なぜ、車夫は半日以上、馬と変わらない速度で走るほど驚異的なスタミナがあったのか?
明治時代の車夫が驚異的なスタミナを誇っていた。
とても有名な話でご存じの方も多いかと思いますが、明治時代 車夫 スタミナと検索すると次のように説明されていますのでご紹介します。(Google AIより引用)
明治時代の車夫は、玄米や麦、雑穀、芋類、漬物といった低タンパク・低脂質の粗食を好んで食べており、その驚異的なスタミナは、西洋の肉食中心の栄養学とは異なる、日本人の体に合った高糖質・低タンパクの伝統的食事に由来していた。
ベルツ博士の実験(1901年)によると、肉中心の食事を摂った車夫は疲弊し3日目で走れなくなったが、いつもの食事(おにぎり等)を摂った車夫は3週間も走り続け、日本人の身体には伝統食が適していたことが証明された。
車夫のスタミナと食事のポイント
脅威のスタミナ: 車夫は交代なしで約14時間半、馬とほぼ変わらない速度で荷を運び続けた。
具体的な食事: 玄米おにぎり、梅干し、味噌大根、漬物(沢庵)が中心で、米、大麦、粟、じゃが芋などの炭水化物を多く摂取した。
ベルツの実験: 20代の車夫で実験したところ、肉食を摂った車夫は3日で疲労困憊したが、従来食の車夫は3週間走り続けた。現代との対比: 当時は「高タンパク=体力」の常識が覆り、日本人特有の長い腸には、欧米式の肉食よりも植物性炭水化物とビタミン・ミネラルが豊富な日本食が最適だった。
エルヴィン・フォン・ベルツ(独: Erwin von Bälz、1849年1月13日 – 1913年8月31日)は、ドイツ帝国の医師で、明治時代に日本に招かれたお雇い外国人のひとり。
このように、明治時代の日本人が驚異的なスタミナを誇っていた理由が日本食にあったわけですが、江戸時代の記録を見るとスタミナだけではなかったようです。
江戸(人)の身体
(前略)
1876 年に東京帝大の医学部教授として招蒋されて来日し、以来 30 年の長期にわたって日本の近代医学の発展に貢献したドイヅ人の自然人類学者エルヴインーベルツは、来日以来、非常な関心をもって日本人を観察、調査し、その所見をドイツ東アジア自扶民族学協会報という雑誌に「日本人の身体的特徴」と題する論文で尭表した。( 1883 年と 85 年の 固に分けて)
そこでベルツは、当時の日本人の体型的特徴が、いわゆる「胴長短足 であることを指摘し、[日本人は他人種に比すれば矯小なるも、支那人と朝鮮人に比すれば強壮で、筋肉強豪である」などと論評している。
そのことは、1877 年の来日当日、横浜埠頭で始めて見た日本人について、身体は小さく、背は低いが、恐ろしく強い・ と記述したアメリカ人博物学者エドワード モースの印撃とも合致している。(中略)
江戸時代、日本独特の交通機関として駕龍が大いに普及した。とくに幕末の江戸には多くの駕箆屋があり、町駕龍、辻駕範は庶民の利用者も多かった。その駕能を担ぐ者、いわゆる「駕龍かき」は、体力があれば誰でもできて賃金が得られる仕事であったから、都市内の再下層の人々や離村者が多かった。
ふつう人を乗せた時の駕箆の重量はおよそ 25 貫、(約 100キロ)、それを二人で担ぎ、少々長い距離でも時速5-6 キロくらいの速度で走ったといわれている。
人を乗せた重い駕篭を担いで、どんな道でもかなりのスピードで駆け抜ける駕箆かきの強靭な脚力とスタミナは、当時日本を訪れた多くの外国人を驚嘆させたものである。(以下略)
・日本人の身体と生活動作の伝統 近藤 義忠 2002年 19 巻 65-68 より引用
上記論文では食生活との関連は指摘されていませんが、江戸時代も当然食べていたのは日本食であり肉食の習慣はほぼ皆無だったようです。
宮中に神事がある際、獣肉を食べたものは3日間参内できないという禁制があった。そのように仏教の影響から、江戸時代にも肉食を表面的には食べられなくなったと考えられる。
獣肉食の禁忌は殺生戒という理由のほかに、中世以降には穢れという忌む風習があった。
・江戸時代における獣鳥肉類および卵類の食文化 江間 三恵子 2013年 23 巻 4 号 247-258 より引用
ただし、所謂ジビエは食べる習慣があったようです。
『日本書紀』第29巻には、天武天皇4年(675)4月17日に諸国に詔して
「今後、漁業や狩猟に従事する者は、檻や落とし穴、仕掛け槍などを作ってはならないとし、4月から9月までは、魚をとること、また牛・馬・犬・猿・鶏などの肉を食べることはいけない。禁止を犯した場合は、処罰がある」と記されている。
この肉食禁止令以来、牛、馬、犬、猿、鶏の肉を食べることができなくなった。
しかし、猪、鹿、熊などの野獣類は禁止の対象にならなかった。
・江戸時代における獣鳥肉類および卵類の食文化 江間 三恵子 2013年 23 巻 4 号 247-258 より引用
ただし、檻や落とし穴、仕掛け槍などが使えなかったことから、獲れる猪や鹿なども限られた数だったことでしょう。したがって、ほとんど肉を食べる機会が無かったと思われます。
現代で言う粗食が当たり前の日本人が、なぜ驚異的なスタミナと筋力を誇っていたのか?
その理由は腸内細菌にあったと考えられますのでご紹介します。
腸内細菌が産生する代謝産物の有益性についても報告が増えてきている.
代表的な腸内細菌の代謝産物として,短鎖脂肪酸や水素ガス,水酸化脂肪酸,ポリアミンなどがあげられるが,特に,アスリートのハイパフォーマンスの発揮やコンディショニングへの応用については,食物繊維などの難消化性糖類を代謝した際に産生される短鎖脂肪酸や水素ガスが期待されている.(中略)
水素による活性酸素の除去作用は,様々な疾病の予防や治療に効果的であるだけなく,アスリートにおいても有益性が知られている.
サッカー選手を対象とした研究では,水素水を摂取すると,プラセボを摂取した時と比較して急性運動時の乳酸の増加が有意に抑制されることが示されている.また,トライアスロン選手を対象とした暑熱環境下での持久性運動時には,水素水を摂取した方が運動時のエネルギー消費量が有意に少なくなることを報告している.
一方で,水素は低分子のため体内の至る所に供給可能な反面,供給後に即時的に体外に排出されてしまうため,摂取のタイミングを調整する必要がある.
しかしながら,最近の研究によって腸内細菌に難消化性糖類を代謝させることで水素ガスを 4~5 時間にわたって多量に産生させる方法が確立されている(図 2)(中略)

腸内水素ガス産生乳飲料を摂取した方が運動時の血中乳酸濃度や 酸化ストレス指標である尿中 8-hydroxy-2ʼ-deoxyguanosine(8-OHdG)の増加が抑制され,それらの変化量は水素ガスの産生量と相関関係を示した.また,腸内水素ガス産生乳飲料を摂取した方が運動中の脂質酸化量が有意に増大することが示された。
まとめ
腸内細菌代謝産物である短鎖脂肪酸の免疫調節機能や,水素ガスの酸化ストレス軽減作用は,アスリートの感染症予防やリカバリーの促進に有効であると考えられる.
さらに,短鎖脂肪酸は筋の補助的なエネルギー源となるほか,水素ガスは筋グリコーゲンの節約に寄与する可能性が示されているため,アスリートのハイパフォーマンス発揮にも有益であると期待される.
従って,食物繊維などの難消化性糖類や乳酸菌を普段の食事に取り入れることで,これらの腸内細菌代謝産物の恩恵を容易に得ることができ,アスリートのコンディショニングをより効率的に行うことができると考えられる.
・腸内細菌代謝産物のコンディショニングへの応用 枝 伸彦 2025年 33 巻 3 号 384-387 より引用
私たちが想像する以上に食物繊維の摂取は重要かもしれません!
江戸時代や明治時代の日本人が驚異的なスタミナを誇ったのは、どうやら食物繊維を豊富に摂取したこと。また、その食物繊維を腸内細菌がエサとして食べ、私たちに水素ガスや短鎖脂肪酸を与えてくれたことが原因だったようです。
さらに、パプアニューギニア
ニューギニア本島の中央高地(赤道直下 – 南緯12度)に人が住んでいることが世に知れたのは1930年代に入ってからのことである。そこには新石器時代さながらの生活を営む人々が住んでいた。(中略)
高地人はサツマイモとわずかな野草を食べ、動物性食品はほとんど摂らず、エネルギーやたんぱく質の摂取量はきわめて少ないにもかかわらず、浮腫あるいはるいそうなどの低栄養症状は認められず、身長は低いけれど、筋骨たくましい体系を保持し、健康的な生活を送っていることが報告され、世界の研究者の注目を集めた。(中略)
・食物栄養の立場から 奥田 豊子 1989年 33 巻 3 号 212-215 より引用
先にご紹介した論文で「日本人は他人種に比すれば矯小なるも、支那人と朝鮮人に比すれば強壮で、筋肉強豪である」や「身体は小さく、背は低いが、恐ろしく強い」といった記述がありましたが、上記論文の「身長は低いけれど、筋骨たくましい体系」という指摘と重なりませんか?
そしてその理由は…?
高地人の食物繊維の摂取量(NDF)は、約30gでかなり多量である。
高地人の日常食における糞重量は288±77g/dayで、乾燥重量は47±10g/dayで、日本人の通常の食事のときと比較し1.5-2倍も多かった。
しかし、日本人がサツマイモを中心とした高地人の日常食を摂取すると、糞重量は737±379g/day、乾燥重量は78±26g/dayと、通常の2-3倍と多くなり、摂取した食物繊維の約90%が糞中へ排泄されていた。
高地人では糞中へ排泄された食物繊維量は、摂取量の約50%であった。
日本人と高地人の乾燥糞重量の差は食物繊維の消化率の違いである程度は説明される。
一方高地人の日常食におけるタンパク質と脂質の消化吸収率は、日本人が現地食を摂取したときと差がみられなかった。
これらのことは、高地人は高繊維食に適応し、大腸機能を整えると同時に、食物繊維を利用している可能性が推測される。
・食物栄養の立場から 奥田 豊子 1989年 33 巻 3 号 212-215 より引用
・高地人や江戸時代、明治時代の日本人は活動量も多いし粗食であった。また、どちらも低身長で筋骨がたくましい体系であった。
・高地人の糞便中の食物繊維排泄量は摂取量の約50%、日本人が同様の食事を摂った場合の排泄量は約90%
この差から、高地人は高繊維食に適応しており、腸内細菌を餌とする腸内細菌がより豊富に存在していることが想像できます。
不可避窒素損出量からわかること
不可避窒素損出とは、タンパク質を全く摂取しない環境下でも、生命維持のために尿、便、皮膚(汗・垢・毛髪)などから排泄されてしまう最小限の窒素(タンパク質由来)量です。1日あたり体重1kgにつき約0.37gのタンパク質に相当し、成人のタンパク質必要量を算出する基礎となります。(Google AIより引用)
その窒素排泄量が高地人と日本人に違いがあるので確認しておきましょう。
なお、先の論文で「日本人は他人種に比すれば矯小なるも、支那人と朝鮮人に比すれば強壮で、筋肉強豪である」という指摘を踏まえて読んでください。
高地人に無たんぱく食を投与したときの不可避窒素損出量をTable3に示している。
日本人や中国人の尿中内因性排泄量は、アメリカ人の約1割低値を示すが、高地人ではさらに1割低い値を示した。

通常尿素はタンパク質代謝の終末産物として尿中へ排泄されるが、低栄養の場合、小腸内に排泄された尿素は、腸内細菌によってアンモニアに分解され、体内に再び吸収され、肝臓で可欠アミノ酸の材料にされる。
さらに腸内細菌がアンモニアから必須アミノ酸を合成し、これを再吸収して利用しているのではないかと考えられている。
そこで¹⁵Nでラベルされた尿素を経口投与後、経時的に採血し、血清タンパク中へ¹⁵Nが取り込まれるかどうかしらべた。
日本人が通常の食事を摂取しているときには、尿素体窒素は利用されていなかったのに対し、高地人では日常の食事を摂取しているときでも尿素体窒素を、体タンパク合成へ利用していることが明らかとなった。
・食物栄養の立場から 奥田 豊子 1989年 33 巻 3 号 212-215 より引用
・江戸時代、中国人と比べ日本人は強壮で筋肉強豪
・現代の日本人の尿中への窒素排泄率は中国人と同等
・高地人は尿素体窒素をタンパク質合成へ利用しているが、日本人は利用していない
尿素窒素(BUN:Blood Urea Nitrogen)は、体内でタンパク質が分解された後にできる老廃物(尿素)に含まれる窒素分です。
これらの事実より、江戸時代(明治時代も)の日本人は高地人のように尿素体窒素(尿素窒素)をタンパク質合成に利用していたが、現代人は利用できなくなっていることが想像できます。
では、どうすればいいのか?
悪い報告と良いご報告!
高地人の腸内細菌は食物繊維を餌にタンパク質を合成していた。
その腸内細菌叢は食習慣で劇的に変化することが知られています。欧米食を食べ続ければ悪玉菌が増え、食物繊維や発酵食品(発酵性食物繊維)を多く摂る食事は善玉菌を増やし、短鎖脂肪酸の産生を促進します。
一方で、次のような報告もあります。
悪い報告
・食習慣と腸内細菌叢(1月14日号Nature掲載論文)(出典:AASJ)
食習慣を通して一旦失われた細菌の種類は、食事を元に戻してももはや回復する事はない。元に戻す唯一の可能性は、失われた細菌そのものを腸内に移植する方法だけだ。すなわち、一旦食習慣によって失われた細菌叢の多様性は、食習慣を変えても取り戻せないという厳しい結果だ。
ガッカリした方も少なくないと思いますが、良い報告もあります。
良い報告 – 千島学説
千島先生は次のような偉大な発見をされています。
・バクテリアが有機物の腐敗によって自然発生することは動かすことのできない事実である。しかも学会がこの事実を承認しないのは学者の非良心的と哲学の貧困を思わずにはいられない。
・私は岐阜大学当時、学生たちとともに牛乳、大豆、バレイショを材料として実験した。(中略)4-5日たって調べてみたら牛乳からは乳酸菌、大豆からはナットー菌、バレイショからは純粋のバレイショ菌が発生していることが解った。これによって解ることは食品の腐敗によって発生する細菌は、それぞれの培地の有機物、牛乳のタン白質、大豆はそれを造っているタン白質や炭水化物、脂肪などを含む成分から、バレイショの場合はその澱粉が細菌に変化している状況を観察することができる。その形態ばかりでなく、性質も亦培地の種類によってそれぞれ固有の細菌が自然発生してくる証拠である。
・血液と健康の知恵 千島喜久雄著(地湧社)より引用
また、同書で次のような記述があります。
レーリー現象
肺、消化器などに分布している自律神経を物理的にピンセットで刺激を与えるかまたは化学的に毒素(細菌毒素)を塗布すると、その神経支配を受けている肺、消化器(イチョウ)にそれぞれ、肺には、結核の顆粒結核病巣を生じ、また腸には腸チフス、赤痢の病変を起こすことを実証した。
この場合、これらの伝染病の病原菌たとえば結核菌、赤痢菌、チフス菌などは一匹も体内へとり入れないにもかかわらず、それらと同様の病変を起こすことを証明した。
まとめ
脳細胞は再生しない。
そう医学は主張していますが、私は認知症を克服されたヒトを何人もこの目で見てきました。
心臓は再生しない。
そう医学は主張していますが、私の先天的な心疾患は50歳の時の人間ドックでは消えて無くなっていました。(大学入学以来、一切病院にかからず50歳記念ではじめて健康診断を受けた時にわかりました)
千島学説と上記のようなベクトルから、私は伝統的な日本食を続ければ腸内細菌叢の多様性が回復し、食物繊維を餌とする腸内細菌が増えること。(もちろん活動量を増やす必要はありますが…)筋骨たくましい体となることができると想像しています。
その意味で、カギを握る食物繊維は海藻類の積極的な摂取にあるのかもしれません。
日本人には他の人種には無い、海藻類を分解する特殊な腸内細菌が共生しています。ぜひ、来るべき有事を活かし、積極的に海藻類を食べていきましょう。
備蓄すべき乾物海藻類
乾燥ワカメ
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とろろ昆布
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あおさ(青のり)
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海苔
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ひじき
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寒天
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新しい地球はもうすぐそこです。
共に、新時代の日本の礎を築いていきましょう。
きっと、うまくいくよ!
きっと、元気になるよ!



