植物油脂をとるとなぜ?動脈硬化や心臓疾患、脳梗塞などのリスクが高くなるのか?
トランス脂肪酸の危険性について、再三にわたって新聞やテレビで報道されてることはご存知でしょう。
例えば、ニューヨークではトランス脂肪酸の使用を飲食店でも規制したところ、ここ10年で平均寿命が
- 男性は13歳
- 女性は8歳も延びました。
トランス脂肪酸には、心血管疾患、特に冠動脈性心疾患のリスクを高める確実な証拠があります。
代謝研究で、トランス脂肪酸は血液中のLDLコレステロールを飽和脂肪酸と同様に増やすだけでなく、HDLコレステロールを減らすことがわかっています。また、そのために動脈硬化を進行させるなります。
事実、いくつかの大規模研究調査では、トランス脂肪酸の摂取は冠動脈性心疾患のリスクを増やすことが示されています。
なぜ、トランス脂肪酸はコレステロールに影響を与えるのか?
再三ご紹介していますが、細胞の周囲は細胞膜で囲まれています。また、細胞膜はリン脂質の二重構造で構成されています。
ご覧のように、細胞膜のコレステロールはリン脂質の間に入ります。さて、これが細胞にとってどんな意味をもつのでしょうか?
まず、細胞膜についてのおさらいからはじめましょう。
細胞膜を構成するリン脂質は動いている!
細胞膜は外部から栄養やブドウ糖、酸素などを取り込む一方で、細胞内から不要なものを吐き出します。また、異物が細胞内に侵入できないようと、関所のような働きもあります。
https://youtu.be/Qo1rJs5Wook
ブドウ糖を取り込むときには?
私たちが食事をして血糖値が上がると、すい臓からインスリンが分泌されます。これはどなたもご存知ですが、さて、インスリンが分泌されるといったいどんなことが起きるのでしょうか?
すい臓から分泌されたインスリンは、細胞膜のタンパク質でできた受容体にドッキングします。この受容体とインスリンはカギ穴とカギのような関係で、インスリンだけがここに収まることができます。
カギ穴(受容体)にインスリンが収まると、その情報が細胞内に沈んでいたGULT(グルコーストランスポーター)と呼ばれるブドウ糖の取り込み口をもった小胞に届きます。また、その情報からGULTは細胞膜に向かって浮かび上がります。
さらに、GULTは細胞膜に融合し、細胞膜表面にブドウ糖の取り込み口が増やしてくれます。これにより血液中のブドウ糖が細胞内に取り込まれますが、血糖値が下がるとGULTは細胞膜から離れて再び細胞の中に沈んでいきます。
本と本を1ページずつ重ね合わせると?
本を二冊用意し、1ページずつ重ねる。続いて、ふたつの本を両側から引っ張ってみましょう。すると、よほどの力持ちでない限り、二冊の本を引き離すことができません。また、逆に二冊の本を強引に1ページずつ重ねることはできません。
こういったことに先の細胞膜と小胞の融合を重ね合わせると、おおよそ次のようなことが想像できます。
「細胞膜は流動性が高いほうが有利である」
飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の構造
細胞膜に入るリン脂質の尾部は二つありますが、そのひとつは必ず飽和脂肪酸が入ります。この飽和脂肪酸はC-C-Cとまっすぐな構造をとります。
リン脂質のもう一方の尾部は、飽和脂肪酸も不飽和脂肪酸も入ることができます。そして、不飽和脂肪酸にはC=Cという二重結合があり、この部分でおおよそ120度折れ曲がることになります。
✓尾部がふたつとも飽和脂肪酸の場合
尾部がふたつとも飽和脂肪酸だと、まっすぐな構造ですから隣のリン脂質との間が狭くなります。イメージとしては満員電車。こんなlllllll感じでしょうか?
✓尾部の一方が不飽和脂肪酸の場合
あくまでもイメージですが、尾部の一方が不飽和脂肪酸だとこんな感じです。IレIレIレ、容易に想像できるように隣のリン脂質との間に隙間ができます。
コレステロールの役割は?
二冊の本を重ね合わせた話からわかるように、隙間が狭くなると細胞膜の流動性は低下します。先のようなGULTをもつ小胞などの細胞膜への融合も、細胞膜の流動性が低下すればするほど困難になります。
また、二冊の本を1ページずつ重ね合わせると引き離すことができないように、小胞が細胞膜から離れることも容易ではなくなるでしょう。
逆に、リン脂質とリン脂質の間が広がればそういったリスクはありません。そこで、コレステロールの登場です。
飽和脂肪酸が多ければ、隣のリン脂質との隙間が狭くなります。このとき、細胞膜の流動性が低下するのを防ぐため、コレステロールがその間に入って膜の流動性を高めています。つまり、リン脂質に使われる飽和脂肪酸の量が多ければ多いほど、細胞膜に使われるコレステロールの量も多くなります。
逆に、リン脂質に使われる不飽和脂肪酸の量が多ければ、膜の流動性が高まるが故、コレステロールはさほど必要ありません。
では、トランス脂肪酸が多いと隙間は?
小冊子で詳しくご紹介していますので、ここでは簡単に説明しておきます。
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植物油や魚油などでとれる不飽和脂肪酸は、そのほとんどがシス型構造です。この構造により、炭素二重結合部片側でおおよそ60度ずつ、合計120度折れ曲がることになります。一方で、トランス型では以下のように限りなく直線構造に近くなります。
したがって、飽和脂肪酸のケースと同じようにトランス脂肪酸がリン脂質に入ると、隣のリン脂質との間が狭くなります。そのため、コレステロールがより細胞膜内に取り込まれるわけです。
なぜ、トランス脂肪酸が多いと動脈硬化などが増える?
こちらも小冊子で詳しくご紹介していますが、シス型の脂肪酸は、代謝過程で必ずトランス型に変換されます。シス型→トランス型→代謝。また、この過程は酵素が触媒として働きますから、トランス脂肪酸をとると次のことが起きると想像できます。
そこで問題になるのが現代人の食生活です。
オメガ6脂肪酸による炎症反応!
サラダ油や植物油脂に入っている脂肪酸はオメガ6系のリノール酸という成分で、これは体内でアラキドン酸に変換されて炎症を促す生理活性物質を生じます。そして、この摂りすぎが大きな問題につながります。
ほとんどの家庭では、サラダ油を当たり前のように使っています。また、外食産業の揚げ物やポテトチップなどを好んで食べている人も少なくありません。参考までに、100gのジャガイモと、同じく100gのポテトチップスに含まれるオメガ6脂肪酸の量を比較すると、ポテトチップスはジャガイモのおおよそ1000倍もの量となります。
また、冷凍食品やお菓子類、ドレッシング類など、口に入れる食材では植物油脂が入っていないものを探す方がたいへんです。したがって、こういったものをとる習慣があるのなら、体内で余分な炎症反応が続いていることになります。
これは単なる炎症だけでなく、血液の凝固を促進することにもつながります。また、炎症により細胞が傷つきやすくなりますから、コレステロールも酸化されやすくなります。
こういった負の連鎖により、動脈硬化や心筋梗塞、脳血管障害のリスクが高まることになります。
トランス脂肪酸をとる量が多ければ、オメガ6脂肪酸の代謝が滞ることになります。オメガ6脂肪酸の量が減らないことになりますから、炎症反応の影響が強くでることになります。
まあ、仙人を目指す人はいないでしょうから…
私は、基本的に植物油脂はトランス脂肪酸は摂らないという立場です。ですが、外食でサラダにドレッシングがかかっていれば、何も気にせずに食べてしまいます。また、これもソバなどを食べたとき、かき揚げや天ぷらソバは食べませんが、マグロバーガー(マグロのフライをパンにはさんだ)は大好きなので東京に出張するごとに新幹線で食べています。
※ ただ、必ずお腹が痛くなりトイレに駆け込んでいます。アホです。笑
そんな私ですが、こういったものを食べたとき、その後の結果を自分で確認することをお勧めしています。私の場合はマグロバーガーは腹痛ですが、カレーを食べると動悸が起きます。
つまり、何か負の状況が現れたとき、その前に食べたものを疑うクセをつけてほしいのです。
私の場合、先のようにカレーは動悸が起きるので外食では食べません。同じように、明らかな不調がでる食べ物は排除することをお勧めします。
また、こういったものを食べる習慣があると、必ず次のようなことにつながります。それは…
負の感情の振れ幅が大きくなる!
脳内に取り込まれるオメガ6の量が増えれば増えるほど、必ず怒りやイライラもしくは落ち込み、不安といった感情が強く現れるようになります。
つまり、サラダ油や植物油脂、マーガリンなどの食べ物が、精神面にさまざまな問題が生じる原因となります。また、脳の働きも悪くなりますし、脳が浮腫んでメマイや立ち眩み、頭重感などの原因にもなります。
もし、不安やパニックなど、何かに悩み続けてしまう傾向があるのなら、いちど10日間チャレンジをお試しになることをお勧めします。
なお、これはご家族に問題があるケースも同じです。
外食やし好品などはなかなかやめさせることができませんが、10日間チャレンジでご紹介しているものは食事に混ぜて「気づかれずに」栄養をとらせることができます。カプセルは魚油ですが、これもみそ汁などなら溶けてしまいます。
ただし、油が浮きます。ので、えごま油を併せて入れ、これを入れたとアピールしましょう。えごま油については、ためしてガッテンの情報などを見せることをお勧めします。
体と脳はつながっています。体調不良はこころを乱しますし、こころが乱れれば体はそれに対抗しようとどんどん緊張します。また、それがさらにこころを乱すことにつながります。
この話が、食生活だけでも見直すきっかけとなれば幸いです。