先天性眼振症とめまい、起立性調節障害(OD)から想像できる視覚異常の原因とは?

私が「起立性調節障害(OD)」という病名を知ったのは、おおよそ5年ほど前2015年のちょうどこの時期だったと思います。いつも言っていますが、私は「病名」を診ません。観るのは不調を訴える「その人」です。そのため、病名にはあまり興味がありません。

ですが、起立性調節障害(OD)と診断された方々から相談をいただくようになり、当時は「どんな病気かな?」と「起立性調節障害(OD)」という病名をインターネットで検索してみました。すると、多数のHPで次のような指摘がありました。

・たちくらみや失神、朝起きられない、倦怠感、頭痛などの症状を伴う、思春期に好発する自律神経機能不全

10~16歳の思春期に好発

・約半数に遺伝的傾向(素因)を認める

・軽症は適切な治療で2~3ヶ月で改善する

こんな記述があり、私も「子どもの病気?」と信じていました。その一方で、「約半数に遺伝傾向を認める」という記述がありましたので、「おそらくこれは生活習慣病だな!」と、すぐに直感しました。と言うのも…

私の記憶では小学生はもちろん、中学や高校でも「朝起きられなくて遅刻!」とか「起きられないので欠席!」という同級生の記憶がなかったからです。また、妻や50代のスタッフにもそういった同級生はいませんでした。もし、遺伝的な傾向なら、きっと私や妻、スタッフにも起立性調節障害の同級生がひとりくらいはいたでしょうから…。

ところで、ある出版社より著書「30日で朝『スッキリ目覚める』体質にする方法!」の商業出版のオファーをいただいたので起立性調節障害(OD)の論文を今頃読み漁っていますが、1998年の論文で意外な記述を見つけました。

※ 2月25日に出版社と面談があります。出版が決まりましたら電子書籍の価格が値上げされますので、起立性調節障害でお悩みの方は今のうちにお買い求めいただきお役立てください。

起立性調節障害で苦しむ大人も1990年代に多数いたらしい…

起立性調節障害(OD)と診断された方から聞いた話では、医師やスクールカウンセラーから「大人になれば治る!」と言われていたようです。ですが、以下のように1990年代から大人の起立性調節障害(OD)の患者が多数いたようです。

めまい外来における起立性調節障害と起立試験の検討

1998年に発表された論文を引用します。

目的:起立性調節障害(Orthostatic Dysregulation、以下ODと略す)のめまい外来での実体について報告する。

対 象 と方法:初診時にODの診噺基準によりODと判定された男性53例、 女性134例、平均年齢、男性44.7歳、女性45.7歳に起立試験を施行した

結果:1.疾 患では、原因 不明 の眩暈症 が67例(35.8%)と最も多く、続いて、メニエール病33例(17.6%)、 中枢性 眩暈症24例(12.8%)、低血圧15例(8.0%)の順 で あった。2.起 立試験 の陽性率 は、 全体で51.9%(男 性50.9%、 女性52.2%)、 脈圧狭小化は、33.2%(男性28 .3%、 女性35.1%)、 収縮期血圧低下 は、14.4%(男 性15.1%、 女性14.2%)、 脈拍数増茄は、25.1%(男 性26.4%、 女性24.6%)で あった。

結論:今回 の結果より、めまい外来を訪れる患者で、ODに 該 当する者は、その背景に自律神経系の影響が大きく関与しているものと思われた.

野沢 出, 徳山 豊, 水越 昭仁, 菊島 一仁, 今村 俊一, 岡本 美孝「めまい外来における起立性調節障害と起立試験の検討」日本耳鼻咽喉科学会会報 1998 年 101 巻 4 号 p. 521b より引用

1990年代から大人でも起立性調節障害(OD)で苦しむ人が多数いた。

著書でも指摘していますが、都心では当時からコンビニがありましたし、持ち帰り弁当が大人気だったと記憶しています。遺伝的傾向(素因)より、そういった食習慣で親子そろって「朝起きられない!」ようになっていたんでしょうね。

先天性眼振症のめまいの検討

こちらの論文は1987年に発表されたものです。「先天性眼振症のめまいの検討」とありますが、以下のように約3割の人が起立性調節障害(OD)です。

 

・最近12年間に岐阜大学耳鼻咽喉科を受診した先天性眼振症64名 中31名がめまいを訴えていた。 さらに、この中で,問 診,起 立試験にて,起 立性調節障害を16名認めている。

・昭和55年1月 より昭和62年3月5日までに来科した先天性眼振症は32名である。その中で,め まいを訴えた症例は18名であった。18名中起立性調節障害に関する問診と起立試験を行い得た15名を検討の対象 とした

対象とした15名を表1に示した。初診時の年齢 は,10歳未満1名,10歳 代1名,20歳 代1名,30歳 代8名,40歳代3名,50歳 以上1名であった。

平松 隆, 時田 喬, 水田 啓介, 小泉 光, 柳田 三洋子「先天性眼振症のめまいの検討」1987 年 46 巻 4 号 p. 336-342

 

ご覧のように、起立性調節障害(OD)の人を対象としていますが、そのほとんどが大人です。また、重要なのはこの人たちが「眼振」を訴えていることです。また、以下のように多くの方が近視です。(平松 隆, 時田 喬, 水田 啓介, 小泉 光, 柳田 三洋子「先天性眼振症のめまいの検討」1987 年 46 巻 4 号 p. 336-342 より引用)著書「30日で朝『スッキリ目覚める』体質にする方法!」で指摘していますが、起立性調節障害(OD)では脳が浮腫んでいます。また、直接関わることではありませんが、多くの患者は「朝の顔の腫れ!」や「目元がポッテリ」、「子どもの頃より目が小さくなった」という訴えがあります。顔や目元が浮腫んでいるわけですから、脳が浮腫んでいるというのも想像に難くないと思います。ならば…

目が浮腫んでいても何も不思議なことではありません。(たぶん)

まとめ

「たぶん」で終わらせてしまいましたが(笑)、残念ながら現時点で目の大きさを測る術を私がもっていないからです。ですが、次のような事実が多数あったことをご紹介しておきます。

私がいただいてきた起立性調節障害(OD)の相談では、上記のイラストのように目が顔から飛び出ている感じの子どもが多々いました。が…

起立性調節障害(OD)が改善するにしたがって、目は引っ込みました。普通の人と同じような位置に目が収まったわけです。この事実から、私は目が出ている人の多くは眼球の浮腫みであると疑っています。また、疑っているというのは、私が眼球を調べる術をもっていないからです。

 

・脳が浮腫んでいる

・顔が腫れている(とくに朝)

・目元が腫れぼったい(とくに朝)

 

朝、腫れていた顔や目元も、夕方にもなればなくなっている。また、同じように朝はボーっとしていたのに、夕方にもなればウソのように元気になる。この事実が「脳の浮腫み」と考えると次のように説明できます。

朝は脳が浮腫んでおり、脳が働けなくなっていた。また、先ほどの論文「先天性眼振症のめまいの検討」では眼振症とありましたが、脳や目が浮腫めば人により目が振るえる症状が出ても何も不思議なことではありません。

さらに、先天性眼振症とありますが、先のように患者のほとんどは30歳以上の大人です。もし、先天性なら、もっと子どもの患者が多いのではないでしょうか?

起立性調節障害(OD)は脳が浮腫んでいることが原因である。

ぜひ、著書「30日で朝『スッキリ目覚める』体質にする方法!」でご確認の上、一日もはやい問題解決をお祈りしております。