RFKジュニア「種子油(植物油・サラダ油)は最も不健康なもののひとつです!」

第64代司法長官ロバート・ケネディの息子。ロバート・フランシス・ケネディ・ジュニアは、「サラダ油(種子油)は最も不健康なもののひとつ」「体全体の炎症を含む…」とテレビ番組で発言しました。

種子油とは大豆やトウモロコシなど種を搾って得た油です。それがなぜ不健康なのか?まずは和牛の現実から確認していきましょう。

「盲目の牛」や「歩けない牛」

高級牛肉とされる和牛。その肉質に対する評価のひとつにサシ(霜降り:赤身の間にある脂肪)があしますが、そうなるように飼育されると「目が見えない」とか「歩けない(関節炎で体重を支えることができない)」牛が一定割合で存在することをご存じでしょうか?

「霜降り肉」の牛 盲目になることも 味と飼い方 揺れる農家

その牛は、額の先で手を振っても反応がなかった。
黒目は焦点が定まっていない。ほかの牛と体をぶつけることも多い。

「盲目の牛です」。ステーキなどの高級食材になる和牛を飼う県中部の 50 代の男性農家が打ち明けた。

「おいしい肉にしようとすれば、こうした牛が出てしまう」と男性。飼育中の約130 頭のうち、1 頭が完全に目が見えず、10 頭弱は視力低下が進んでいるこうした牛も人体への影響はまったくないとされ、普通に出荷される。

盲目になるのは、肉に「サシ」と呼ばれる白い脂肪分を入れようとして、牛の栄養が偏ってしまうことが原因だ。

和牛の価格は、サシの入り具合で決まる。多くの農家の目標は、高値で取引される細かなサシが入った「霜降り」の牛を育てることだ。そのため、農家は生後約 1年半から数カ月間、ビタミンを多く含む牧草などの餌を抑え穀物が中心の飼料で太らせる。

これがサシを入れるために欠かせない技術とされる。「霜降り」という日本の食文化を支える生産者の知恵だ。

しかし、ビタミンは、視力維持に必要な成分。欠乏がひどくなると盲目になりやすい。足の関節が腫れて歩行に障害が出る場合もある。農家は症状が出ないぎりぎりのラインを模索しながら給餌する。しかし、一部がこうした牛になる危険性は残る。(以下略)

文中で和牛は「穀物」中心の飼料を餌として与えられていることをご確認の上、この記事で重要なポイントはふたつ指摘します。

ひとつは、牛は本来の「牧草」を食べますが、「穀物」は食べません。もうひとつは、「眼が悪くなること」と「足の関節が腫れる」本当の原因ビタミン不足ではありません真の原因は牛が「穀物」を食べさせられているからです。

繰り返しますが、目が悪いことと関節が腫れること。このどちらも主因は「穀物食」にあります。また、この穀物食がRFKジュニアが「サラダ油が不健康」と話したことと同じ意味をもちます。

牛肉のサシは何から作られる?

牛本来の食べ物は牧草。ですが、和牛は穀物中心の餌を食べさせられている。まずは、この差がサシの量に繋がることを以下の論文で確認してください。

和牛の代謝プログラミングと 肉質制御 その1 後藤 貴文 2016 年 2016 巻 737-Oct. 号 p. 2-5

生産には、1頭当たり4-5トンの穀物飼料を必要とし、その90%以上を海外から輸入している。(中略)

ウシは本来、家畜としてヒトが消化できない植物中の粗い繊維質(繊維性の高い通常の動物では消化できない植物多糖資源)を、第一胃(ルーメン)の中に共生している微生物の力を借りて消化し、ルーメン発酵からエネルギーを産生して、タンパク質源としての食肉を生産し、それをヒトに供給するという重要な物資循環機能を担った反芻家畜(草食動物)である。(中略)

和牛を全く乾草のみで26カ月間肥育した場合に、さすがの和牛でもロース内の脂肪含量割合は約6%であった。(以下略)

グラスフェッド牛とグレインフェッド牛

グラスフェッド牛とは牧草で育てられた牛。一方のグレインフェッド牛とは穀物中心で育てられた牛です。以下の論文の通り、食べた物で脂肪中に含まれる脂肪酸の種類が大きく変わります。

和牛肉における脂肪質と食味性の関係 その1 入江 正和 2022 年 2022 巻 802-Mar. 号 p. 2-8

脂肪の質は、動物種、飼料、品種、性、年齢といった諸要因で変化し、同時に肉の食味性も変化する。グラスフェッド牛では脂肪にリノレン酸が、グレインフェッド牛の脂肪ではリノール酸やオレイン酸などが多くなる。(中略)

欧米では以前から健康との関連から脂肪酸が重視され、特にオレイン酸やω3系等の不飽和脂肪酸を増やす食肉生産の研究がなされてきた。また脂肪酸は酸化反応を通じて肉の保存性にも影響する。

特に和牛は脂肪交雑が高いだけでなく、後述するように、脂肪質でもオレイン酸などの一価不飽和脂肪含量が高く、融点が低いといった優れた特長がある。

一般的に牛脂は飽和脂肪酸含量が高く、融点が高くなって冷食には向かない。冷えるとロウを食べるようなまずい食感となるためである。そのため弁当業界ではハンバーグには牛肉を用いず豚肉を使うのが一般的でさえある。

しかし、和牛肉は例外とされ、冷食のすしネタにも使われる。和牛肉の脂肪は融点が低く、食べると口中で溶け、食感がよい。(中略)

ここで以下の点について再確認してください。

・グラスフェッド牛:脂肪にリノレン酸(α-リノレン酸)が多い

・グレインフェッド牛:リノール酸やオレイン酸が多い

・欧米では健康の関連からオレイン酸やリノレン酸(α-リノレン酸を増やす研究がされてきた

さらに追加するポイントとして、「リノール酸が増えすぎると家畜に限らず体内が慢性炎症状態となる」こと。冒頭でRFKジュニアが「種子油が体全体の炎症を…」と発言した点も頭に入れた上で牧草で育った牛と和牛の脂肪酸組成を確認していきましょう。

飼料は牛の脂肪酸組成にどんな影響を与えているのか?

体内の脂肪酸組成は食べた物の脂肪酸種の影響を受けます。また、以下の論文で確認できますが、性や飼養条件、品種などの影響も受けます。その結果、先のように牧草を食べた牛にα-リノレン酸が多い一方で、穀物を食べた牛にリノール酸やオレイン酸が増えることになります。

では、具体的にどの程度の影響があるのか?確認していきましょう。

黒毛和牛の優れた風味とそれをもたらす遺伝子の解明 佐久間 弘典, 小林 栄治 2011 年 42 巻 4 号 p. 276-284

(前略)脂肪酸組成は、性、飼養条件、月齢等の影響や、品種や種雄牛等の要因にも影響を受けることが知られており、特に黒毛和種はホルスタイン種等の多品種に比べてC18:1やMUFAの割合が高い傾向にあることが報告されている。

今回の分析においても、黒毛和種牛肉は濃厚飼料多給による肥育に対し、輸入牛肉は外国種の交雑種であり、かつ、牧草のみの給与であることから、C18:1やMUFA等で差が生じたものと考えられる。

この結果でリノール酸やα-リノレン酸と比較して、圧倒的に大きな数値はオレイン酸です。が、問題となるのはリノール酸とα-リノレン酸の量と比率です。なぜなら…

オメガ6(リノール酸):炎症を促す、血を固める、アレルギー促進

オメガ3(α-リノレン酸):炎症を鎮める、血液サラサラ、アレルギー抑制

リノール酸やα-リノレン酸には上記のような生理活性作用があるからです。また、オレイン酸が体内で合成できるのに対し、これらふたつは合成できません。そのため、必ず食事から摂らなければいけません。したがって、これらふたつの体内量は食事内容に依存することになります。

穀物と葉野菜の脂肪酸組成

牧草の脂肪酸組成はわかりませんが、葉野菜の代表種であるシュンギクとチンゲンサイ、シュンギクが以下の通りなので同じような数値だと思われます。

赤いのがリノール酸、青の部分がα-リノレン酸です。葉野菜は圧倒的にα-リノレン酸が豊富です。が、牧草を食べた牛でも、α-リノレン酸の量は0.6とごくわずかであることを確認してください。

次に飼料で利用される穀物の代表格である大豆とトウモロコシの脂肪酸組成です。

ご覧のように穀物はリノール酸が豊富である一方で、α-リノレン酸の量はとても少なくなります。その結果、和牛にα-リノレン酸は0.1となります。

盲目と関節炎

オメガ6(リノール酸):炎症を促す、血を固める、アレルギー促進

オメガ3(α-リノレン酸):炎症を鎮める、血液サラサラ、アレルギー抑制

このふたつの生理活性作用で牛が関節炎になる原因を想像してみましょう。

先のように和牛中のα-リノレン酸は0.1とごくわずかです。一方で、リノール酸はその23倍。そのため、炎症が促される一方で、炎症を鎮めることができません。あの、重い体重を支える関節でそんな反応が慢性的に起きたのなら、関節炎にならない方が不思議ではないでしょうか?

網膜や視神経にはDHAが豊富

人間に限らず、牛や豚、犬、猫、カエルに至るまで各組織の脂肪酸組成は類似しています。なかでも、目の網膜や視神経にはDHAがとても豊富です。また、網膜はDHAが不足するとその形と機能を維持することができません。

このDHAは人間は魚食で摂ることができますが、牛は体内に入ったα-リノレン酸が合成されることでその量を補っています。したがって、穀類食の牛は十分な量のDHAを確保できません

繰り返しますが、網膜はDHAがあってこそその形と機能を確保できます。ならば、DHAが不足すればその機能を失うのは自然なことでしょう。そして、これが盲目の和牛の原因です。

オメガ6とオメガ3の体内吸収量は?

実は、リノール酸はα-リノレン酸より優先されて体内に取り込まれます。その証拠に、α-リノレン酸が豊富な牧草を食べた牛(輸入牛肉)でも、以下のようにリノール酸が2.3に対しα-リノレン酸は0.6となります。

同じことは豚でも確認できます。

 

豚の脂肪組織と筋肉における脂肪酸組成に及ぼすエゴマ種実の影響 山田 未知, 網中 潤, 山田 幸二 2001 年 38 巻 1 号 p. 25-30

本研究には体重約30~70kgまで, 新豚産肉能力検定飼料マッシュ(北日本くみあい飼料株式会社製粗タンパク質14.5%以上, 粗脂肪2.0%以上) にて飼養した三元交雑豚去勢19頭を用いた。

そのうち, 9頭を新豚産肉能力検定飼料のみを給与した対照区 (C区), 10頭を新豚産肉能力検定飼料100kgエゴマ種実粉末3kg添加した飼料を給与した試験区 (T区) に分け, 2~3頭群飼で体重70kgから105kg以上まで飼料および水の自由摂取で肥育 した。

 

エゴマはオメガ3が豊富で、脂質中にα-リノレン酸を6割以上含みます。そして、このエゴマが普通飼料に3%の割合で添加した飼料を豚に食べさせた結果…

リノール酸とα-リノレン酸はそれぞれ左が飼料中、右に筋肉内の量です。ポイントはリノール酸が普通飼料52がエゴマ添加40.5と約8割に減らしたのに筋肉中は前者7.4、後者7.3とほとんど変わっていません。

一方で、α-リノレン酸は普通飼料2.2がエゴマ添加飼料23.3と10倍以上に増えているに、筋肉中は前者が0.7、後者が1.9に増えたにすぎません

その理由は、人間も含め、動物の体はオメガ6(リノール酸)を優先して取り込む酵素が存在するからです。そして、これも重要なポイントですが、この酵素の働きはオメガ6とオメガ3ともに拮抗して働くことです。つまり、この酵素が必須脂肪酸を取り込むのに働きますが、その時にオメガ6を優先して取り込むわけです。

まとめ

オメガ6(リノール酸):炎症を促す、血を固める、アレルギー促進

オメガ3(α-リノレン酸):炎症を鎮める、血液サラサラ、アレルギー抑制

体内で上記のような生理活性作用を示すため、必須脂肪酸(オメガ6とオメガ3)は必ず食事から摂らなければいけません。例えば、ケガをしたらオメガ6が血を固めて出血を防ぎます。また、異物が侵入したらオメガ6がアレルギーを促進し、異物の排除を促します。

問題はオメガ6が過剰になると、血を固める働きもまた過剰になり血栓ができやすくなります。これが脳梗塞や心筋梗塞に繋がることは容易に想像できるでしょう。また、アレルギー促進の働きが過剰になっているからこそ、国民の半数以上がアレルギー疾患を発症しています。

したがって、オメガ6とオメガ3は摂取比率が重要であり、日本脂質学会はオメガ6:オメガ3=2:1という摂取比率が理想的と発表しています。

では、再度今回ご紹介したデータを確認しましょう。

輸入牛肉は牧草を食べていますが、体内に取り込まれたオメガ6:オメガ3は3.83となります。また、以下は普通飼料とエゴマ添加飼料を食べた豚のデータですが、エゴマ添加飼料を食べた豚のオメガ6:オメガ3=7.3:1.9と、比率は3.84こちらも牧草牛と同じレベルです。

さらに繰り返しますが、日本脂質学会が理想とするオメガ6/オメガ3はである。また、私たちの体がオメガ6を優先して取り込む酵素が存在している。以上のことから、まずはオメガ6の過剰摂取源である植物油の使用を禁止する必要があることがわかります。

また、サラダ油に限らす、植物油脂やマーガリン、ショートニングなどが入った加工食品を一切摂取しないこと。これが「はじめの一歩」であり、これ無しに私たちの「こころ」と「からだ」の健康を維持することは不可能である。これが今回の結論です。


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