清潔の基準を見直しましょう。「汚い!」と「汚(よご)した!」の違いを明確に!

テレビを見れば、抗菌グッズの宣伝が溢れかえっています。日本人の多くは、コロナ禍以降、さらに清潔志向が高くなってしまったようです。

その典型が服の汚れ。

私が子どもの頃、遊んで泥だらけになった服で帰宅すると母に言われたのが…

「またそんなに汚(よご)して!!!」でした。

でも、今のお母さん方はきっと…

「そんなに汚くして!!!」でしょう。

そんな清潔志向のご家庭に、「小児アレルギー疾患と腸内細菌叢 成田 雅美 2025年 56 巻 1 号 47-49」から一部引用した内容をご紹介します。清潔に対する基準を見直すきっかけとなるよう、お役立てください。

除菌をすればするほどアレルギー疾患が増える?

私たちの腸内には100兆個以上の細菌が生息し、私たちと共生しています。同じように、口腔内や皮膚にも常在菌が生息しています。こちらも共生であり、細菌の存在があってはじめて、私たちは健康を維持することができることをご確認ください

 

アレルギー疾患の発症について,英国での大規模な疫学研究で,大家族で年長の兄弟が多い家庭に育った子どもは,1歳までの湿疹や23歳時の花粉症の有病率が少ないことが報告された。

その理由について,感染症の少ない衛生的な環境ではアレルギー疾患の発症が高まるのではないかと推察され,「衛生仮説(Hygiene hypothesis)」と呼ばれるようになった。

その後ヨーロッパでは1歳までに家畜小屋のある農家や農場ミルクに曝露した子ども,昔ながらの農業生活をする社会で育った子どもではアレルギー疾患の発症が低いことが報告され,微生物に感染しなくても環境中に多様な微生物が存在することが,発症予防に関与すると考えられるようになった。

小児アレルギー疾患と腸内細菌叢 成田 雅美 2025年 56 巻 1 号 47-49 より引用

 

コロナ禍に流行ったアルコールによる手の除菌などもっての外。

物理的な汚れは洗い流すものであり、細菌を殺すなどあり得なことと知りましょう。

有用菌を摂るのはOK。菌を根こそぎ殺すのはアウト!

「納豆や味噌など大豆発酵食品の健康効果は、他の大豆製品には無いことをご存じですか?」にも記しましたが、有用菌を摂取することは重要です。が、抗菌剤・抗生物質など、細菌を根こそぎ殺してしまうようものは必要最低限の使用に留めるべきです。

 

わが国で行われた出生コホート研究(成育コホート研究)においても,生後12か月にヨーグルトなどの乳酸菌製品をほぼ毎日摂取していた児では,5歳でのアトピー性皮膚炎の有病率(adjusted odds ratio[aOR]0.70, 95% confidenceinterval[CI]0.51-.97)や食物抗原感作(aOR 0.53, 95%CI 0.31-0.93)が有意に減少していた。

また2歳までの抗菌薬使用は48.3%の参加者に認められ,使用群は非使用群と比べて5歳時点で喘息(aOR 1.72, 95% CI 1.10-2.70)やアトピー性皮膚炎(aOR 1.40, 95% CI 1.01-1.94),アレルギー性鼻炎(aOR 1.65, 95% CI 1.05-2.58)の有病率が有意に高かった

小児アレルギー疾患と腸内細菌叢 成田 雅美 2025年 56 巻 1 号 47-49 より引用

 

抗菌グッズは今すぐ捨てましょう!

子どもは泥だらけになるからこそ、肌が丈夫になります。また、汚れは物理的に流すものであり、決して汚いものではあることを忘れないでください。

 

 

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Posted by sinsd