起立性調節障害患者はアレルギーと近視も併発している – データは、数字は嘘をつかない
盲目であることは、悲しいことです。
けれど、目が見えるのに見ようとしないのは、
もっと悲しいことです。
- ヘレン・ケラー -
先週の記事「コロナ禍以降、不登校や起立性調節障害が激増しています! – 誰もが驚く数です。(*_*)」の通り、少子化で子どもの数が減少しているにも関わらず不登校児童数は約20年で2倍に増えていました。
また、コロナ禍のわずか2年の間に1.5倍と激増していることがわかります。
そして私は、起立性調節障害だけでなく「不登校」も生活習慣病だと指摘しました。
ほとんどの病気は生活習慣病である!
生活習慣病とは、食事や運動などの生活習慣が発症の要因となる疾患の総称です。日本人の死因の上位を占めるがんや心臓病、脳卒中などが含まれますが、私は精神疾患や発達障害、鼻炎などのアレルギーなど、ほとんどの病気も生活習慣病だと考えています。
また、犯罪や非行、各種ハラスメント(パワハラやモラハラ、セクハラ、カスタマーハラスメントなど)、煽り運転などの問題行動はもちろん、夫婦・親子喧嘩なども生活習慣の結果だと確信しています。
そんな中、私が「30日で朝「スッキリ目覚める」体質にする方法!: もう、起立性調節障害で悩む必要はありません。」を書くきっかけとなった病気がふたつあります。
ひとつは、起立性調節障害の患者の多くは鼻炎や喘息、アトピーなどアレルギー疾患を併発していたこと。また、そのご両親の多くもアレルギー疾患を患っていたことです。
さらに、起立性調節障害の患者は〝ほぼ″例外なく近視であったこと。とくに強度近視の羅漢率が高かったことです。
アレルギー疾患と起立性調節障害の関係は?
以下は当時のお客様のデータですが、左から起立性調節障害(以OD)の男児、その隣がその母親。続いてOD女児、その母親。一番右が大人の女性OD患者です。
男児で約7割、その母親は8割以上。女児は7割強、その母親は7割弱。大人の女性も8割がアレルギー疾患を併発しています。
アレルギー疾患の患者数
以下は平成8~26年までのアレルギー疾患の患者数の推移をグラフにしたものです。徐々にですが、アレルギー疾患の患者数が増えているのがわかると思います。そして、似ていませんか?
不登校の児童数の増え方と…
子どもの絶対数が減っているのでわかりにくいかもしれませんが、左から6番目の点が平成8年です。また、コンビニ数飽和の3つ前が平成26年です。アレルギー患者数の推移と似ていますね。
アレルギー患児にODが多いことに氣づいていた医師もいた!
つい先日(2024年8月)見つけたこれは1994年の論文です。
シンポジウムV「アレルギー疾患と自律神経異常」 1994 年 8 巻 4 号 p. 166-170
シンポジウムの内容を要約したものですが、アレルギーとODについての部分を抜粋してご紹介します。
シンポジウムV「アレルギー疾患と自律神経異常」 1994 年 8 巻 4 号 p. 166-170より抜粋
・気管支喘息患児に高頻度に起立性調節障害がみられる。近藤直実 岐阜大学医学部小児科
・(前略)栃木県内の小・中・高等学校児童・生徒に行ったアンケートによるODおよびアレルギーの実態調査結果と、当科(独協医科大学第一小児科)外来におけるアトピー患児およびその母親におけるODの存在について報告する。(中略)
アレルギーの調査は鼻水、朝夕および運動時の咳、鼻閉、目の下のくま、鼻こすり、くしゃみ、鼻ならし、鼻ほじり、いびき、咳払いの10項目とした。(中略)
アンケート調査は、1992年4月に栃木県某町内にある全ての小・中・高等学校の児童・生徒5,783名(小学生3,216名、中学生1,685名、高校生882名)を対象に行った。
OD陽性率は小学生15.1%、中学生47.7%、高校生55.6%と高率であり、いずれも学年が高くなるにつれて増加した。一方、OD陽性者におけるアレルギー症状の合併率は、3項目以上の合併例が、小学生で91.5%、中学生で94.4%、高校生では91.8%と、いずれも90%以上の合併率であることが判明した。
当科アレルギー外来において行ったアトピー患児およびその母親におけるODおよびアレルギーの調査では(中略)OD陽性者は、患児群で60%以上におよび、母親群では90%ちかくに見られた。
・アレルギー疾患の子供達の中で、自律神経症状を有し、起立性調節障害(OD)と思われる例の多いことを経験する。実際、気管支喘息児にODの多いことは市村や近藤らが指摘しており、私たちも同様な結論を既に報告している。(中略)
今回は、気道アレルギーを過去を含めて併発していないアトピー性皮膚炎(AD)におけるODと頻度とODの成立に関係する要因を検討した。対象は6歳から18歳平均年齢11.1歳の既往を含めて気道アレルギーのないAD患者74名である。(中略)
AD患者におけるODの頻度は67.5%(中略)
重症例は、中等症および軽症例に比し、OD(中略)陽性例が多かった。(中略)
ODの頻度は、気管支喘息児、AD児、非アレルギー児の順に多かった。喘息児、AD児は、非アレルギー児に対し、有意差を認めた。(中略)
以上により、アトピー性皮膚炎児は、ODの頻度が高く、特にIgE反応性の高いAD児ほどODを併発しているということから、アレルギーと起立性調節障害の密接な関係が示唆された。(高松平和病院小児科)
以上のことから、アレルギーとODには共通のメカニズムが働いていることが想像できます。
近視とODの関係とは?
「なんか目が顔から飛び出ている感じの子が多いな~」
ODの相談を多数いただくようになったある時点で、私は強度近視を併発している子どもが多いことに氣づきました。強度近視とはざっくり視力0.1以下の視力で、失明のリスクが高いとても深刻な状態です。
OD児に強度近視併発が多い。ということで、OD児の強度近視率を調べてみました。
すると、男女とも20%以上が強度近視。しかも、そのお母さんはなんと4人に1人が強度近視でした。
この事実に氣づいてから、私はすべてのOD児の視力について調べてみました。ら、想像していた通りOD児は例外なく近視でした。
そんな近視の子供達が増えていることはご存じだと思います。
上記は視力1.0以下の児童・生徒数のグラフですが、これも不登校児童・生徒数のグラフに似ていると思うのは私だけでしょうか?
まとめ
ODはそのほとんどが近視!これがOD解決における最大のヒントでした!
また、ODおよび強度近視を併発してる子どものお母さんは27.6%が強度近視。この事実から、私はますますODは生活習慣病だと確信しました。ということで、もちろん近視やアレルギーも生活習慣病という話です。
なぜなら、近視とは次のような状態だからです。
カンタンに、眼軸が広くなると焦点が合わなくなり近視となる。
眼軸が広がり過ぎるとさらに悪化し強度近視となる。
横に広がるイメージになるので、強度近視になると顔から眼が飛び出たように見えるケースがある。
・当社のOD児の調査では、その7割がアレルギー疾患を併発していた。また、その児童の母親も8割がアレルギー疾患を患っていた。
・獨協医科大学第一小児科の調査ではOD陽性者のアレルギー合併率は小・中・高校生いずれも90%以上であった。また、アトピー患者の60%以上がOD陽性者で、その母親に至っては90%近くがOD陽性者だった。さらに、アトピー患者は重症者ほど優位にOD陽性者が多かった。
アレルギーとODの合併率。また、母親のアレルギーとOD陽性者の割合。さらに、OD児の近視有病率を見れば「生活習慣病」を疑うのは自然なことでしょう。
盲目であることは、悲しいことです。
けれど、目が見えるのに見ようとしないのは、
もっと悲しいことです。
- ヘレン・ケラー
もし、あなたがODでお悩みなら、しっかり子どもを見てあげましょうね。