昆虫食ヨーロッパで導入承認! 成分表示は学名で昆虫食と氣づかない。

すでに昆虫〝コッソリ″と加工食品に使われているかも…

ヨーロッパでは昆虫の導入が承認されたようです。

昆虫の脂肪酸組成を確認しておきましょう。
可食性昆虫類における脂肪酸の組成とその由来 吉田 宗弘 2021 年 32 巻 1 号 p. 9-15

食用昆虫における n-3 系多価不飽和脂肪酸の栄養的意義とその由来を検討するため,アシナガバチ類の幼虫,蛹,成虫,イナゴ類とセミ類の成虫の総脂質濃度と脂肪酸組成,およびイネ科植物の葉と樹液類の脂肪酸組成を調べた.

乾燥重量あたりの総脂質濃度は 4.6〜24.0%の範囲であり,アシナガバチ類の蛹においてもっとも高い値が認められた.

全脂肪酸に占める n-3 系多価不飽和脂肪酸である α-リノレン酸の構成比は,イナゴ類が 32〜37%,巣から採集したアシナガバチ類が 10〜21%であったが,セミ類では 0.5%未満であった.

また,セミでは全脂肪酸の 80%以上がオレイン酸とリノール酸であった.この結果から,ハチ,およびイナゴ類は,n-3 系多価不飽和脂肪酸の供給源になり得ると考えられた.

イネ科植物の葉において α-リノレン酸が全脂肪酸の 35〜84%であったことから,イナゴ類における α-リノレン酸は食餌由来であると考えられた.

一方,樹液類は総脂質濃度が 0.04〜0.17%の低値であったが,リノール酸がわずか(全脂肪酸の 4〜8%)に含まれていたことから,セミに含まれるリノール酸は樹液由来である可能性が考えられた.

昔から、特に内陸部でハチの子やイナゴは食べられてきましたが、海産物の代替オメガ3脂肪酸供給源だったのですね。

食用昆虫の油脂と期待される栄養生理機能 落合 優 2022 年 22 巻 4 号 p. 155-164

(前略)食用昆虫は代替タンパク質資源であると考えられる場合が多いが,食用
昆虫の中には脂質を多く含むものも存在し,さらに脂質の構造的特徴は昆虫の種や昆虫の飼料および成長段階によって異なると考えられる。

加工食品への食用昆虫や昆虫油脂の利用を考えると,食用昆虫原料を質的および量的に評価することが重要である。著者は,食用昆虫を重要な脂質資源であると考え,世界に約2000 種類存在する食用昆虫の中でも代表的な食用昆虫であり,国内でも加工粉末が市販されるトノサマバッタ(成虫),カイコ(蛹)および数種類のコオロギ(成虫)の油脂の特徴について検討してきた。(中略)

食用昆虫油脂の質に関して,我々はトノサマバッタおよびカイコには n-3 系脂質である α- リノレン酸コオロギには n-6 系脂質であるリノール酸が結合した中性
脂肪およびリン脂質が豊富に含まれることを示した

さらに,リン脂質の中ではホスファチジルコリンが主要なリン脂質種であるが,その他のリン脂質種も含有されていることを示した。

昆虫油脂に期待される栄養生理作用について,食用トノサマバッタ粉末をラットに給餌したところ,肝臓における脂質代謝が改善されることを示した

これらの研究より,食用昆虫は機能性に優れる多価不飽和脂肪酸やリン脂質を含む油脂源であることが示唆された。(以下略)

昆虫食は陸上養殖で魚の餌として利用できますね。

陸上養殖の機能と役割 遠藤 雅人 2021 年 58 巻 1 号 p. 21-27

(前略)古くから研究されているものとして淡水魚の閉鎖循環式養殖野菜の水耕栽培を組み合わせたアクアポニックスがある。アクアポニックスはアクアカルチャー(水産養殖)とハイドロポニックス(水耕栽培)を組み合わせた造語であり,アメリカを中心に40 年前くらいから研究が進められ,アメリカやオーストラリアを中心として産業化に至っている6)。概念図を Fig. 4 に示す。

アクアポニックスは閉鎖循環式養殖の飼育水と水耕栽培の栽培養液とを共有し,魚介類の排泄する物質を直接,水耕栽培作物の液肥として利用する

カリウムや微量金属の添加が必要であるが,魚介類の排泄物質を野菜等の水耕作
物が吸収することで飼育水中への水質汚濁物質の蓄積を防ぎ,水耕作物も収穫できる。また,この排泄物質は有機肥料となるため,有機の水耕栽培を行うことができ
る。

最近,日本においてもいくつかの企業が産業的な生産を始めている(後述)。

また,海産魚と好塩性植物や海藻との組み合わせた塩水性のアクアポニックスや複合的な養殖の研究も進められており,これまでにクエの閉鎖循環式養殖とアイスプ
ラントを塩分8 psu(海水の1/4 程度の濃度)~16 psu(海水の1/2 程度の濃度)で試験を行った例7)やクビレズタ(海ぶどう)をクエの飼育廃水で栽培した例8)がある。

スーパーサイエンスハイスクール(SSH) 福島の復興と日本の未来を支える人材を育てる 福島県立福島高等学校 国立研究開発法人科学技術振興機構 2017 年 2016 巻 2017.3 号 p. 8-11

(前略)続いて、SS部の好適環境水班(好適班)による「ウナギの試験養殖」活動について、2年生の八巻慶汰さんと高橋明子さんが話してくれた。

好適環境水というのは、ナトリウム、カリウム、カルシウムなどの塩類を、浸透圧が魚の体液と同等になるような濃度で水に溶かした溶液で、岡山理科大学の山本俊政准教授が開発し、特許も取得しています。

好適環境水の中では、魚の浸透圧調整にかかるエネルギーが節約されるため、ストレスが減少して酸素消費量が増え、魚の成長が早くなると考えられてきましたが、好適班の先輩方が、マダイを使ってその理論を実証しました」。

 人工海水で育てたマダイと比較すると、好適環境水下ではストレスと関連するヒートショックプロテインの発現量が減少することや、体内の余分な塩類を排出する塩類細胞の開口部が閉じていることなどを確認している。

さらに、濃度を薄めて浸透圧を魚の体液と等しくした人工海水よりも、好適環境水で育てたほうが、成長が早いことも発見した

 「その成果を引き継いで、僕たちは、成長促進に関係する因子やホルモンの解明をめざしています。北里大学海洋生命科学部の森山俊介教授に協力してもらい、好適環境水と淡水で飼育したウナギの成長関連ホルモンの量を比較するなどの研究を行っています」。(以下略)

オメガ3が豊富な昆虫を魚の餌として与えれば、理想的な魚の養殖が可能となります。

好適環境水に関する研究 八巻 慶汰, 室井 智博, 他

(前略) 溶存酸素量の減少量は、好適環境水群で明らかに少なくなった。好適環境水で飼育したマダイは、人工海水群に比べ酸素消費量が約 35%減少していた。(以下略)

昆虫を飼料に。さらに、魚の成長がはやくなる好適環境水を利用するアクアポニックスの導入を検討してみてはいかがでしょうか?

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Posted by sinsd