【重要】甘い物や油脂類(マヨネーズや揚げ物など)がやめられない人へ!

食物依存症。以下の記事では成人の14%が患っているとありますが、私は程度が軽い人を含めれば約8割の人が食物依存症だと想定しています。重症なのがその約2割の16%程度という話なのでしょうね。

「人々の命を奪う」食物依存症とは、私たちはなぜ糖と脂肪の多い食べ物に抗えないのか (転載元:NATIONAL GEOGRAPHIC

タバコなどと同レベルのドーパミンを放出、単なる気持ちの問題ではない

依存症というと、タバコやアルコールなどの薬物を思い浮かべる人が多いだろう。だがもう1つ、成人の14%、子どもの12%が患っている依存症がある。食物依存症だ。

脂肪と糖で私たちを誘惑するぜいたくな料理は、がまんできないほど魅力的に感じられる。長期休暇の時期などは特にそうだ。専門家によると、これは単なる気持ちの問題ではない。

食品に含まれる脂肪分と糖分を増やす傾向は半世紀前から続いていて、今では米国の成人が消費する食品の半分以上が「超加工食品(高度に加工された食品)」になってしまった。こうした食品は、体にある脂肪と糖のセンサーに働きかけ、ドーパミンを放出させるように最適化されていることが多い。すなわち、私たちの生物学的特性を利用して、もっと食べたいと思わせるように作られている

「アルコールやタバコなど同じように、私たちは、これらの食品が実際に人々の命を奪っていることに気づいていません。これらは避けられる死なのです」と、米ミシガン大学の心理学准教授アシュリー・ギアハート氏は説明する。氏は、「エール大学・食物依存症テスト(YFAS)」による食物依存症の最新の網羅的な「有病率」を医学誌「European Eating Disorders Review」に2022年3月に発表した1人だ。

専門家たちは食物依存症に関する私たちの思い込みを正し、食物依存症を抑制し、人々の命を救うために何ができるのかという新たな問いを投げかけている。

糖と脂肪とドーパミン

食品は私たちの脳に複雑な影響をたくさん及ぼしている。なかでも重要な作用の1つが、ドーパミンという神経伝達物質を放出させることだ。依存性薬物を摂取するときと同様、物を食べるとドーパミンが放出される。一般にドーパミンは快感を高めると思われているが、そうではなく、生存に有利になる行動(栄養価の高い物を食べる、繁殖するなど)を繰り返すよう促しているのだ。ドーパミンが大量に分泌されるほど、その行動を繰り返す可能性が高くなる

脂肪や糖を摂取すると、口の中のセンサーが線条体(運動や報酬行動に関連する脳の部位)にドーパミンを放出するようメッセージを送る。だが、米バージニア工科大学フレイリン生物医学研究所のアレクサンドラ・ディフェリシアントニオ助教によると、口内だけではなく、腸にも脂肪と糖を感知する第2のセンサーがあり、線条体にドーパミンを放出するよう脳に信号を送るという

脂肪と糖を多く含む食品は、線条体のドーパミン量を通常の2倍にまで増加させる可能性がある。これは、一般的な依存性物質であるニコチンやアルコールの場合と同じレベルだ。ある研究では、ブドウ糖の摂取によってドーパミン量が1.4倍に、別の研究では、脂肪によって1.6倍に増加することが確認されたが、脂肪の場合は増加し始めるまでに糖より長い時間がかかる。ちなみに麻薬のコカインはドーパミン量を通常の3倍に、覚せい剤のアンフェタミンは10倍に増加させる

変わりゆく食品

食品が脳に及ぼす影響が明らかになるにつれて、抗いがたいほど魅力的な食品が作られるようになってきた。私たちの体に入る食品は、脂肪や糖など特定の栄養素が多く含まれるようになり、以前より栄養素の組み合わせも多様になっている。その上、非常になめらかな口当たりのアイスクリームなど、食感の工夫が、食べるという行為をより快いものにしている。

昔の食べ物は自然の素材からあまり手を加えられずに作られていた。例えばパイ生地なら、小麦粉とバターから作られていた。対して、工業的に高度に加工された食品は、デンプンや水素添加油脂(硬化油)など、食品から抽出された物質から作られている。人工調味料や人工香料、油と水を混ぜ合わせる乳化剤、食品の形や食感を保つ安定剤などの添加物は、食品をより魅力的にするが、長期的には私たち自身に害をなすものもある

ディフェリシアントニオ氏のように、こうした超加工食品と、あまり手を加えられずに作られた加工食品を区別するべきだと考えている専門家もいる。その違いを認識することが、食生活に関連する多くの健康問題を回避する第一歩となる。

「私たちは昔から自家製のケーキやクッキーやピザを食べてきました。しかし、1980年代に超加工食品の生産が増えてから、食生活に関連する死亡や病気が増えたのです」とディフェリシアントニオ氏は言う。

ギアハート氏もディフェリシアントニオ氏も、超加工食品には臨床的な基準で依存性があると主張する。いわゆる「速度仮説」によれば、脳に影響を与えるのが速い物質ほど依存性が高い。多くの加工食品は、ドーパミンの放出スピードを最大にするために、あらかじめ消化されたような状態になっている

さらに、食物依存症が生み出される図式には社会的、心理的な力が関わっていることも見逃せない。加工食品は数世代にわたって、安価で手頃な食品としてさかんに宣伝されてきた。その結果、加工食品が健康に良くないと知りつつも、ついつい手が伸びてしまう人々が数世代にわたって生み出されている。

「私たちの社会は加工食品が欲しくなる暗示であふれています」とギアハート氏は言う。「ファストフードの看板や自動販売機には非常に強い力があり、見ると空腹でなくても、医者から糖尿病だと言われたばかりでも、体に良くないとわかっている加工食品を食べたくなります。加工食品は至るところにあります。朝の会議でドーナツが出されたり、深夜にピザの広告を見せられたりするので、私たちは常に身構えていなければなりません」

食物依存症の理解の変化と解決策

近年、食物依存症に関する従来の仮定の一部が間違っていたことが明らかになり、専門家たちはこの問題についての問い直しを始めている。

その例が、「離脱症状」と「耐性」だ。これらはかつて、依存症の主要な要素と考えられていた。離脱症状とは、ある物質の使用を減らしたり止めたりしたときに現れる身体的・精神的な不快な影響(不安、吐き気、頭痛など)のことで、食物依存症患者が強迫的に食べ続けるのは、離脱症状を避けるためだと信じられていた

しかし、ディフェリシアントニオ氏は「実はそうではないのです」と言う。「薬物依存に関する理論の大半が、薬物使用を持続させる原因は(離脱症状の回避ではなく)習慣や渇望にあるとしています

耐性は、離脱症状のほぼ逆で、ある物質を使い続けると同じ効果を得るために必要な摂取量が多くなる現象だ。食物依存症で言えば、耐性により食べても十分な快感が得られないため、快感を得られるまで食べ続けてしまうというドーパミン不足仮説が有力だった

「私は、この仮説には問題があると考えています。何を食べてもドーパミンは放出されるからです。ブロッコリーを食べても、腸に栄養が届くので、ドーパミンは放出されます」とディフェリシアントニオ氏は言う。「私たちはドーパミンがもっと欲しいからといってブロッコリーをたくさん食べるようなことはしません」。なお、ドーパミンという報酬を得られる下限の値がある証拠もないという。

研究が進むほど、食品に依存する仕組みをめぐる疑問は増えている。ドーパミンだけではすべてを説明できない。ものを食べることを快感にしているのはドーパミンではないからだ。研究者たちは、別の原因がありうることを示す証拠を発見している。

2012年10月に学術誌「Current Biology」に発表された研究で、ものを食べるとオピオイド受容体が刺激され、快感が増すことが示された。しかし、生体内のオピオイド濃度を測定するのは困難であるため、科学者たちはこのプロセスの仕組みをほとんど解明できていない。

腸の上部にあるセンサーが食べ物の好き嫌いに関わっているのではないかと考えている専門家や、視床下部(体温から空腹感まで、さまざまな機能を調節している脳の重要な部位)の関与を考えている専門家もいる。

研究者たちは、栄養素をどのように組み合わせると、どのくらいの量のドーパミンが放出されるのかも知りたいと考えている。残念ながら、ヒトで研究するには高価なスキャン装置と放射線が必要になる。「同じ被験者に、投与する味や栄養素の組み合わせを変えて20回もスキャンを繰り返すわけにはいきません。できることは非常に限られているのです」とディフェリシアントニオ氏は言う。

食物依存症の問題を解決する方法は明らかだが、容易ではないとギアハート氏は言う。参考になるのは、喫煙を減らすために行われた大きな社会変革だ。私たちはタバコの値段を上げ、宣伝や販売を制限した。食品についても同じようにすればよい、と氏は提言する。

食物依存症に対抗する方法は他にもある。

「依存性食品の摂取をやめられない自分を嫌いにならないでください。こうした食品は私たちの生物学的特性を利用しているのですから、やめるのは簡単ではないのです」とギアハート氏は言う。どんな気分のときに、どんな場所で、どんな時間帯に、その食品が欲しくなるのかを意識するのだ。「それだけで、誘惑された瞬間にできる別の対処法や戦略を立てることができます」


おいしさからやみつきに至る脳内プロセス 山本 隆 2007 年 38 巻 3 号 p. 200-205

(前略)イスラエル スタイナー(1973)である。

彼は生後すぐの赤ちゃんの口の中に砂糖水を入れるとにこやかな表情とともにペチャペチャとそれを呑み込もうとするのに対し、クエン酸やキニーネの溶液を入れると顔をしかめたり口を大きく開けたり、明らかに嫌悪性の表情を示すことを報告した。

新生児が示すこのような味覚反応は、味の質的な認知に基づくのではなく、快(おいしい)・不快(まずい)といった情動性の行動表出であること、さらに、食物のにおいに関しても、大人が好ましく思うにおいには快の表情を、腐敗臭には嫌悪の表情を示すことを彼は報告している。

おいしいものはエネルギーのもとになる糖分(甘味)や蛋白質のもとになるアミノ酸(うま味)、あるいは神経活動のもとになる食塩(塩味)、そして水など常に体が必要とするものである。(中略)

これらの物質を含め体が必要とするものは、欠乏状態にあるときは特においしいと感じる。欠乏状態が解消されればおいしさは減弱するのであるが、体がため込むことのできる生得的においしいものは充足状態でもおいしいすなわち、甘いものは常においしい、やみつきになる傾向にあるが、保存のきかないナトリウムイオン、水などは充足状態になればおいしさの程度は減弱する。(中略)

アメリカのプラスらは(中略)、母親から離されたときの子供の不安行動も、砂糖水を与えておくと生じなくなると報告している。このような甘みの作用は、ナロキソンというモルヒネ様物質(オピオイド)の働きを阻害する薬物の投与で消失することから、甘い味の刺激で脳の中にオピオイドが放出され、抗不安作用鎮痛作用が生じることが示唆される。

アヘンやモルヒネなどには、鎮痛作用や陶酔作用のほかに、摂食を促進する作用もある。このような薬物を全身性に投与すると、多くの動物種において摂食量が増加する。しかも、その効果は動物が本来好む味刺激に選択的に生じる。

モルヒネはあくまで外来性の物質であり、実際に脳内に存在委するオピオイドはβ-エンドルフィンである。ラットに数種類の味溶液を摂取させたあとで脳脊髄液中のβ-エンドルフィンの量を測定すると、ラットのもっとも好む砂糖やサッカリンを摂取したときに最大値を示す。

しかし、条件づけ法により砂糖に嫌悪感を抱かせたあと、ラットに砂糖を与えるとβ-エンドルフィンは遊離されない。このことは「甘い」という神経情報だけでβ-エンドルフィン量が増えるのではなく、おいしさと連動する必要があることを意味している。

β-エンドルフィンは脳内モルヒネともいわれ、至福感、多幸感を引き起こし、依存性も有するので、やみつきにさせる作用がある

ケーキなどの甘いものが大好物になって手放せなくなるのはβ-エンドルフィンの作用効果によるのである。なお、おいしいと感じるときにβ-エンドルフィンが関与しているが、ほかにもベンゾジアゼピン、カンナビノイド(大麻の成分)なども関与する。

おいしいという実感はもっと食べたいという欲求を引き起こす。この欲求は、脳内にドーパミンが分泌されることと大いに関係する。

ドーパミンは中脳の腹側被蓋野の細胞が賛成し、その神経投射により前脳部に広範に分泌する神経伝達物資であるが、その一つの主要な経路は側坐核に至るもので、そこでドーパミンが分泌される。この脳内経路を報酬系とよぶ。

このドーパミンの働きは目標に向かって努力させること、すなわち、欲しいものを手に入れるために積極的な行動を生じさせることである。たとえば、図-4Aに示すように、レバーを一定回数お酢とミルクが出る課題では、ラットがミルクを求めてレバーを押しているときに側坐核でのドーパミンの放出がみられ、ミルクを獲得すればドーパミン放出はストップする。そして再びドーパミンが出て、レバー押し行動が始まる。(中略)

ドーパミン含有細胞は、報酬が手に入ることを予期して待つときに大きな活動を示し、ドーパミンを放出するのであるが、報酬が手に入るとその活動は停止するのである。したがって、報酬系におけるドーパミンの活動は、より正確には、報酬が手に入る前の期待、予測、手に入れるための行動といった渇望状態に関与するのである。コカインなどの薬物依存のときも同じ経路が関与することが知られている。(中略)

図5は、おいしさの実感から摂食行動発現、そして満腹感に至る過程で働く脳内物質とその相互作用をまとめたものである。(中略)

下部で重要なポイントを解説

(食べ物のやみつきが生じるためには少なくとも3つの要因がある。そのひとつは)飲食物摂取による味覚、嗅覚、テクスチャーなど種々の感覚刺激や、摂食後のブドウ糖や栄養の補充による効果として生理的にβ-エンドルフィンが放出され、快感や摂取意欲が増進される場合である。

甘味を発現する糖(チョコレート、ケーキなど)、吸収後のカロリー補充にもっとも適した油脂類(マヨネーズ、てんぷらやポテトチップスなどの揚げ物)、カプサイシンなどの痛み発現物質(キムチ、カレーなど)はβ-エンドルフィンを脳内に放出させることが知られている。(中略)

摂取時に多くのβ-エンドルフィン放出を伴いおいしいと実感することがやみつきの基本である。

食べ物とβ-エンドルフィン放出のこのような関係は記憶に留められ、対象物をみただけで快感を連想させ、それを食べたいという欲求が生じる。このような外因性のあるいは想起による内因性の動機づけはドーパミン系を活性化させ摂取欲を生じさせる。ドーパミン系が容易に賦活されるようになった状況がやみつきになったという神経基盤である。(以下略)

甘い物や油脂類

甘い物や油脂類はエネルギー源(脂肪)として体がため込むことのできる物質です、十分に足りていても、食べ過ぎてもおいしいと感じることになります。そのとき、脳内では至福感、多幸感を引き起こし、かつ依存性を有するβ-エンドルフィンが分泌されます。

食べ物とβ-エンドルフィン放出のこのような関係は記憶に留められ、対象物をみただけで快感を連想させ、それを食べたいという欲求が生じる。ドーパミンは、その報酬が手に入ることを予期して待つときに大きな活動し、(食べる)行動を促します。

摂食後、本来は満腹中枢が働くことで満足することになります。が、問題は多くの加工食品(ジュースや菓子類、ゼリー、アイスなども含む)が満腹中枢の働きを乱しているという事実です

例えばジュース類を飲むと一度に大量の砂糖を摂ることになります。

この事実にも注目してください。お餅を食べただけで血糖値が200を超える人がいます。固形物であったとしても、精白(精製された)食品の摂取はこれほど血糖値を急上昇させることがあります。

固形物は消化してから吸収されます。一方で、ジュースやゼリー飲料、アイスなどは消化の手間がかかりませんのでダイレクトに吸収されます。したがって、上記のお雑煮以上に血糖値が急上昇することは想像に難くないでしょう。

そして、この血糖値の急上昇により、必要以上にインスリンが分泌されることになります。すると、以下のように血糖値が大きく下がることになります。

健常者の空腹時(少なくとも8時間の絶食時)の血糖値は、70㎎/dl~99mg/dlに維持されています。また、健常者では、食後2時間の血糖値は 140mg/dl未満です。脳(主にグリア細胞)は、このブドウ糖をエネルギー源に安定して働いてくれるわけです。逆、低血糖状態では、脳は正常に働けなくなります。

つまり、砂糖の摂り過ぎによりインスリンの過剰分泌が起きるとともに、血中ブドウ糖の低下(血糖値の低下)が起きるため、満腹中枢の働きが乱れます。付け加えるなら、空腹とは「食べろ」とか「消化が終わった」というサインではありません。では、どんなサインなのか?

空腹とは「血糖値が下がったよ!」というサインです。また、すごく腹が減ったというのは「血糖値が下がり過ぎた」というサインです。糖分を大量摂取する習慣があればあるほど、この空腹感が強くなり、甘い物や油脂類にやみつきとなります。

さらに問題となるのは異性化糖です。これらは、ジュースやアイス、ゼリー飲料、お菓子類、冷凍食品、調味料などありとあらゆる加工食品に使われています。また、異性化糖は砂糖より遥かに早く血糖値を急上昇させます。

空腹感は低血糖状態を意味する。この事実とともに、空腹時はイライラしますよね。これはアドレナリンやノルアドレナリンの分泌が原因です。そして、これらのホルモンが分泌されると情緒が不安定となります。また、私たちは情緒が乱れると報酬を求めます。誰だって不安より快感の方が嬉しいですから。

アドレナリンやノルアドレナリンの分泌は交感神経が緊張(過剰に働く)したからです。脳が正常に働けないため、その状態に耐える。そのために交感神経の活動が高まります。つまり…

糖分の摂りすぎ。とくに異性化糖や油脂類を習慣的に摂る食習慣は…

1.強い空腹感(低血糖)による情緒の乱れ
2.満腹中枢がうまく働かない
3.ドーパミンにより糖分や油脂類への強い渇望
4.β-エンドルフィンによる(一時的な)満足感
5.1に戻る

以上のような負のループを繰り返すことになります。

自ら氣づき食習慣を改善する。

これ以外の方法はありません。

10日間チャレンジを強くお勧めします。

Blog’s

Posted by sinsd