ポリフェノールの健康効果は抗酸化作用だけではなかった! – 勉強不足でした…( ;∀;)
「目の健康にアントシアニン(ブルーベリーや赤ワインなど)」
「血圧降下や動脈硬化予防にカカオポリフェノール」
など、ポリフェノールにさまざまな健康効果があるのはご存じのことでしょう。
そんなポリフェノールですが、私も一昨日まで「ポリフェノールの健康効果はその抗酸化作用によるものだ!」、そう思い込んでいました。
が、「腸内細菌叢を介したポリフェノールの脂質代謝調節機構 升本 早枝子 2026年 26 巻 5 号 203-208」で知りました。
ポリフェノールを摂れば摂るほど、短鎖脂肪酸(SCFAs )の生成量を増やすことができますのでご紹介します。
短鎖脂肪酸(SCFAs )とは?
まず、短鎖脂肪酸について簡単に説明します。
短鎖脂肪酸とは、大腸内の腸内細菌が「水溶性食物繊維」や「オリゴ糖」をエサにして発酵・分解する過程で作り出す代謝物質(酢酸、酪酸、プロピオン酸など)の総称。その働きは…
主な働きと健康効果
・腸内環境の改善: 腸内を弱酸性に保ち、悪玉菌の繁殖を抑える
・バリア機能の強化: 腸の粘膜を保護し、免疫力を高める
・太りにくい体質: 脂肪の蓄積を防ぎ、エネルギー代謝をサポート
・食欲のコントロール: 満腹感を促し、食べ過ぎを予防
そして、短鎖脂肪酸の産生量が増えると制御性T細胞が増えます。
制御性T細胞とは? – その働きも簡単に…
制御性T細胞(Treg)は、免疫反応のブレーキ役として働く白血球のひとつです。また、制御性T細胞は細菌など外敵から体を守る白血球たちの働きを〝なだめる″指揮官のような働きをします。
細菌などの外敵を排除した後に免疫の暴走を抑え、自身の正常な細胞や組織を攻撃しないようにする「免疫寛容」に不可欠な役割を担います。
・自己免疫疾患の予防: 免疫が自身の体を誤って攻撃するのを防ぎ、関節リウマチや1型糖尿病などを抑制
・アレルギーの緩和: 花粉症などの過剰なアレルギー反応を鎮める働き
また、制御性T細胞は妊娠成立(受精卵の着床など妊娠維持に働く)の鍵を握る物質です。不妊でお悩みのご夫婦に、ぜひ知ってほしいですね。
なお、不妊や流産など、妊娠維持の働きを妨げる物質も存在します。また、現代の日本人の摂取量が減っているあの栄養素も短鎖脂肪酸の生成量を増やし、結果的に制御性T細胞も増えます。
不妊対策にはプラスの要素もありますが、マイナスの要素を排除することが重要です。詳しくは「本当の妊活!」をお役立てください。
ポリフェノールの効果は抗酸化作用だけではなかった…
さて、本題ですが、私を含めほとんどのヒトがポリフェノールが持つ抗酸化作用が健康効果を発揮すると思い込んでいらしたことでしょう。
ですが、これは私の勉強不足ですが、ポリフェノールの体内への吸収量は極めて少ないことを知りました。
ポリフェノール類は,脂質代謝異常の予防および改善に寄与する有力な食品成分として古くから注目を集めてきた。これまでの数多くの疫学研究や臨床介入研究により,果物,野菜,茶,カカオ,赤ワインなどのポリフェノール含有食品の継続的な摂取が,肥満,心血管疾患,2 型糖尿病などの発症リ
スクの低減と強く関連することが示されている 。
その作用機序として,従来はポリフェノール自身が有する抗酸化作用や抗炎症作用,あるいは消化管から吸収された後に血流に乗って肝臓や骨格筋などの各組織に到達し,AMP 活性化プロテインキナーゼ(AMPK)の活性化やステロール調節配列結合タンパク質 1c(SREBP-1c)の抑制などを介して直接的に脂質代謝を改善するメカニズムが中心に議論されてきた。
しかしながら,アントシアニン類やプロシアニジン類(カテキンやエピカテキンが重合したフラバン -3- オール重合体)のような高分子ポリフェノールは,小腸における吸収率が極めて低いことが知られている。
にもかかわらず,これら高分子ポリフェノールを摂取した動物モデルやヒト介入試験において,顕著な血中脂質の低下,肝臓への脂質蓄積抑制,抗炎症作用が観察されることが多い。
この「生体利用性(吸収性)が極めて低いにもかかわらず,強力な生理機能を発揮する」という矛盾した現象は「ポリフェノール・パラドックス」とも呼ばれ,生体利用性だけではその作用機序を説明することは困難であった。
・腸内細菌叢を介したポリフェノールの脂質代謝調節機構 升本 早枝子 2026年 26 巻 5 号 203-208 より引用
アントシアニン類が多く含まれる食材
ベリー類: ブルーベリー、ビルベリー、カシス、ブラックベリー
野菜・その他: 紫キャベツ、ナス、赤シソ、黒豆、紫いも
プロシアニジン類の主な摂取源
リンゴ: ポリフェノールの約6割を占めており、特に「青リンゴ」や「皮の部分」に多く含まる
ブドウ・ワイン: 赤ワインやブドウの種子エキスなどに高濃度に含まれてる
カカオ・チョコレート: 高カカオチョコレートに豊富
では、体内への吸収量が少ないのに、なぜポリフェノールの摂取がさまざまな健康効果をもたらすのでしょうか…?
ポリフェノールと腸内細菌叢の相互作用
なんと、体内に吸収できなかったポリフェノールは腸内細菌に代謝していました。また、ポリフェノールが届けば届くほど、腸内の有用菌が増え、それにより短鎖脂肪酸の生成量が増えるようです。
腸内細菌叢は食事,加齢,生活習慣,遺伝的背景,薬剤使用などの影響を受けて変動する動的な生態系であり,宿主の代謝恒常性の維持に重要な役割を果たしている。
とくに食事は,腸内細菌叢の構成と機能を大きく規定を左右する主要な環境因子である。
従来,腸内細菌叢を有利に変化させる食事因子としては,食物繊維や難消化性オリゴ糖などのプレバイオティクスが中心に考えられてきたが,近年では,生体利用性の低いポリフェノールも同様に腸内細菌叢の構成と代謝機能に影響を与えることが明らかとなっている。
プロシアニジン類はカテキンおよびエピカテキンが重合した高分子ポリフェノールであり,リンゴ,ブドウ,カカオなどに豊富に含まれる。これらは小腸での吸収率が極めて低いため,その多くは大腸に到達して腸内細菌と接触する。
著者らの高脂肪・高ショ糖食負荷マウスを用いた長期摂取試験では,プロシアニジン摂取により腸内細菌叢の構成変化が認められ,Bacteroidetes 門 の増加,Firmicutes/Bacteroidetes比の改善,Akkermansia 属の増殖に加え,Roseburia 属,Coprococcus 属,Ruminococcus 属,uribaculaceae 科など SCFAs 産生に関連する菌群の増加が観察されている。
一方で,腸内細菌はポリフェノールの受け手であるだけでなく,ポリフェノールを代謝する主体でもある。配糖体ポリフェノールは脱糖化を受け,さらに還元,脱水酸化,開環などの異化反応を経てフェノール酸やバレロラクトン類などの低分子代謝物へと変換される。
これらの代謝物は元の高分子ポリフェノールより吸収性が高く,宿主側で生理活性を担う可能性が高い。また,ポリフェノール摂取によって腸内細菌叢の構造が変化すると,SCFAs やトリプトファン代謝物,さらには胆汁酸代謝に関わる二次代謝も変わり得る。
したがって,ポリフェノールの作用は,直接作用と腸内細菌による代謝産物の作用が重層的に重なったものとして理解すべきである。
・腸内細菌叢を介したポリフェノールの脂質代謝調節機構 升本 早枝子 2026年 26 巻 5 号 203-208 より引用
SCFAs 産生と宿主脂質代謝調節
ポリフェノールの摂取量が増えれば腸内細菌叢の多様性(多様性が高いほど、環境変化やストレスに強い理想的な腸内環境を保てるとされ、免疫力の向上や全身の健康維持に深く関わる)も向上する。
健康効果が高いのも頷けますね。
ポリフェノール摂取による腸内細菌叢の変化は,菌種構成の変動そのものにとどまらず,菌叢全体の代謝機能に大きな影響を及ぼす。
その代表的な指標が SCFAs 産生である。
SCFAs は主として酢酸,プロピオン酸,酪酸からなり,大腸に到達した難消化性成分の発酵によっ
て生成される。SCFAs は,腸管上皮のエネルギー源とな る だ け で な く,G タ ン パ ク 質 共 役 受 容 体 で あ るGPR41(FFAR3)や GPR43(FFAR2)のリガンドとして働き,腸管ホルモン分泌促進や脂肪蓄積の抑制に寄与する。
従来,SCFAs の基質として主に食物繊維が想定されてきたが,近年ではポリフェノール摂取がSCFAs 産生菌の存在比や菌叢内相互作用を変えることで,結果的に SCFAs 産生を増強し得ることが報告されている。
我々が C57BL/6J マウスを用いて実施した12 ヶ月間の長期介入試験では,高脂肪高ショ糖食に
APC を添加した群において,体重増加および肝臓への過剰な脂質蓄積(肝肥大および脂肪滴形成)が著明に抑制された。
盲腸内容物の網羅的解析により,APC 群では Roseburia 属,Coprococcus 属,Oscillospira 属といった代表的な SCFA 産生菌の占有率が有意に増加しており,これに呼応して糞便中の酪酸,酢酸,プロピオン酸などの SCFA 濃度が増加した。
宿主側の受容体応答を検証すると,大腸および小腸において Gpr41 およびGpr43 の遺伝子発現が有意に上昇しており,腸管における SCFAs への感受性が高まっていることが示唆された。
すなわち,ポリフェノールの摂取は SCFAs 産生菌の増加,SCFA 産生量の増加,受容体の増加による感受性の向上を介して脂質代謝の亢進および脂肪蓄積抑制に寄与したと考えられた。
・腸内細菌叢を介したポリフェノールの脂質代謝調節機構 升本 早枝子 2026年 26 巻 5 号 203-208 より引用
まとめ
ヨーグルトは…
納豆は…
発酵食品は…
などなど、プラスで摂ることで謳われる健康効果は山のようにあります。
これはポリフェノールも同じです。
しかし、私が20年以上も10日間チャレンジをご紹介しているように、真の健康効果はマイナスから始めないと発揮できません。
ぜひ、本質的な食事改善をし、新しい地球で手を取り合って日本の復興に尽力していきましょう。
最後にポリフェノールの含有量が多い食材をご紹介します。
1.赤ワイン:食品100g中のポリフェノール 230mg
2.コーヒー:同200㎎
3.緑茶:同115㎎
5.トマト:同96㎎
6.ココア:同62㎎
7.ごぼう:同49㎎
8.ほうれん草:同42㎎
9ウーロン茶:同39㎎
10.豆乳:36㎎
続いてブロッコリーや大豆、ブドウ、麦茶
ポリフェノールは、植物が光合成を行う際に生成される色素や苦味・渋みの成分で、自然界に8,000種類以上存在しますので、とにかく野菜や果物をたっぷり食べましょう。でも、偏りすぎないでね。
・購入しても安心・安全な加工食品はこういった類のものです。今すぐ備蓄してください!
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