飼料群に比しエゴマで飼育した群では絨毛の萎縮が軽度に留まるのに対し、ラードおよびコーンで飼育した群では絨毛の萎縮がより著明であった。

また、低脂肪群コーン群を比較すると、低脂肪群において絨毛の萎縮は軽度に留まっていた。

これらの変化を、絨毛の高さと陰窩の深さの比(villous height/crypt depth 比 V/C 比)で表
すと、粘膜障害が強い場合に V/C 比は小さくなる

V/C 比でみるとコントロール群に比し通常飼料群では粘膜障害を認め、エゴマ群では障害の程度が軽減し、ラード、コーン群では、粘膜障害がより著明になっていた。なお、低脂肪群においては、コーン群と比べ V/C 比は大きくなっていたが、有意差は認められなかった。

赤血球膜の脂肪酸値は、n-3 PUFA は粘膜障害が軽度であったエゴマ群では、α-リノレン酸と EPA の増加を認めた。他方粘膜障害の強かったラード、コーン群においては、特に α-リノレン酸および EPA 値が他の群に比し著明に低下していた。

n-6 PUFA は通常飼料を投与しアレルギーを起した群と、コントロール群の間の比較で差は認められなかった。

しかし粘膜障害が軽度に留まったエゴマ群では、リノール酸、アラキドン酸値が減少し、逆に粘膜障害が増強したラード群、コーン群ではエゴマ群に比しアラキドン酸値が高値であった。なお、低脂肪群においては、コーン群と比べリノール酸およびアラキドン酸値が低下していた。

通常飼料群に比しn-6/n-3 比はコーン群でもっとも高く、低脂肪群とラード群は同程度に上昇していたが、エゴマ群は有意に低値であった。

同様にアラキドン酸/EPA 比もコーン群でもっとも高く、低脂肪群、ラード群の順で高かった。しかしエゴマ群では有意に通常飼料群に比し低値であった。コーン群と低脂肪群の比較では、n-6/n-3 とアラキドン酸/EPA のいずれの比も低脂肪群が低かった。(中略)

小腸粘膜障害が軽度であったエゴマを主原料とした飼料で飼育したマウスでは、その赤血球膜中の n-6 PUFA のリノール酸およびアラキドン酸値の低下n-3 PUFA の α-リノレン酸と EPA の増加を認めた。(中略)

より著明な小腸粘膜障害を認めたラード、コーンを主原料とした飼料で飼育したマウスではエゴマ群に比しアラキドン酸の増加α-リノレン酸、EPA の低下が起こったため、エゴマ群とは逆に n-6/n-3 とアラキドン酸/EPA 比の著増が起こった。

これらの結果から、粘膜障害を増悪させる因子として n-6 PUFA、特にアラキドン酸が、また抑制する因子として n-3PUFA、特に α-リノレン酸と EPA が関与している可能性が示唆された。(中略)

N-3 PUFA の投与がアラキドン酸由来のエイコサノイドの産生を抑制することにより、アレルギー性疾患の治療に効果を示すことが知られている。(中略)