タンパク質が腸内細菌叢に与える影響 – 動物性タンパク質と植物性タンパク質で違うよ!

肉や卵、乳製品、魚などに含まれるタンパク質を動物性タンパク質と呼びますが、これらは人体で合成できないアミノ酸がバランスよく含まれており、吸収率(90%以上)が高いのが特徴とされています。

一方で、大豆など(吸収率95%以上)一部を除き植物性タンパク質は吸収率が70~84%と低く、効率が悪いとされています。

確かにタンパク質を効率よく摂取するには動物性タンパクが優れていますが、違った側面、今回は腸内細菌叢への影響という角度から見ると景色が変わりますのでご紹介します。

動物性タンパク質が腸内細菌叢に与える影響

タンパク質については,動物由来植物由来かによって,腸内細菌叢に与える影響が異なることが明らかになっている

ヒトにおいて,動物性タンパク質,特に赤身肉乳製品を摂取すると,Bacteroides, Alistipes,Bilophila属菌などの胆汁耐性のある嫌気性細菌が増加する.

この変化によって,腸内細菌によるトリメチルアミン(TMA)の産生を増加させ,動脈硬化を誘導するトリメチルアミンN-オキシド(TMAO)の血中での増加を引き起こす.

また,動物性タンパク質を大量に摂取すると,硫酸還元菌(Desulfovibrio属菌など)が食物中の無機硫黄や硫酸化アミノ酸から硫化水素(H2S)を産生する.それによって,Bifidobacterium属菌の存在量やSCFAsの産生量が減少し,炎症性腸疾患のリスクを高める可能性が示唆されている.

腸内細菌叢に影響を与える食事因子 食事は腸内細菌叢を介して宿主生理機能を変化させる 山口 元輝, 金 倫基 2022年 60 巻 4 号 156-160 より引用

 

動物性たんぱくとオナラの臭い

赤身肉や乳製品を摂れば摂るほど以下のような悪玉菌が増殖します。また、これらの悪玉菌が増えた状態で硫黄成分が多い卵や玉ねぎ、ニラ、ニンニクなどを食べると、〝より″硫化水素が発生して腐った卵のようなオナラがでるようになります。

 

Bacteroides(バクテロイデス): 胆汁や特定の薬剤に耐性を持ち、炎症を引き起こすリポ多糖(LPS)を産生しやすいグラム陰性菌

Bilophila(ビロフィラ): 胆汁酸を栄養源にして増殖し、炎症性腸疾患のリスク要因となる硫化水素を産生する

 

Bifidobacterium属菌への影響

Bifidobacterium属菌は腸内に存在する代表的な善玉菌(ビフィズス菌)の一種です。腸内環境を整えて悪玉菌の増殖を抑えるだけでなく、胃の健康をサポートし、コレステロールの吸収を和らげる働きがある

SCFAs(短鎖脂肪酸):生成される短鎖脂肪酸の約90%以上を酢酸、プロピオン酸、酪酸の3つが占めている。

酢酸:最も多く生成され、全身のエネルギー源や脂肪蓄積の抑制

・プロピオン酸:コレステロールの生成を抑制、血糖値を調節

・酪酸:大腸の主なエネルギー源。腸のバリア機能の要

Bifidobacterium属菌はSCFAs(短鎖脂肪酸)の主に酢酸を産生します。また、酢酸は腸内を酸性に保ち、アルカリ性を好む悪玉菌の増殖を抑えます。したがって、Bifidobacterium属菌が減少すると、腸内は悪玉菌優位の環境となります。

植物性蛋白質とBifidobacterium属菌

動物性たんぱく質の摂取はBifidobacterium属菌を減らす一方で、植物性たんぱくは増加します。

 

一方で,大腸を模した便培養において,エンドウ豆タンパク質などの植物性タンパク質を添加すると,Bifidobacterium属菌とLactobacillus属菌が増加し,病原性偏利共生菌(Pathobionts)として知られるBacteroides fragilisとClostridium perfringensが減少することが分かっている.

腸内細菌叢に影響を与える食事因子 食事は腸内細菌叢を介して宿主生理機能を変化させる 山口 元輝, 金 倫基 2022年 60 巻 4 号 156-160 より引用

 

Lactobacillus属菌は糖を分解して乳酸を作り出す代表的な「乳酸菌」のグループで、腸内や女性のデリケートゾーンのほか、ヨーグルトやチーズなどの発酵食品に広く存在します。

病原性偏利共生菌は日和見菌的な性質を持ちます。普段は可もなく不可もなしですが、一旦腸内環境が悪玉菌優位となると病原性を発揮する菌類です

牛や豚、鶏の飼育環境は?

一般に消費者が購入(飲食店での食事含め)する肉や乳製品の家畜は、例外なく抗生物質を飼料に混ぜて食べることでより早く大きく育ちます。

体内への抗生物質の侵入は善玉菌も攻撃しますから、上記論文とは比較にならないほど腸内環境にダメージを与えます。一般に、腸内環境は抗生物質によるダメージから回復するのに数週間から数カ月かかると言われています。

「日本人の咬合(こうごう:咬み合わせ)から食性を学ぶ!前歯・犬歯・臼歯の働きとは?」に記しましたが、歯の構成比(前歯2:犬歯1:臼歯4〜5)から、ヒトが本来食べるべき理想的な食事のバランスは 「穀物4〜5:野菜2:肉・魚1」 であると言われています。

この比率を前提にすると、動物性たんぱく質の摂取は約45〜60グラム/日が目安です。

魚なら、鰯(いわし)一匹で十分という話になります。

焼き肉食べ放題やステーキ、ハンバーグなどもっての外。

調理に使われる油のこともお忘れなく!

一般的に市販されているサラダ油(大豆油や菜種油など)には、オメガ6系多価不飽和脂肪酸であるリノール酸が豊富に含まれます。また、腸内細菌叢の変化: 欧米化した高脂肪な食事やオメガ6系の過剰摂取は、腸内の善玉菌を減少させ、肥満や炎症を誘発しやすい腸内環境を招きます。

例えば、揚げ物の摂取は、わずか数日で悪玉菌優位の腸内細菌叢へ変化させることを忘れないでください。これはトンカツやコロッケに限らず、魚フライ・エビフライなども同様です。

更に、養殖魚のフライは抗生物質やワクチン、その他飼育に用いられた百種類以上の薬剤などを摂取することになります。

いつも言っていますが、スーパーで売られている食材(お惣菜やパン、菓子類、調味料などを含め)の99%以上は毒ですよ。

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Posted by sinsd